ゴルフクラブを退会するに際して、何か注意すべきことを疑問に思う人の図。

年齢や環境の変化、または相続などの事情によって、所有するゴルフ会員を退会したいと思う場面が発生します。

ゴルフ会員を退会したり、譲渡したりする際には、預託金が返還されるのかについては、しっかりとチェックをして欲しいと思います。

✍ 退会・売却する場合

預託金がどうなるかは、しっかりと確認しよう!!

預託金のわずか3%での買取をゴルフクラブより提案されたため、当然に預託金は含まれていないだろうと思って手続をしたところ、預託金返還請求権も含めて売却されてしまい、預託金の返還請求ができなくなった裁判例を紹介します。

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第1 ゴルフ会員権の法的性質

預託金会員制ゴルフクラブの会員権は、①ゴルフ場施設の優先的利用権、②預託金返還請求権、③年会費納入等の義務を内容とする債権的法律関係ないしは契約上の地位であると、最高裁の判例によって説明されています(最三小昭和50年7月25日)。

預託金会員制ゴルフクラの会員権は、ゴルフ場施設の優先利用権、預託金返還請求権、年会費納入等の義務を内容とします。
預託金ゴルフクラブ会員権の法的性質

このような複合的な性質からすれば、個々の会員権の一部のみを分離して譲渡・処分することは予定されていないと考えられます。

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第2 問題となった裁判例の紹介(京都地判令和3年9月16日)

1 事案の概要

当事者と原告の請求内容

【原告】 ゴルフクラブの会員権を前会員から購入した会員

【被告】 ゴルフ場を運営している会社

【請求内容】ゴルフクラブを退会したので、被告に対して預託金の返還を求めました。

事実経緯

原告(ゴルフ会員)は、他の会員より会員権を買取り、被告ゴルフクラブの理事会の承認を得て、個人正会員となりました。

この際に原告は、ゴルフクラブ会員権の代金を他の会員(売主)に支払い、かつ、被告ゴルフクラブに対しても、登録金(名義書換料)として82万4,000円を支払っています。

時が経ち、ゴルフをやらなくなったので、原告は被告に対して退会したいと電話で伝えました。

被告から、「退会手続きのご案内」と記載された書類一式が届き、退会届、退会同意書、会員証書紛失届、携帯用会員証等に係る紛失届、振込依頼書が送付されました。

この「退会同意書」には、正会員のゴルフ会員権を2万7,000円で被告に売却し、退会手続をとることに同意すること、会員権の表示として、会員名、会員番号、会員種別、証書発行日、預託金の額(90万円)が記載されていました。

また、「退会手続きのご案内」には、「会員権買取りの手続き」として、各書類を含む所定の書類を揃えて送付する必要があること、代金2万7,000円は原告指定の口座に振込むこと、振込手数料は被告が負担することなどが記載されていました。

原告は、送付された書類に必要事項を記載して、印鑑登録証明書等を添付して、被告に送付しました。

被告は、これら書類の受領をもって、本件ゴルフ会員権の売買契約が成立したとして、原告の口座に2万7,000円を振込ました。

原告は、預託金が未払いになっているものと思い、被告に対して預託金の返還を求めました。

2 当事者の主張

預託金性のゴルフ会員権は、①施設優先利用権、②預託金返還請求権、③年会費納付義務によって構成されています。
ゴルフクラブ(被告)

会員権は、ゴルフ場施設の優先的利用権、預託金返還請求権、年会費支払義務という一体化した債権的権利義務によって構成される財産的価値のある契約上の地位です。

預託金部分だけを分離して、預託金返還請求だけを行使することは、性質上不可能で、一部のみを分離して譲渡、処分することは予定されていません。

本件でも、原告が署名、押印した退会同意書に預託金90万円を含めて買取りの対象であることが記載されています。

ゴルフ会員(原告)

会員権と預託金返還請求権は、別個のものと権利と捉えるべきです。

私は、預託金返還請求権を除く会員権を2万7,000円で売却したのであり、預託金返還請求権は売却していません。

常識的に考えて、預託金90万円のわずか3%にすぎない2万7,000円なんかで売却するはずがありません。

仮に売却をしてしまったとするならば、私は預託金返還請求権を売却するとは分からなかったので、錯誤がありますので、会員権の売却は無効であると主張します。

民法95条【錯誤】(一部抜粋)
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

🔗e-Gobe法令検索「民法」

3 判決の内容

裁判所の判決

原告は被告に対して、2万7,000円でゴルフクラブ正会員権を売却したものと認定できる。

原告の錯誤は認められるが、重大な過失があるといえるから、売買契約の無効を主張することはできず、すでに会員権の地位を失っている。

そのため、預託金の返還を請求することはできない。

会員権は、それを構成する権利義務の一部のみを分離して譲渡・処分することは予定されておらず一般に預託金会員制ゴルフクラブのゴルフ会員権は、市場において預託金返還請求権と分離して流通、売買の対象とされているものでないことは広く知られていること、・・・会員権を代金2万7,000円で売却する旨の記載がされ、原告が署名押印した退会同意書には預託金の額が明記されていること、原告は会員権の買取金額が預託金の額を基準に定められていることに疑問を抱きつつ被告に対して疑問点を尋ねるなどしていないことからすると、原告が錯誤に陥ったことは非常に軽率であり重大な過失があるから、原告は売買契約の無効を主張することができず、売買契約により会員権の地位を喪失し、原告の預託金返還請求は理由がない、との判決を下しました。

4 コメント

ゴルフ会員権の市場取引の実情をみても、会員権部分と預託金部分は一体として流通、売買されていますので、会員権部分だけ、あるいは預託金部分だけを分離して流通、売買されていません。

そうしますと、原告の真意が会員権部分のみを売却したというのは、表示行為と真意の間に不一致(錯誤)があり、売買契約の要素に当たるとしても、このようなゴルフ会員権の法的性質や市場取引の実情に照らすと、軽率な判断として重大な過失が認定されてもやむを得ないように思います。

本来であれば、90万円を請求できるものが、わずか3%で処理されてしまったのは、原告の悲劇としかいいようがありません。

手続を進める場合には、専門家にちょっと相談してみるだけでも安心できると思いますので、ぜひご活用していただきたいと思います。

5 あわせて読みたい ~ 当事務所の参考記事

第3 弁護士の無料相談を活用する

弁護士 岩崎孝太郎

ゴルフクラブ会員権の取引など、人生で何度も経験することではありません。

特に相続の場合など、ゴルフをされたこともない方には、より一層馴染みのないものとなります。

今回ご紹介した裁判例は、退会にあたっての思わぬ落とし穴に嵌ってしまったケースといえるでしょう。

裁判所は、書面を非常に重視しますので、退会同意書などに署名・押印した場合には、その内容を覆すのは非常に困難です。

ぜひ、取り返しのつかなくなる前に、専門家をご活用いただきたいと思います。

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