第1審判決に不満があり、控訴をしようと思います。
第2審の控訴審は、どのような流れで進んでいきますか?

 民事控訴審は、大まかに以下の流れで手続が進んでいきます。

第1審判決 ⇒ 控訴状の提出へ

 第1審判決に不服がある場合、判決正本が送達された日の翌日から2週間以内に、控訴状を第1審裁判所へ提出します。

 控訴理由書の提出期限がありますので、すぐに控訴理由書の作成にとりかかります。

STEP
1

控訴理由書の提出(控訴人)

 控訴提起日から、50日以内に控訴理由書を提出します。

STEP
2

控訴答弁書の提出(被控訴人)

控訴審の当事者と訴訟活動

 控訴された側(「被控訴人」と呼びます)は、控訴理由書を熟読し、それに対して、控訴答弁書を提出します。

 だいたい、控訴審期日の1週間前くらいを目安に提出します(被控訴人にとってもタイトなスケジュールとなります)。
 そして、被控訴人は、附帯控訴を行うかの検討もします(附帯控訴とは、第1審判決が被控訴人に一部敗訴としている部分について、控訴審で争う場合に執る手続をいいます)。

STEP
3

第1回口頭弁論(控訴審)期日へ

 裁判所の予定と控訴人・被控訴人双方の代理人の予定を調整し、だいたい控訴理由書提出期限から1~2ヵ月後に、控訴審期日(第1回口頭弁論期日)が開かれます。

 控訴審の期日の多くは、1回で結審します
 判決言渡し期日が指定され、和解勧告などがあれば、期日後や判決までの期間内で和解協議を行います。

 控訴審の期日がどのような進行になるかは、当日まで分からないことが多いです。
 新たな証拠調べも和解勧告もなく、ただ判決期日だけが指定されて、そのまますぐに終わることもありますし、上記のように和解協議に入ることもあります。

STEP
4

控訴審の終了 ~ 判決言渡し or 和解の成立

 和解が成立すれば、和解にて終了します。
 和解が成立しなければ、指定された期日に判決が言い渡されます。

 和解成立、もしくは判決言渡しをもって控訴審が終了します。

STEP
5

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第1 控訴審の概要・特徴

1 控訴審の特徴

  • 高等裁判所では、裁判官の合議体で事件を取り扱いますので、控訴審は合議体(裁判官3人)によって審理されます。
  • 控訴審(民事)は、続審と呼ばれ、新たに証拠の提出ができ、主張の追加や変更もできます
     ⇒ これに対して、最高裁の上告審や刑事事件の控訴審は、事後審と呼ばれ、第1審判決の当否を第1審の訴訟記録により控訴審で審査することをいいます。
       続審と異なり、原則的に新たな証拠の提出を認めていません。
【参考】 (第1審)民事裁判の流れを弁護士が分かりやすく解説
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控訴審との違いに着目!!
https://ik-law.jp/blog/minjisaiban/
【参考】 民事「上告審」最高裁判所への上告手続と流れをわかりやすく解説
thumbnail
司法権最後の砦~上告審を知り、控訴審までの戦略を考える
https://ik-law.jp/blog/jokoku/

2 控訴審の審理対象

 控訴の提起は、第1審判決に対する不服を基礎とした同判決の取消し・変更の申立てです。
 第1審判決の取消し・変更を不服申立ての限度においてのみ許すことを、不利益変更の原則といいます。

控訴審の審判範囲は不服申立ての限度で認められる。
控訴審の審判範囲

附帯控訴

 控訴審の審判対象が、控訴した者の不服申立ての範囲に限られるとすると、第1審で勝訴した当事者は、常に期限ギリギリまで控訴の有無を確認しないといけませんし、陽動作戦をとる者も出るかもしれません。

 そのため、控訴された方(「被控訴人」といいます)は、控訴権が消滅した後でも、口頭弁論の終結に至るまで附帯控訴をすることができると定められています。
 ただ、あくまでも控訴人の控訴に乗っかる形となるため、控訴人が控訴を取下げた場合や控訴が却下された場合には、効力を失います
 附帯控訴をするかどうかは、収入印紙の出費も踏まえて検討します

被控訴人は附帯控訴をすることで、控訴審の審判対象を拡張できる
附帯控訴による控訴審の審判範囲

3 控訴審での終わり方(取消の有無・確率)

令和3年版の司法統計によると、
  ①和解にて終結する割合  ・・・ 約33%
  ②判決で1審と同様の結果 ・・・ 約32%
  ③判決で1審の取消の結果 ・・・ 約15% となっています。
 
また、終局までの期間では、全体の8割弱が半年以内に終わっています

同様に、全体の約8割が、第1回期日にて結審して終了しています。

【参考】🔗「司法統計」(令和3年)

 

弁護士

統計データでみると、控訴審での取消しは非常に厳しい数字です。
しかし、全く取消しできないというわけではなく、また和解と合わせれば、およそ半分の事件が、第1審の敗訴判決のままとはなっていません。
控訴をするかどうか、検討する要素があるように思います。

第2 控訴審の手続きの流れと押さえたいポイント

1 第1審判決 ⇒ 控訴状の提出 (Step1)

 第1審判決に不服がある場合、控訴できる期間は判決正本が送達された日の翌日から起算して2週間以内です。
 そして、提出先は高等裁判所などの上訴裁判所ではなく、第1審の裁判所に提出します。

 この期間を過ぎてしまうと、控訴審裁判を受ける権利がなくなってしまいますので、余裕をもって行動しましょう。
 控訴期間徒過により、弁護士が懲戒されたり、依頼者から損害賠償請求を受ける事例が現に存在します

 弁護士も多くの事件を抱えていますので、期間ギリギリに決めるのではなく、「迷ったら控訴を!!」のスタンスで良いと思います。

 控訴も、取下げができます
 ただ、収入印紙代は、第1審よりも1.5倍かかることは念頭に入れておきましょう。

【参考】🔗「手数料額早見表」(東京地裁ホームページ)

 第1審判決後において検討すべき事項は、控訴するか否かだけではありません。

 原告で勝訴したならば、仮執行宣言が付されている場合に仮執行を行うかどうか。
 同様に、被告で敗訴したならば、控訴の申立てと共に強制執行停止を申立てるかどうかなども検討します。

【参考】🔗「強制執行停止事件の流れ(申立てから発令まで)」(東京地裁ホームページ)

2 控訴理由書の提出 (Step2) ~ 控訴人の命運がかかる!

控訴状提出から、控訴審担当部からの連絡受領までの流れ

 控訴状を提出すると、裁判所では控訴の適法性審査が行われ、問題なければ事件記録が控訴裁判所へ送られます。
 控訴裁判所において控訴事件が配点されると、係属部や事件番号が決まります。
 控訴状の提出から、控訴裁判所における配点まで、1か月強かかります(地裁の事件係で進捗は確認できます)。

 控訴状の形式点検が終わると、控訴審の担当部より「訴訟進行に関する照会書」がFAXで送られます
 控訴人は、これにより控訴審の係属部や事件番号を知ることが多いです。

控訴理由書の提出へ

 控訴の提起後、50日以内控訴理由書を提出します
(控訴状に理由を記載できれば控訴理由書の追完は不要ですが、2週間で書けるケースはほとんどないでしょう。
 また、一種の訓示規定のため、50日を過ぎても不適法とはなりません。ただ、印象が悪く、死守したい期限です。)

 第1回口頭弁論期日前に、裁判官は合議で審理の方向性を決めます。
 そのため、控訴審において原審が覆されるかどうかは、この控訴理由書にかかっています

 控訴審において原判決を見直す理由となり得るのは、①法律解釈の誤り、②事実の誤り、③経験則の誤り、が考えられます。
 これらを念頭に、二審において証拠調べ等の審理が必要であることを力説し、まずは新たな証拠調べの実施に持ち込むことが1つの目標になります

✍ どんな控訴理由書が良いとされるか?

 裁判官によると、原審での主張をただ繰り返すだけの理由書が少なくないようです。
 現在の控訴審の審理は、請求の当否を最終的な審判の対象としつつ、控訴人の指摘する争点を検討しながら審理の対象を絞り込み、その争点に集中して行われます。

 この観点から、総花的に不服の点を羅列するのではなく、①原判決のどの部分について、どのような不服があるかを端的に示すもの、②当該事件の特殊性を浮き彫りにして、不服の理由との関連を具体的に表すものが、良い理由書と説明されています。

3 控訴答弁書の提出 (Step3)

 控訴裁判所において、控訴状の形式的点検が終わると、被控訴人の第1審代理人宛に「訴訟進行に関する照会書」がFAX送信されます。
 被控訴人においても、これによって控訴審の係属部や事件番号を知ることになります。

 ただ、控訴の有無については、第1審裁判所に照会することで確認ができますので、控訴の有無については、すでに知っていることがほとんどだと思います。
 そのため、控訴がされた場合には、被控訴人において「附帯控訴」をするかどうかを検討します
 附帯控訴は、口頭弁論が終結するまでできますが、終盤で附帯控訴をすると、控訴人の反論準備のために期日が続行される恐れもありますので、早めに出すことを心掛けたいところです。

 そして、この際に第1回口頭弁論期日の日程調整が行われます。

控訴状、控訴理由書、控訴答弁書を控訴人、被控訴人は提出します。
控訴人、被控訴人が提出する書面

控訴答弁書の提出

 実務において、控訴答弁書については、期限を定めずに提出を命じられることが多いです。

 しかし、控訴理由書の提出に対応して、被控訴人による控訴答弁書(反論書)の提出により、控訴審における争点を早期に確定することが可能となりますので、できれば第1回口頭弁論期日の1週間前には提出したいところです。

4 第1回口頭弁論(控訴審)期日へ (Step4)

 第1回口頭弁論期日は、控訴裁判所へ事件の配点がなされた後、控訴人・被控訴人双方の代理人の予定を調整し、だいたい控訴理由書提出期限から1~2ヵ月後に、控訴審期日(第1回口頭弁論期日)が開かれます。

第1回口頭弁論期日(控訴審)でよくみられる光景

 第1審の訴訟手続と同様に、次のような形式的な手続(但し、訴訟上の行為として重要な行為)が行われます。

 

裁判長

原判決事実摘示のとおり原審口頭弁論の結果を陳述しますか?

控訴人

陳述します。

裁判長

被控訴人も陳述でよいですか?

被控訴人

陳述します。

裁判長

それでは弁論を終結します。判決言渡し期日は、〇月〇日〇時〇分より、この法廷で行います。(これにて期日終了)

裁判長

(和解勧告がある場合のみ)
期日は終わりましたが、これから受命裁判官による和解協議を行いたいのですが、双方代理人のご都合は大丈夫でしょうか?

 ※控訴人代理人のプレッシャーは大きく、和解勧告なく弁論が終結すると、「ダメか。。。」と思うことが少なくありません。
 (和解協議なく結審しても、原審が取消しになることもあるようです。)

多くは1回結審

 終結可能な事件は、弁論を終結して1ヵ月半から2ヵ月後の期日に判決言渡しが指定されます。

 そして、多くの事件において、第1回期日で和解勧告がなされ、口頭弁論期日が行われた後に、和解協議が書記官室で行われます
 和解協議が重ねられて、判決期日を過ぎるような場合には、判決言渡し期日が変更されます。

 この和解協議を見越して、控訴審においては弁護士だけでなく、当事者も出廷していることが多く見受けられる印象があります。

✍ 控訴審裁判官の和解に向けたスタンス

 事件によって和解が不適切、または和解ができないという類型でなければ、多くの事件について和解を打診し、特に和解が望ましいと思える事件では積極的に行っているようです。

 なお、当事者側からすると実情が見えず、疑心暗鬼になってしまいますが、和解の勧告があるかないかで敗訴するかどうかが決まるわけではない点は留意しましょう。

和解期日における裁判官の心証開示

 基本的に、裁判官から開示される心証は、その裁判官個人の意見ではなく、合議を経た上での合議体の意見です。
 特に控訴審の和解は、事実審の最終段階であるため、開示された心証はそのまま判決に直結すると理解して差し支えないと考えるべきです。

 具体的には、裁判所は、強引に和解に持ち込むために、勝ち筋の事件であっても負けるという印象を与えるような、そのような心証開示は行っていません。

第2回期日へと続行される事件とは

 端的に、裁判所が請求の当否が判断できると考える事件は第1回で終結します(約8割が1回で終結)。
 しかし、このままでは請求の当否が判断できない、まだ審理が必要であると考える場合には期日が続行されます。
 具体的には、次のような場合に続行されます。

  • 控訴理由書の提出が第1回期日の直前だったため、被控訴人からの反論が間に合わなかった場合
  • 第1回期日の直前に附帯控訴がなされ、控訴人がそれに対する反論が間に合わなかった場合
  • 第1審の判断が不十分であると判断される場合や、控訴審で新たな主張が追加された場合
  • 専門的知見を有し、複雑困難な事案で慎重な判断が必要な場合 (例:医療訴訟、建築訴訟、公害訴訟など)

5 控訴審の終了 ~ 判決言渡し or 和解の成立 (Step5)

 控訴審の最終段階まで進むと、和解成立のハードルは低くありませんが、和解成立にて終了することも多いです。

 これに対し、和解が成立しない場合には、控訴審においても判決が言い渡され、一連の裁判手続が終了します。
 第1審判決と同様であれば、「控訴棄却」の判決を、第1審判決を取消す場合には「破棄自判」として控訴審裁判所が判断を示します(最高裁とは異なり、基本的に差戻しはしません)。

【判決主文の例】
控訴棄却の場合:
「本件控訴を棄却する。」

破棄自判の場合:
「原判決を次のとおり変更する。」、「原判決を取り消す。」として、「被控訴人は控訴人に・・・」など。

第3 よくある質問

 控訴審は必ず出席する必要がありますか?

 第1審同様に、事前に書面提出をすれば擬制陳述されますので、出席が必須ではありません
ただ、和解協議や裁判官の心証開示もありますので、基本的には出廷すべきです。

 1審で勝訴したのに控訴審で取消される場合、1回だけでの期日で終結してしまうのは、被控訴人(1審勝訴の方)に不意打ちにならないのでしょうか?

 確かに、一昔前には1回結審で結論が変わることは考えられなかったようです。
 ただ、1回結審するかどうかは、結論が変わるかという視点ではなく、請求の当否が判断できるかどうかです。

 第1回期日で結審する場合には、和解勧告がなされることが多く、その中で1審判決と逆の結論になることが心証開示されていることが多いようです。

 控訴審で新たな証拠を提出した場合、取り調べてもらえますか?

 書証については、立証趣旨によって要証事実との関係が明らかにされていれば、多くの場合は採用されます

 これに対して、人証については、第1審で申出がされなかった、又は採用されなかった証人については、当該証人が有益な情報を有しているとは想定しづらく、特別な事情がない限り、採用されることは困難だと思います。
 特別な事情とは、第1審で病気等により証言できなかったやむを得ない事情があったことや、控訴審によって新たな主張が出され、新たに取り調べる必要性が生じた場合などが想定できます。

 また、尋問を実施済みの当事者や証人の場合であっても、重要な点について尋問されておらず、控訴審裁判官が心証を掴めないような場合には、職権でも実施されます(ただ、これは代理人弁護士にとっては好ましい事態ではありませんね)。

 第1回口頭弁論終結後に弁論準備期日が指定されました。弁論準備期日は、どのような場合に開かれますか?

 第1審の判決がいわゆる欠席判決だったり、公示送達や本人訴訟の場合など、実質的な審理が行われなかったときは、控訴審で争点等の整理のために弁論準備期日が開かれます。
 また、そのような場合でなくても、事案が複雑で争点が多岐にわたるような場合には、控訴審においても争点等の整理が必要として、弁論準備期日が開かれます。

 控訴審まで進んでいるのに、なぜ和解に応じる必要があるのでしょうか?

 控訴審に至るまでずっと戦い続けてきて、紛争の最終解決として、決裂のまま判決で良いかという、解決方法としての落ち着きや当事者の心情を考慮する必要があります。

 また、勝訴判決が維持できる場合でも、強制執行で確実に回収できるかの問題は引き続き残ります。
 同様に、判決では考慮できない柔軟な解決(口外禁止など)を図る要請も考慮されます。

 第1回口頭弁論が終結し、判決期日が指定された後でも、弁論の再開が認められるのはどのような場合でしょうか?

 和解協議における裁判官の心証開示により、主張を追加したいと考える当事者もいます。
 その場合でも、再開申請書を読み、指摘されている主張・立証について審理をして請求の当否に影響するという判断になれば、弁論再開がされているようです。

第4 終わりに

 裁判を行う機会自体、多いものではなく、控訴審となればさらに少ないものです。

 少しでも、控訴審における裁判手続のイメージが伝われば幸いです。

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