少年事件に強い弁護士 今できるサポートを
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逮捕されたら?付添人(弁護士)ができること

逮捕された場合に、弁護士(弁護人・付添人)は何をしてくれますか?

刑事事件(犯罪行為)を起こすと、成人だけでなく、未成年である少年も警察に逮捕されます。

少年法があるから加害少年は守られるということはなく、最大23日間の逮捕・勾留手続は、成人と何も変わりません。
成人事件と異なるのは、勾留後に成人は検察官が起訴・不起訴を決めますが、少年事件は家庭裁判所が決める点です(少年事件のこの運用を家庭裁判所への「全件送致主義」といいます)。

逮捕された少年にとって、自分の置かれた状況を正確に理解して、自身が何をすべきかの判断するのが難しいでしょう。
そこで、成人事件と大きく異なり、逮捕された少年をサポートするため、弁護士の役割が重要になります。

少年事件の弁護人は、逮捕された少年を身体拘束から解くための活動や被害者との示談交渉学校・職場との環境調整などを行います。

逮捕された場合に弁護士ができること

逮捕・勾留となる事件では、なぜ犯罪行為を犯してしまったのか、今後の更生に向けて何を行っていくべきか、弁護士が法的な観点だけでなく、精神的なサポートを含め、寄り添います。

少年事件では、逮捕・勾留段階の少年を担当する弁護士を「弁護人」、家庭裁判所に送致された後の少年を担当する弁護士を「付添人」と呼びます。

弁護士に刑事手続における呼称

今回は、少年事件での逮捕・勾留から家裁送致までの流れに触れたうえ、少年事件における弁護人の役割や弁護人の選び方などを解説していきます。

第1 逮捕・勾留から家裁送致までの流れ

少年事件で逮捕・勾留されると、事件は必ず家庭裁判所に送致されます。
ここでは、少年事件における逮捕・勾留から家裁送致までの流れを簡単に解説します。

なお、少年事件で逮捕・勾留される可能性があるのは14歳以上の少年です。
刑法では14歳に満たない者の行為は、罰しないと規定されているため、14歳未満の少年が逮捕・勾留されることはありません。

1 逮捕

14歳以上の少年は、逮捕が相当とされる刑事事件を起こすと成人と同じように逮捕されます。
逮捕の手続としては、犯罪を犯した現場で逮捕される現行犯逮捕のほか、裁判所が発布した逮捕状によって逮捕される通常逮捕があります。

逮捕されると、48時間以内に検察官送致され、そこから24時間以内に検察官が勾留請求を行うか否かが判断されます。

2 勾留

少年事件における勾留は、「やむを得ない場合」にのみ認められます(少年法43条3項、48条1項)。
しかし、実際の運用では、成人事件で勾留される事件であれば少年事件でも勾留されるケースがほとんどです。

検察官による勾留請求が認められると、裁判所による勾留決定がされます。
勾留決定されると、10日間の勾留となり、さらに10日間延長される可能性があります。

つまり、逮捕の72時間と合わせると、最大で23日間の身体拘束を受ける可能性があるのです。
学生や社会人にとって、23日間という期間はあまりに長く、何の対策もせずにこの期間を過ごすと、釈放後の生活にも大きな影響を与えてしまうでしょう。

なお、少年事件では、勾留に代わる観護措置の手続きが行われることもあります。
勾留に代わる観護措置の場合は、観護措置の期間は10日間で延長はありません。
また、収容場所は警察署の留置所が選択されることはなく、必ず少年鑑別所に収容されます。

(勾留に代る措置)
第四十三条
3 検察官は、少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。
(勾留)
第四十八条 勾留状は、やむを得ない場合でなければ、少年に対して、これを発することはできない。
引用:e-Gov法令検索

3 家裁送致

少年事件での逮捕・勾留が終わると、検察官は事件の処分についての意見書と捜査資料を家庭裁判所に送致します。

成人事件では検察官に事件を起訴するか否かの判断権限が認められていますが、少年事件の場合、検察官は全ての事件を家庭裁判所に送致しなけれなばりません。

少年事件では、犯罪に対する処罰を科すのではなく、少年の更生保護の観点が重要とされるため、捜査機関である検察官ではなく家庭裁判所の判断が必要とされるのです。

第2 成人事件と少年事件との違い

ここでは、逮捕・勾留の手続きについて、成人事件と少年事件との違いを詳しく解説します。

成人事件と少年事件とでは、勾留の要件が異なります。
成人事件では、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があることに加え、住居不定や証拠隠滅のおそれなど、勾留が認められる要件は広いです。
一方、少年事件では、やむを得ない場合にのみ勾留が認められます。

ただし、実務では少年事件であっても、逮捕された場合には引き続き勾留が認められるケースが多いです。

成人事件で逮捕・勾留されると、警察署の留置場に勾留されます。
少年事件では、勾留に代わる観護措置がとられるケースもあり、その場合は、留置場ではなく少年鑑別所に収容されます。

共犯者のいる事件などでは、勾留の際に接見禁止とされる場合があります。
接見禁止になると、弁護人以外は面会が許されません。
少年事件では、接見禁止となる事件でも保護者は対象から除外される場合が多く、その場合には面会が可能です。

成人事件と少年事件との違いは、逮捕・勾留の段階では多くありません。
成人事件と少年事件とで手続きが大きく異なるのは、家裁送致後です。

成人事件では刑事裁判、少年事件では少年審判に向けて手続きが進行するため、逮捕・勾留を終えたあとの手続きは成人事件と少年事件とで大きく異なるのです。

第3 少年事件での弁護人(付添人)の役割【逮捕・勾留段階】

ここでは、逮捕・勾留段階における少年事件の弁護人の役割を解説します。
弁護士は、家裁送致後にも付添人としてのさまざまな役割を持ちますが、逮捕・勾留段階での弁護人としての活動も、事件全体の解決において大きな影響を与えます。

1 身体拘束からの解放を目指す

逮捕・勾留段階における弁護人の役割として最も重要なのは、少年を身体拘束からできる限り早く解放することです。

身体拘束からの早期解放を目指す弁護人の活動としては、検察官、裁判官に対する犯罪の嫌疑に対する意見書、勾留に関する意見書の提出が挙げられます。

身体拘束を受けている少年は、検察官や裁判官に事件についての自身の考えを上手く伝えることが難しいです。
弁護人が法律上の観点だけでなく、少年の更生の観点も加えた意見書を提出することで、検察官や裁判官に事件の再考を促すことができます。

特に、少年について有利な事情がある場合には、その事情を考慮してもらうために意見書が果たす役割は大きいです。

勾留に対しては、異議申立ての手続きも用意されています。
異議申立ての手続としては、勾留に対する準抗告勾留取消請求勾留の執行停止の3種類があります。

準抗告は、勾留についてやむを得ない場合に該当しないなど、勾留に理由が認められないことを主張する手続きです。

一方で、勾留取消請求勾留の執行停止は、勾留決定後の事情によって勾留の必要がなくなったことを主張する手続きです。
たとえば、被害者と示談が成立した場合(勾留取消)や、卒業式や親族の葬式に出席する(執行停止)などが例として挙げられます。

弁護人としては、場面に応じて適切な手続を選択して、少年の早期解放を目指します。

2 少年の精神的なケア・助言

逮捕・勾留により社会生活から隔離された少年は、自分がこの先どうなるかもわからず精神的に大きな不安を抱えています。
そのため、少年の精神的なケアや手続きについての適切なアドバイスを与えるのも弁護人の重要な役割です。

弁護人は、時間の制限なくいつでも少年との接見ができます。
逮捕直後に、少年に対して、手続きの流れや取り調べへの対応方法を説明しておくことは非常に重要です。
保護者学校などとの橋渡しになることで、少年の不安を軽くすることができるのです。

勾留に接見禁止が付されている場合には、接見禁止の解除に向けた手続きも行います。
保護者以外でも、祖父母、兄弟姉妹などの親族や通学先の教職員、雇用主、友人などについては接見禁止の解除が認められる場合もあります。

3 被害者との示談交渉

事件の被害者がいる場合には、被害者との示談交渉も弁護人の重要な役割の1つです。

被害者に対する謝罪や被害弁償によって示談が成立しているか否かは、最終的に少年の処分を決めるうえで大きな判断要素となります。

少年の身体拘束の期間を短くするうえでも、示談はできる限り早く成立させたいところです。
示談交渉が必要な場合には、早めに弁護人を選任して示談交渉をスタートさせるべきでしょう。

4 環境調整の早期着手

少年事件では、少年の処分を決めるうえで、少年が更生できるのか否かという観点が重要視されます。そのため、少年が逮捕・勾留されている段階から、少年が社会内で更生できる環境を整えておくことが重要です。

弁護人は、少年の社会生活における環境を調整するため、早い段階から事件の証拠収集や、学校勤務先への働きかけを行います。

事件によって少年が退学処分や解雇処分を受けることになれば、少年の更生は難しくなるでしょう。
弁護人は、そもそも学校や会社に逮捕の事実を知られないよう、早期の解放を目指したり、事件が発覚した場合でも重い処分を下さないよう働きかけたりする活動を行います。

5 その他の活動

少年に内省を促すことも、弁護人としての活動の1つです。

なぜ、非行事実を犯してしまったのか、更生のために何ができるのかを少年と一緒に考え、反省と更生への意欲を裁判所に伝えられるようにしていきます。

第4 弁護人の選び方

少年事件の弁護人には、私選弁護人と国選弁護人の2つがあります。
ここでは、それぞれの選任手続と両者の違いについて解説します。

1 私選弁護人・国選弁護人の選任手続

私選弁護人は、少年や保護者、弁護士などが警察に私選弁護人の選任を伝えることで、いつでも選任することが可能です。

多くの場合、保護者から依頼を受けた弁護士が警察に対して私選弁護人に選任されたことを伝え、すぐに少年との接見を行います。

国選弁護人が選任されるのは、勾留された後です。
少年は、勾留される際に国選弁護人の選任を希望するかを聞かれるので、そこで選任を希望すると国選弁護人が選任されます。

2 私選弁護人と国選弁護人との違い

私選弁護人と国選弁護人の大きな違いは、選任されるタイミングです。
私選弁護人は、逮捕中でもいつでも選任できます。
そのため、逮捕直後に少年と接見したり、勾留を阻止するための活動を行ったりと、事件の解決に向けてすぐに動き出すことが可能です。

また、国選弁護人は、誰が選任されるのかを選ぶことができません。
もちろん、国選弁護人であっても、少年事件の経験が豊富な弁護士が選任されることもあります。
しかし、少年事件の手続きに慣れていない弁護士が選任されてしまう可能性もあります。少年事件と成人事件とでは手続きが異なるため、成人事件に比べると経験の少ない弁護士が選任される可能性は高いです。

少年事件の経験が豊富な弁護士に依頼できる場合には、逮捕の直後から対応可能な私選弁護人を選ぶのをおすすめします。

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