「無料プランだけで構いませんので、まずは載せてみませんか?」と勧誘し、後で有料プランへの自動更新だからと突然請求書を送る手口があります。
このような業者のサイトは、アクセス数も少なく、検索サイトから検索してもなかなか見つけられないものが多く、明らかに最初から騙しにかかっています。
求人広告の無料プランを利用した詐欺に遭遇してしまった場合、まずは支払わないことが大切です。
そのうえで、弁護士などの専門家にご相談ください。
この記事では、求人広告の有料プランへの自動更新を利用したぼったくり手口について解説します。
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第1 無料を装った求人広告の有料自動更新の手口とは?
1 厚労省やハローワークも注意喚起!
厚労省やハローワークも、注意喚起を行っており、多数の被害が発生していることがうかがえます。
2 具体的な勧誘手口
最初の2週間は無料のトライアルをやっています。
掲載してみませんか?
もちろん期間中にやめて頂いても構いません。
ただし、無料期間が過ぎてからは有料になります。
無料だったらいいよ。
でも、有料では考えていません。
有料に更新する際は、お知らせいたしますので、ご安心ください。
無料期間経過後、突然「請求書」が届く
請求書が届いていましたが、無料だけと言いましたよね?
最初の2週間は無料ですが、お客様は解約されずに契約を継続されていますので、有料プランへの自動更新されています。
有料プランになる際は、必ず連絡をくれると言いましたよね?
ちゃんと契約書を読んでくださいよ、お客様からの解約ない限り、有料へ自動更新って書いていますよ。
この契約書を基にして、弊社は説明をしています。
だけど、貴社は有料プランに移行する際は、必ず連絡をすると。
だから無料トライアルどうですか、と勧誘されましたよね?
(平気で嘘をつき)そんな説明はしておりません。
契約書の記載通りに説明をし、有料プランへの移行にはご注意くださいと、念を押して説明しましたよ。
(・・・嵌められた。しかし、必ず連絡をすると言われた証拠は残っていない。。。)
詐欺の手口の解説
弊事務所での相談事例でも、有料プランに移行する際には必ず連絡があるとの説明だったため、安心して無料プランだけを申し込んだところ、突然請求書が届いたというものが典型的です。
この手口のポイントは、被害事業者も無料だけならばと軽い気持ちで申し込み、悪徳業者からの説明を受けた内容について、特に証拠化していないことです。
そのため、悪徳業者は、言った言わないの水掛け論に持ち込み、残っている契約書に有料プランへの自動更新が記載されているため、この契約書を盾に請求をします。
悪徳業者の求人サイトは、簡易な解析をしたところ、アクセス数が全くないようサイトでした。
当然、採用申し込みなどあるはずがなく、主体的に有料プランに申し込む事業者は皆無でしょう。
そのため、悪徳業者は、騙しの手口でしか売上を上げることができません。
明らかな詐欺行為に走っているのです。
第2 詐欺業者に対抗する手段と裁判例の解説
1 ポイントは絶対に支払わないこと
不当な請求を受けた場合、ポイントは支払わないことです。
一度支払ってしまうと、取り戻すには裁判までしないと難しく、そしてその裁判で勝てるかどうかの見通しは、必ずしも明るいものではありません。
それは、支払ったという事実は、その契約を追認した行為にも捉えられかねないからです。
判断に迷ったら、支払う前に弁護士などの専門家に相談するのが一番ですね。
2 悪徳求人広告の詐欺業者が裁判を起こしたら?
料金を未払いとした会社に対し、求人業者が訴訟提起をしている事例があります。
ただ、いずれも悪徳広告業者が敗訴しています。
①東京地裁令和元年9月9日判決
3週間の無料掲載期間内にFAXによる解約申入れが広告業者に到達しない限り、自動的に1年間の有料掲載期間に移行し、42万円(消費税別)の支払義務が発生するという仕組み(仮に中途解約しても、既払い分は返還しないとの特約付)の事案です。
広告業者は、有料掲載期間に移行するかの意思確認をハガキによって行ったと主張しましたが、そもそもハガキの到着日は無料掲載期間の満了日であり、かつ、訴えられた会社の休業日でした(なお、被害会社はそもそもハガキの存在を否認しています)。
そして、この広告業者は、東京地裁に求人情報サービスの利用代金の支払いを求める訴訟を多数提起していたようです。
本件では、悪徳広告業者との契約を公序良俗に反し無効であるとして、広告業者の訴えを棄却しました。
(ポイント)
規約の内容が不動文字で印刷されているだけでは、広告業者の担当者が規約の内容を電話で説明したと認定することはできない!!
悪徳広告業者は、無料掲載期間内に解約しなかった顧客に、1年分の広告料を支払わせることのみを目的として、本件契約を締結しているものといわざるを得ないから、本件契約は、公序良俗に反し無効である。
②東京地裁令和元年11月13日判決
悪徳広告業者は、2日以内に返信がない場合は原稿に同意したものとする旨を記載した掲載内容確認書を添付した電子メールを送信し、2日以内に返信がなかったとして、求人広告を開始し、1年分の広告掲載料42万円(消費税別)を請求した事案です(無料掲載については同意あり)。
裁判所は、求人広告掲載契約においては掲載される広告の内容が確定されることを必要不可欠であるとして、2日以内に返信がない場合に(被害者)企業が掲載原稿に同意したものとみなすことのできる理由はないと判断し、悪徳広告業者の訴えを棄却しました。
この判決は、掲載する原稿について同意していない点を捉え、そもそも求人広告掲載契約は成立していない(求人広告内容の確定があって初めて効力を発生する停止条件付契約で、停止条件は成就していない)と判断しました。
3 まとめ
実際の裁判例が示すように、悪徳なやり方をする広告業者に対抗する法律手段はしっかりと存在します。
そもそも契約が成立していないとする主張、仮に契約が成立していたとしても内容的に公序良俗に反し無効とする主張、詐欺や錯誤による取消しの主張などが具体的に想定できます。
悪徳な広告業者に不当な利益を渡すことなく、法律的に戦うことができます。
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第3 無料求人広告の有料自動更新詐欺を弁護士に相談する
1 安易に支払う前に弁護士に相談を!!
弁護士が相談を受けた場合、広告業者との契約の妥当性をチェックします。
そして、契約が不当なものであると判断できれば、支払いを拒絶すると共に、裁判などに訴えてきても、毅然と戦います。
ほとんどのケースで、下図のStep1の内容証明郵便の発送により、広告業者からの請求が止まっています。
支払拒絶の意思表示 ~ 内容証明郵便の発送
配達証明付きの内容証明郵便にて、当該契約の不当性を指摘し、掲載中止を申し入れるとともに、支払わないことを宣言します。
交渉は決裂となりますので、広告業者が法律上の正当性があると思うのであれば、裁判などの手段をしてくるでしょう。
もっとも、正当性がない場合がほとんどですので、この段階で事件は終了となります。
裁判 ~ 訴えられても毅然と応戦
広告業者が訴えてきたとしても、法律上の正当性はありません。
法律論で悪徳広告業者の主張を叩きます。
2 日常生活のトラブルに顧問弁護士の活用を!!
事業を行っていると、いつ、どこに落とい穴があるか分かりません。
いつでも、気軽に相談できる弁護士がいると、法務は任せることができますので、積極的な活用を推奨しています。
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