歯科医院(デンタルクリニック)を経営するにあたり、様々な法律上の問題に直面すると思います。

トラブルに発展しないものでも、ネットの口コミにネガティブなことを書かれたり、いい物件探しに苦労したり、稀にいるモンスターペイシェントの対応に苦労したりと、経営者である以上のお悩みは尽きないものと思います。

デンタルクリニック(歯科医院)のお悩みとして、労働トラブル、ビル賃貸借、治療トラブル、クレーマー、ネット被害など様々あります。

特に昨今は、従業員の募集にも苦労され、人手不足に悩まされている先生も多くいらっしゃるのではないかと思います。

そこで、経営の効率化を図るため、法律に関連する事項は弁護士への外注を推奨しています。

顧問契約や法律相談など、
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詳細は🔗顧問弁護士の推奨する活用法をご覧ください。

歯科医院の経営に潜むリスク

デンタルクリニックを経営するうえで、発生しがちな事例を紹介します。

治療トラブル

クリニックの責任が否定された事例

  • ワイヤーを少しずつ締めて歯列を美しくする矯正治療で歯間を削られたとして損害賠償を求めましたが、削った証拠はなく、請求は棄却されました(東京地判R3.12.23)。

  • 歯を不適切に削られたり、装着していたスプリントの不適切な調整により精神的苦痛を被ったとして慰謝料を求めましたが、歯の遠心部には重度のう蝕の所見が認められ、治療の必要がなかったとはいえず、スプリントの調整についても過失はないと判断されました(東京地判R2.3.19)。

  • う歯の治療のため右下顎孔伝達麻痺を施術されたことで、右下神経麻痺となり、しびれ、味覚鈍麻等の後遺障害が生じたとして損害賠償を求めましたが、歯科医師に損傷を生じさせない注意義務違反は認められず、下顎孔伝達麻痺の実施に際して常に舌神経損傷の恐れについて説明する義務はないと判断しました(東京地判R2.11.30)。

  • 上前歯の歯列の改良を目的とするセラミッククラウン治療によって歯肉炎が生じ、治療のやり直しなどを要したとして損害賠償が請求されましたが、歯列の状況に照らすと補綴物を装着して歯列を矯正するためには、各歯を相当程度大きく削合することもやむを得なかった等として、過失を認めず請求を棄却しました(東京地判R4.9.16)。

クリニックの責任が認められた事例

  • インプラント手術を行うにあたり、CT等を用いた術前検査を行い、神経の走行位置を確認した上でインプラントの埋込方向や深度に注意しつつ施術すべきだったのに、これを怠ったとして過失が認定され、慰謝料として290万円が認定されました(大津地判R4.1.14)。

  • 左上1番のインプラント体埋入手術を行う際に、CT検査等を怠り含歯性嚢胞を見落とし、顎骨嚢胞開窓術、歯根端切除術等を受けたことについて損害賠償請求がなされ、インプラントの費用42万円、同治療に対する慰謝料として52万円の請求が認められました(東京地判R4.5.26)。

ネット被害

権利侵害が認定された事例

  • 2ちゃんねるとYahoo!知恵袋に「顎関節症が放っておけば将来、重大な病気につながるなどという話は全くの偽りで、医者が豊富な知識でだまして高額なお金を得る、詐欺行為と言っていいと感じています」等の投稿されたことに対し、慰謝料200万円、調査費用・弁護士費用40万円を認めました。
    ただ、これらの投稿による売上減少は認められませんでした(名古屋地判R2.10.1)。

  • Googleマップにおいて、クリーニングだけで高額の費用を請求され、また、歯科ではないなどの理由で診療報酬の明細をもらえなかったとの事実を摘示し、不正請求している可能性が高いとの意見を述べる投稿に対して、発信者の情報開示を認めました(東京地判R3.3.12)。

  • 山形市内の歯科医師について、X(旧ツイッター)において、氏名、〇〇歯科医院院長、HPのURL、〇大学市学研究科非常勤、東北人、警察協力医等の属性が共通するプロフィールの偽アカウントが作成され、「男の子とゲイマッサージとお金と名声と権力が好き。」、「最近の趣味はネットストーカー」、「嫌がらせ、訴えられる可能性ありで情緒不安定になり逃避行」、「歯科助手が使えない人間ばかりでそれも悩みの種です」など投稿をしたアカウントについて発信者の情報開示が認められました(東京地判R3.5.6)。

権利侵害が否定された事例

  • Googleマップの「院長は客がいるにも関わらず怒鳴り散らかす、すぐ歯を抜く、治療が雑、当日いきなり午後から病院おやすみしますとドタキャンの連絡が入る、こんなわけわからんことしかせん病院…(中略)…これを見られた方がこんな歯科に通わないでおこうと思って頂けたなら幸いです。」との投稿について、歯科医院の開設後の年数(40年弱)、勤務歯科医院数(3名)、患者数(月1300~1400人)等を考慮すれば、クリニックの社会的評価を違法に低下させるものとまで認めることはできないと判断されました(東京地判R1.12.27)。

労務トラブル

  • 歯科医院において受付兼歯科助手として勤務していた元従業員から、残業代とパワハラに基づく損害賠償請求をされ、平成29年6月分から令和元年6月分までの残業代(142万9267円)、付加金(104万9577円)が認められ、パワハラ行為は否定されました(東京地判R3.10.1)。

  • 元従業員の歯科医師(基本給15万、職務給10万、インセンティブ報酬として治療費23%などが付帯、最低保証70万円の条件付)の残業代請求で、平成25年3月1日から平成27年4月30日までの残業代(976万2508円)と、付加金(806万8183円)が認められました(大阪地判H30.9.21)。

契約トラブル

  • (補綴物製作のトラブル)
    歯科治療用の補綴物製作契約(患者の歯型をとった印象材から患者の歯と歯茎を再現した石膏模型を作成して発注する)について、歯科医院は患者の歯牙にはめるなどして外形やはまり具合の調整をし、必要があれば歯科技工業者の負担で再加工させることまで契約内容に含まれていると主張しました。
    しかし、裁判所は、納品の時点で石膏模型に再現された患者の歯型に適合した補綴物が製作されている見ることができるとして、歯科技工業者からの歯科医院に納品された時点をもって契約完了との主張を受け入れ、歯科医院に請負代金の支払いを命じました(東京地判R1.5.28)。

  • (フランチャイズ契約のトラブル)
    フランチャイズ・チェーンの運営会社(歯や口内のデンタルエステサービスを提供)とフランチャイズ契約を締結していた歯科医院が、フランチャイズ契約によって回復不可能なほどまでの赤字を被り、フランチャイズ契約を継続しても黒字になる見込みが立たないとして契約を解除しましたが、中途解約を理由とする約定違約金(518万4,000円)、未払ロイヤリティ料(99万2,160円)の支払いが命じられました(東京地判R2.2.27)。

不動産契約

  • ビルの賃貸人より賃料増額請求、賃貸借契約の更新料の支払請求が、賃借人である歯科医院に対して起こされました。歯科医院は、逆に、他賃借人の飲食店より悪臭や大量のハエを発生させているのに賃貸人が十分な管理業務を行っていないことを理由に反訴を提起しました。
    判決では、賃料増額請求や管理業務の怠慢は認定されず、更新料の支払(39万7440円)が認められました(東京地判R4.4.28)。

  • 歯科医院が賃借する物件でねずみ被害(ねずみが排泄物を残したり鳴き声が聞こえるなど)が発生したにもかかわらず、ねずみ被害の発生者を退去させるなどの必要な措置を講じないなどとして、歯科医院は賃料の支払いを止めるとともに退去した事件で、賃貸人(物件所有者)の債務不履行は認められませんでした。
    むしろ、逆に未払賃料の支払いが命じられました(東京地判R3.1.26)。

顧問弁護士の使い方

「顧問弁護士」と聞くと、トラブルを連想される先生も多いかと思います。

しかし、トラブルが頻発する、もしくは日常的にトラブルの相談事を抱えている事業者は、皆無です(そんな状態では、中小企業や個人事業主では経営が成り立ちません)。

顧問契約とは、いわば、社内にオンライン法務部を作ることです。

抽象的なイメージですが、
トラブル発生時だけ「弁護士に依頼する・相談する」のではなく、
日常的に発生する判断に迷う事項を「法務部に相談する」、
のが推奨している顧問弁護士の利用法です。

日常のメール文案も顧問弁護士に相談する。
トラブルの発生時だけに限られない。
当事務所が推奨している顧問弁護士の利用法
弁護士 岩崎孝太郎

日常業務に組込む活用の方法を、当事務所は推奨しています。

  • 不動産やホームページなどの対外的に契約書を交わすときは弁護士チェックを入れる、
  • トラブルになりそうな患者が出たときは弁護士に相談する(場合によっては窓口にする)、
  • 従業員の雇用契約書を確認してもらう、
  • ホームページのプライバシーポリシーを確認してもらう、、、

などなど、専門家のチェックを入れておきたい事項は意外と多岐にわたると思います。

そうすることで、トラブルを未然に防ぐことにつながります。

より詳しく説明している記事がありますので、ぜひあわせてお読みください。

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売上を上げるツールとしての顧問弁護士活用法!

当事務所の弁護士の紹介

私たちは、常に最善のリーガルサービスを提供できるように、日々研鑽を積んでいます。

そして、依頼者と「共に戦う」集団であることを志向しています。

当事務所の提供サービス

当事務所では、スタンダードとプレミアの2つのパターンをご用意しております。

これまでに顧問弁護士との契約をしていなかった場合には、まずはスタンダードから弁護士の活用法をご体感いただきたいと考えています。

当事務所の顧問契約の提供サービス内容について。 月額5万円、10万円のプランを用意し、相談料をできやすくすると共に、作業時間の目安を記載。

ご相談の流れ

お問い合わせ

ご相談については、予約制となっております。
来所相談だけでなく、Zoom相談も対応しておりますので、全国対応しております。

お問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。

STEP
1

相談時に必要なもの

事前に以下のものをご準備いただくと、ご相談がスムーズに進みます。

  • 相談内容の要点をまとめていたメモ
  • ご相談に関する資料や書類
STEP
2

ご相談(初回相談料:1時間あたり1万1,000円)

法律上の問題点や採り得る手段などを専門家の見地よりお伝えします。

問題解決の見通し、今後の方針、解決までにかかる時間、弁護士費用等をご説明いたします。

※ご相談でお悩みが解決した場合は、ここで終了となります。

STEP
3

ご依頼

当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。

STEP
4

問題解決へ

事件解決に向けて、必要な手続(和解交渉、調停、裁判)を進めていきます。

示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。

STEP
5

終了

委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。

STEP
6

Q&A

貴事務所の強みは何でしょうか?

当事務所の強みは、医療機関をめぐるトラブル対応に長けていることです。
そして、この記事で解説しているトラブルに対応できることが強みです。

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クレーム・カスハラ対応
モンスターペイシェント問題を弁護士が解説します。クレーム対応、クレーマー対応にお困りのクリニック、医院、病院さんを対象としています。
【モンスターペイシェント】クリニックのトラブル対応を弁護士が解説
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応招義務を正しく理解し恐れない【医師・歯科医師のクレーム対応】
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治療費の不払を行うモンスターペイシェント。 対応のポイントは、治療費の不払とクレーム事実とを分けて対応することです。
診療報酬の不払回収~弁護士が医療機関のハードクレーマー対応法を解説

顧問契約を止めたいと思った場合は、いつ解除できますか?

最初はお試し期間の意味も含めて6ヵ月からお願いをしておりますが、以後は1ヵ月単位でいつでもご解約いただけます。

東京から離れた地方にクリニックがありますが、対応可能でしょうか?

Zoomを活用した法律相談を実施しており、全国からのご相談に対応しております。
クレームなどの代理人対応としても、いきなり面談するわけでも、何度も相手方と直接面談するわけでもありませんので、対応困難と思われるケースは少ないと考えています。
ただ、現地に赴く際は交通費のご負担をお願いしていますので、その分は地元の弁護士より割高になってしまいますので、ご了承いただきたいと思います。

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銀行振込、もしくは現金でのお支払いをお願いしています。

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