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ぐ犯により保護観察に付した事例(大阪家裁堺支部平27年8月27日決定)

決定のポイント

初等少年院(現在の第一種少年院)を仮退院となった保護観察中のぐ犯事案です(保護観察の実施状況は極めて不良です)。

保護観察と少年院送致のギリギリの事例と考えています。

保護観察の実施状況は極めて不良ながら、改善の兆しが見え始めていた点が結論を分けた(保護観察となった)ものと思料されます。

1 ぐ犯(虞犯)事由・ぐ犯性

少年は、平成24年○月○日に初等少年院を仮退院となり、保護観察中である。

平成25年○月○日に別の保護観察中の者を殴って左頬骨折の傷害を負わせるなどし、同時期から保護観察の無断不出頭がみられるようになった。

また、平成26年○頃から、当時の交際相手とのトラブルで立腹すると、自宅の玄関前の共用通路の柵にはめられたガラスや自室の蛍光灯を壊すなど家庭内で暴れるようになり、平成26年○月には、上記交際相手の自宅近くの公衆電話を蹴って暴れたり、平成27年○月には、自宅で暴れてベランダのガラスを割ったり、壁に穴を開けることがあり、警察に通報される事態に陥っている。

家庭内で暴れた際には、包丁で自分の腕を切るようなこともみられている。

このように、少年は、自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖があるもので、その性格環境に照らして、将来、傷害や器物損壊等の犯罪を犯すおそれがある。

2 主文と処遇の理由

⑴ 主文

少年を〇〇保護観察所の保護観察に付する。

⑵ 処遇の理由

少年は、平成23年○月に、初等少年院送致となり、平成24年○月に仮退院したのであるが、以後、生活状況は安定していたものとは認められず、当時の交際相手との関係で不快感や不満を募らせることなどを契機として、自己の感情をコントロールすることができずに、家庭内外において粗暴な行動に出たり、衝動的に大量の服薬をするなどしたりしていた。

また、少年は、保護観察中の身でありながらも、保護観察を利用して更生しようとする意識に乏しく、かえって保護司に対して暴言を吐くなどその枠組みを軽視し、公的機関の指導を受け止めようとする姿勢、態度が不十分な様子もみられた。

しかしながら、平成27年○月○日に在宅試験観察となった後の少年を巡る状況についてみると、少年の公的機関の指導を受け止めようとする姿勢、態度に大きな変化があったものとは認められないのであるが、仮退院後以降の問題行動の主要な原因の一つであった当時の交際相手とは関係を解消したこともあり、以前のような粗暴な問題行動がみられないまま一定期間が経過していること、その間、少年は曲がりなりにも就労を継続してきていることなどから、少年の生活状況は、現時点においては落ち着きつつあるとみてよい。

もっとも、これまでの少年の逸脱行動には、感情統制の悪さ等少年の資質的な問題がその背景にあるものと推察されること、少年に対して効果的な指導を加えることがこれまでできなかった少年の保護者の監護能力には限界があるものとみられることなどと考え併せると、現在、少年には施設に収容した上での矯正教育を施すことまでの必要はないものと認められるが、少年の生活が一応落ち着きつつあるとはいっても、これを維持し、より強化するためには、公的機関の専門的な指導監督に服させ、その枠組みの中で、更生を図らせることが必要かつ適切な措置であると考えられる。

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