Q
民事裁判(第1審)は、どのような手続で進んでいくのでしょうか?
A
大まかなイメージとして、民事裁判手続は以下の流れで進んでいきます。
訴えの提起 → 第1回口頭弁論期日
裁判所に訴状を提出します。
訴状審査を終えると、第1回期日を調整した後で、訴状が被告に送られます。
第1回期日までに、被告は答弁書を提出し、争うかどうかの態度を明らかにします。
なお、第1回期日は、被告の都合を聞かずに決められたものですので、被告は答弁書を提出することで欠席することが可能です。
原告は、遠方であろうと、出廷しなければなりません。
そのため、裁判管轄(どこで裁判を行うか)が重要になってきます。
ただ、最近は、第1回目からweb会議となることも多く、管轄の重要性は下がっています。
さらに、民事訴訟法の改正により、口頭弁論でもweb開催が可能となりますので、第1回期日から「STEP2 争点整理」を行っていく流れに変化していくでしょう。
web会議に普及により、どの弁護士も全国対応になり、裁判所の場所(管轄)に対する考え方はこれから大きく変わっていくでしょう。
争点整理 ~ 弁論準備手続期日や和解の検討
訴状、答弁書だけでは、その帰趨が分からないことが多く、さらに各当事者は準備書面による主張の補充や証拠の追加提出を行います。
第2回期日以降は、公開された法廷の場ではなく、書記官室などの非公開の場で行われます。
期日は、概ね1~2か月程度毎に開かれ、
原告「第1準備書面」の提出
⇒ 被告「第1準備書面」の提出
⇒ 原告「第2準備書面」の提出
⇒ 被告「第2準備書面」の提出と、、、この応酬を繰り返します。
複雑な事件でなければ、だいたい第2~第3準備書面の提出くらいまでで、多くの事件は主張が尽くされることが多いように思います。
双方の主張が尽くされた段階で、和解協議に移ったり、集中証拠調べ(尋問)に移ります。
集中証拠調べ ~ 当事者・証人の尋問
争点整理段階で和解が成立しない場合には、証拠調べの大詰めとなる尋問へ移ります。
1期日にて原告側、被告側双方の請求した方の尋問を行います。
尋問が終わると、裁判の審理はほぼ尽くされますので、最終的な和解案が裁判所から出されることが多いです。
ここで和解が成立すれば裁判は終わりますが、成立しなければ、判決言渡しへと移ります。
訴訟の終了(和解不成立) → 判決言渡し
裁判所が指定した期日にて、判決が言渡されます。
判決に不服がある場合、控訴できますので、なるべくこの控訴期間に余裕を持つために、判決当日は法廷に行かず、電話で主文を確認し、後日判決書を受領します(受領してから控訴提起期限が算定されます)。
判決内容を踏まえて、支払方法の協議をすることや、強制執行の手続に移ることの検討が行われます。
まだ当事者としてはやるべきことがありますが、この判決言渡しで、事件の1つの大きな節目を迎えることとなります。
第1 民事裁判(訴訟)の概要
1 民事裁判(訴訟)はハードルが高い?
任意交渉で話し合いがまとまらず、支払督促をしても異議を出してくる可能性が高く、調停による話し合いでは解決を図るのが難しそうな場合には、債権者は訴訟(裁判)手続により解決を図るしかありません。
弁護士にとっても、裁判は気軽にやりましょうと思うものではありません。
しかし、決して利用するのをためらうほど、ハードルが高過ぎるものでもありません。
そのため、この記事が、民事裁判手続の流れや制度を身近に感じられるように、そして積極的に活用したいと思う機会になればと思います。
なお、「裁判」や「訴訟」と両方の言葉が使われますが、厳密な意味の違いはありますが、同じ意味と理解して問題ありません。
2 民事裁判を利用する目的
民事裁判を利用する最大の目的は、強制的な債権回収が可能となることです。
いくら完璧な契約書が存在したとしても、それだけでは国家権力の力を借りて強制的な回収を図ることはできません。
そこで、強制執行を発動するための「債務名義」を獲得するために、民事裁判手続を経ます。
3 刑事裁判との違い
刑事裁判の特徴
刑事裁判は、検察官が起訴した事件について、被告人が有罪か無罪かを決める手続です。
そして有罪の場合にはどのような刑罰を科すべきかが判断されます。
裁判の当事者は、必ず訴追側は検察官で、被告人に弁護人(弁護士)が就きます。
また、民事裁判の多くは和解によって終了しますが、刑事裁判においては途中での和解はなく、有罪か無罪の判決の言渡しによって終了する違いもあります。
🔗「もし、あなたが裁判員に選ばれたら?裁判ではどんなことをするか知っていますか?」(政府広報オンライン)
刑事裁判 | 民事裁判 | |
---|---|---|
裁判の始まりの呼称 | 起訴状 | 訴状 |
起訴(訴え)権限 | 検察官のみ | 誰でも裁判を利用可能 |
当事者の呼称 | 検察官 被告人 弁護士は「弁護人」 | 原告 被告 弁護士は「代理人」 |
裁判の主眼 | 被告人の犯罪の存否 | 私人間の請求権の存否 |
立証責任 | 疑わしきは被告人の利益に ⇒ 検察官が犯罪事実の立証責任を負う | (原則)自己に有利な主張について 立証責任を「各」当事者が負う |
準拠法 | 刑事訴訟法 | 民事訴訟法 |
証拠の扱い | 厳格 ⇒ 証拠採用に厳しい規制 (法定要件)あり。 採否自体が激しく争われる。 | 緩い ⇒ 証拠採用に制限なし。 証拠の評価は裁判官に委ねる。 無断録音も基本的に採用。 |
証拠の呼び方 | 【検察官提出】 甲号証…被告人供述証拠以外の証拠 乙号証…被告人に関する証拠(供述調書、戸籍等) 【弁護人提出】 弁号証 | 原告提出…甲号証 被告提出…乙号証 |
当事者の座席位置 | 法廷により異なる。 ⇒ 被告人用のソファーが置いてある方に弁護人は座る。 | 全国一律の座席位置。 ⇒ 裁判官に向かって左手が原告、右手が被告が座る。 |
民事裁判の特徴
民事裁判は、原則としてあくまでも私人間による争いです。
警察の民事不介入という言葉にもあるように、訴える方(原告)も訴えられる方(被告)も私人となり、警察権力は介入しません。
訴えられる方は、「被告」であって、「被告人」とも言いません。
🔗「民事事件の登場人物」(裁判所HP)
4 民事裁判の審理期間
裁判は非常に長い時間がかかるイメージがあると思います。
確かに早くは終わりませんが、平均審理期間が約10ヵ月弱と、1年かからずに終わっていることの方が多いようです。
なお、被告が争う場合の事件では、平均審理期間が1年4か月程度に延びているようです。
🔗「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」(裁判所HP)
5 三審制
第1審裁判所は、請求金額が140万円までが簡易裁判所へ、140万円超の場合に地方裁判所へ訴えを提起します。
第1審の判決に不服がある場合には、控訴・上告することができ、高等裁判所、最高裁判所の判断を仰ぐことができる制度になっています。
ただ、実際に事実関係の取調べ等ができるのは第2審までとなり(最高裁は法律審とされ、事実関係の調べはしません)、最終勝負は高等裁判所(控訴審)という感覚を持っている法律家は多いと思います。
【関連記事】あわせて読みたい
(第2審)「控訴審」裁判の流れ第2 各手続の具体的な流れ
1 訴え提起から第1回期日まで(STEP1)
原告が訴えを提起する書面を「訴状」(そじょう)と呼びます。
これに対して、被告が最初に提出する反論書面を「答弁書」(とうべんしょ)と呼びます。
以降は、各当事者は「準備書面」と呼ばれる書面を提出していきます。
特に、最後に提出する総仕上げの準備書面を「最終準備書面」と呼びます。
(訴える側)原告の視点で眺める
原告は、訴状や証拠書類を裁判所に提出して訴えを提起すると、裁判所の担当部より連絡がきます。
訴状審査での訂正連絡があれば対応をし、問題なければ第1回期日の調整をします。
その後、裁判所は、訴状一式を被告に郵送します。
被告に問題なく送達されればよいですが、被告が受け取らなかったり、所在不明などの理由で送達されなかった場合には、被告の所在調査などの連絡が原告にあります。
調査しても被告の居所等が不明の場合は、公示送達(裁判所の掲示板にて事件係属を知らせる方法)等によって手続を進めることになります。
(訴えられる側)被告の視点から
裁判所から届く訴状等一式の中に、答弁書の提出期限と第1回期日が記載された書面がありますので、期限を守って対応をします。
第1回期日は、原告の都合により決めている期日ですので、被告に出席義務はありません。
そのため、答弁書を提出しておけば、答弁書の内容が期日において擬制陳述(期日において陳述した扱い)されます。
反論を作成する時間がなければ、以下のように記載すれば、とりあえずは足ります。
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 との裁判を求める。理由は追って提出する。 |
第1回期日で多く見られるやり取り
原告は訴状の通り陳述しますね?
はい。
被告から答弁書が出ておりますので、擬制陳述とします(被告欠席)。
それでは、第2回期日の期日を調整して、今日は終わります。
このように、第1回期日は時間にして数分程度で終わることが多いです。
ただ、今後はweb会議の導入に伴い、第1回期日も被告の予定を調整して、答弁書にて実質的な反論をさせた上で臨むことが多くなると思います。
そうなると、これまで当たり前だった光景も、時代の移り変わりと共に変わっていくことでしょう。
2 民事裁判の肝~争点整理!!裁判手続は基本これ(STEP2)
第2回目以降の期日は、法廷ではなく、裁判所の書記官室で開かれることが多いです(特に覚える必要もありませんが「弁論準備期日」と呼びます)。
今後は、書記官室ではなく、「書面による準備手続」(双方出廷する必要のない手続)によるweb会議が主流になるでしょう。
このように、公開の法廷で期日が続けられることは多くありません。
実際の感覚としても、公開の法廷で行うより関係者の距離も近く、踏み込んだ話がしやすいものと感じます。
第2回目以降の期日は、期日間に提出した準備書面の内容確認や、その主張がどこまで強い証拠により裏付けられているか、などの協議を行います。
期日は、一方当事者の準備期間(準備書面の作成と証拠収集に必要な期間)を考慮して決められ、概ね1~2ヵ月毎に行われます。
1回の期日では、10分から、長ければ30分程度が多い印象です。
なお、和解協議期日になると、当事者が入れ替わって裁判長と話をしたりして、長いと1時間を超えることもあります。
3 常に意識する和解(和解のススメ)
争点整理を通じて、争点が特定され絞られてくると、この絞られた争点の立証の難易自体は見通せることが多くあります。
そのため、証拠調べを行う前の段階で、裁判官は一定の仮説的な心証を抱くことが多いと言われています。
この争点整理の後半段階あたりに、「裁判官がその時点で抱いた一応の心証を基に作成」した和解案が出されることが多いです。
✍ 裁判までしたのに、なぜ和解を勧められるのか?
和解のメリットは、①早期に終結できること、②相手の履行が期待できること、③判決以外の条項を加えられること(口外禁止条項など)、④予測しづらい判決を回避できること、などが挙げられます。
一方、デメリットとしては、①譲歩をする必要があること(最大限有利な判決をもらう可能性を喪失)、②後から和解の無効を主張できないこと、などが挙げられます。
判決を取得しても、相手が任意の支払いに応じなければ、強制執行等により回収を図るしかありません。
しかし、裁判上の和解が成立する場合、相手方は和解内容をほぼ履行しますので、特に相手の履行ができる効果が一番大きいものと考えています。
🔗令和2年の司法統計によると、(欠席判決を除く)判決により終結した割合が23.4%、和解により終結した割合が35.3%となっており、実際にも和解にて終了する件数の多さがうかがえます。
4 尋問(裁判の大詰め)集中証拠調べ(STEP3)
準備書面のやり取りや証拠の追加提出による争点整理手続の過程で、双方の主張がより鮮明になり、争いのない事実が絞られていき、裁判の争点も明確になっていきます。
こうして、証拠調べの対象が絞り込まれるので、その最後の段階として当事者や証人(人証)の尋問を中心とした証拠調べが行われます(「集中証拠調べ」と呼びます)。
なお、争点整理の段階で重要な書証は提出されていますので(「適時提出主義」に基づく訴訟行為と呼びます)、集中証拠調べとは人証の尋問を意味することになります。
集中証拠調べにより、数名の人証について、1期日に2時間(半日で行う場合)から6時間程度(1日で行う場合)の時間をかけて、全ての尋問が行われます。
陳述書の活用
集中証拠調べが普及した背景に、当事者本人等の関係者による事件に対する認識を要領よくまとめて記載した陳述書(書証)の事前提出があります。
陳述書の作成にあたっては、自己紹介(何をしているか、事件との関わり方など)をし、争点となっている事実についての認識を時系列に沿って作成することが多いかと思います。
弁護士が内容を確認した上で提出しますが、あくまでも作成者は本人になりますので、文章表現を含め、自分の認識と相違ないか、細かいところまでチェックすることが大切です。
尋問期日の流れ
尋問前に法廷に入ると、「宣誓書」に署名、押印をします。
そして、全員で起立した上で、人証対象者(当事者、証人)が「宣誓書」を読み上げます。
宣誓書には、「宣誓 良心に従って真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います。」等と記載されています。
尋問の順番などは事前に決められ、尋問を終えた場合には、他の尋問が残っていても帰っても大丈夫です。
当事者は、尋問の間、当事者席(法廷の内の左右の机)でも傍聴席でも、どちらでも在廷可能です。
なお、会社が当事者となっている場合の代表取締役は、当事者扱いです。
これに対し、証人の場合は、他人の証言内容に影響される恐れがあるため、自身の尋問が終わる前に他者の尋問を見ることはできず、法廷の外などで待機するように指示されます。
自身の尋問が終わった後は、帰っても、傍聴席から傍聴することも可能です。
尋問は、以下の流れで通常行われます。
- 主尋問
- 尋問の申出をした当事者が行います。
主尋問の重要な目的は、陳述書の内容を証人・本人に具体的に話してもらうことです。
- 反対尋問
- 相手方の当事者が行います。
反対尋問は「相手方の主張を弾劾すること」、すなわち①客観証拠との矛盾をつく、②陳述書と証言・供述の矛盾をつくことです。
しかし、実際には水掛け論や論争に終始し、有効な弾劾がなされることは少ないです。
それほど反対尋問は難しいものと多くの法律家は思っています。
- 再主尋問
- 尋問の申出をした当事者が行います。
反対尋問で答えられなかった理由や補足説明などを質問することがありますが、行われないこともあります。
- 補充尋問
- 最後に、裁判官が行います。
主尋問、反対尋問を経ても、確認が取れていない部分を聞いたりしますが、行われないこともあります。
なお、尋問のやり方に、「対質」といい、複数の証人に対し同一内容の質問をして他の証人の証言内容を聞かせ、その証言の真否を問うたり、認識が異なる理由を尋問する方法があります。
しかし、この集中証拠調べにより、同日において尋問を行うことで裁判官も心証を取りやすくなり、対質に近い側面を有することから、一般的な事件ではほとんど活用されていません(私自身、経験ありません)。
「異議あり」・・・尋問の花形?
尋問には、できる限り個別的かつ具体的な質問でなければならないというルールがあります。
そして、以下のように質問をしてはならないルールもあり、その際に相手方が「異議あり」と述べることができます(民事訴訟規則115条2項)。
- 証人を侮辱し、または困惑させる質問
- 誘導質問
- すでにした質問と重複する質問
- 争点に関係のない質問
- 意見の陳述を求める質問
- 証人が直接経験しなかった事実についての陳述を求める質問
ただ、弁護士も異議の出る質問は避けようと心掛けていますので、「異議あり!!」を見る場面は必ずしも多くない印象です。
5 最後の和解チャンス
多くの場合、証拠調べが終わった後に、裁判所から最終的な和解案が出されます。
最終準備書面の提出があるにせよ、すでに主張と証拠は出し尽くされていますので、ほぼ判決と同一の和解案となります。
勝訴側には早期終了と任意履行を期待できるメリットが、敗訴側にも判決よりも若干なりとも支払いを抑えられるなどのメリットがあることも多く、この段階で和解が成立することも少なくありません。
6 判決による終結へ(STEP4)
和解の成立が見込まれない場合には、証拠調べの結果を受けて、最終準備書面により証拠の評価と主張のまとめを行います。
尋問において、新しい事実が出ていないような場合には、最終準備書面は提出せず、そのまま事件は終結となり、判決期日の指定に移ることもあります。
口頭弁論の終結の日から判決の言渡しまでは、原則として2ヵ月以内と定められています。
判決言渡し後の流れ
判決は公開の法廷で言渡されますが、当事者が不出頭でも言渡すことが可能で、実際に判決期日に出廷する当事者は稀です(出廷しても、電話で確認できる主文の言渡しのみですので、わざわざ出廷するメリットがありません)。
裁判官は判決の主文を口頭で朗読して言い渡しますが、判決理由は、通常は省略されます。
なお、言渡し後であれば、電話で判決主文を確認できます。
判決書は、裁判所に受取りに行くか、郵送で送達してもらいます。
【勝訴した場合】
相手が控訴するかどうかを確認します。
そして、強制執行、財産開示手続等を行っていきます。
国家権力の発動を促す「債務名義」を獲得しましたので、債権者としてでき得る限りのことを尽くしましょう。
債務者は、本当に「無い者」なのか、相手が支払わないのであれば、どこまでも食らいついていきます。
【敗訴した場合】
一方、敗訴した場合、特に判決に仮執行宣言が付されている場合には、判決確定前に強制執行を受ける可能性があります。
そのため、控訴して争うかどうかだけでなく、強制執行停止の決定を申立てるかどうかも検討しなければなりません。
控訴する場合、判決書が送達された日の翌日から起算して2週間以内に行う必要があり、あまり時間はありません。
第3 よくある質問等
-
裁判は大変だと思いますが、1回の手続で終わる少額訴訟や、郵送だけの支払督促という手続があると聞きました。
それを利用しないのはなぜですか? -
少額訴訟も支払督促も、相手方より異議が出されると、「訴訟」に移行します。
争いがある事件では、最初から訴訟を提起した方が迅速な解決を目指せます。なお、少額訴訟は、そもそも60万円以下の金銭の支払を求める事件でしか利用できません。
-
弁護士に依頼した場合、裁判所には何回行くことを想定すれば良いですか?
-
訴訟の進行具合によってもちろん変わりますが、和解期日で1回、尋問期日で1回、合計2回の想定はお願いしています。
和解協議が難航すれば、これにプラスして1~2回程度の出廷があり得ると思います。
-
裁判期日に行きたいのですが、誰でも見られますか?
-
弁護士に依頼していれば、期日に出廷する必要はありませんが、当事者は、非公開の弁論準備期日等にも参加できます。
また、当事者でなくとも、裁判所が相当と認める者に傍聴を許可することができます。
企業の業務担当者や当事者のために事務を処理する者等、当事者が申出た者については、原則として傍聴は許可されます。なお、一般論として、公開の法廷であれば、誰でも出入り自由ですので、いくらでも傍聴できます。
裁判所に行けば、当日の期日簿が置かれていますので、その日に裁判所で開かれる裁判一覧が分かります。民事は「訴状の通り陳述します」だけで終わることも多く、尋問期日も何をやっているか第三者には分からないことも多いため、尋問期日においても傍聴者はほぼいません。
傍聴するなら、刑事事件が良いでしょう。
-
裁判期日に出廷する際、服装は平服で大丈夫でしょうか?
-
特に服装の決まりはありません。
東京には、法律事務所の敷居を下げる目的とのことで、タンクトップにサンダル姿で出廷する弁護士も存在するくらいです。現場仕事などであれば、スーツより会社のユニフォームなどの方が、どのような仕事をしているのか、仕事に対する矜持も伝わりやすい面があると感じていますので、むしろ私は仕事着を推奨しています(スーツを好まれる方は多いですが、服装は審理に影響しません)。
-
裁判で勝てば、弁護士費用も相手に請求できますか?
-
裁判で勝ったとしても、弁護士費用は自己負担が原則です。
裁判所に納める費用(収入印紙代、郵券代等)は、敗訴者に負担させることができます。例外的に、労災や交通事故などの不法行為に基づく損害賠償請求においては、請求認容額の1割程度を、弁護士費用として認定されることが多いです。
-
裁判で勝っても、「判決が紙切れにしかならない」とはどういう意味でしょうか?
-
裁判で勝訴しても、判決書それ自体は、単なる「紙の存在」でしかありません(「債務名義」として法律上の価値は高いですが)。
この判決書を基にして債権回収を図りますが、相手に資力がなければ未回収のまま終わってしまうことが多く、判決書を金銭に変換することができない事態になってしまいます。
債権回収を行う上では、「法律的に正しい ⇒ 裁判で勝てる」だけでなく、回収可能性を考慮しながら、どのような方法がベストか考えなくてはなりません。
-
2000万円の支払を認める判決を得ましたが、まだ1円も回収できていません。
しかし、依頼した弁護士からは、2000万円を基準として報酬を求められています。
この弁護士費用は、支払う必要がありますか? -
事前の取決め次第になります(紛争の種なので、一般的には事前に確認されている事項だとは思います)。
経済的利益の算定にあたっては、回収額をベースにするか、法律上認定された金額とするかは、いずれもあり得る契約方法です。実際に回収していなくとも、何もない状態から、法律的に債権の存在が公証されたことになりますので、その意味で「成功」報酬の要件を満たすものと考えられます。
この質問を受けることが偶にありますが、ご依頼された弁護士と協議するよりありません。
第4 訴え提起に必要な書類・費用など
1 提出書類一式
- 訴状 (収入印紙の貼付)
- 証拠説明書
- 証拠 (甲号証)
- 委任状 (弁護士に委任する場合)
- 資格証明書 (法人登記簿)
- 郵券 (郵便切手)
2 提出部数や添付書類について
訴状や証拠類は、被告の数+1が必要になります。
【参考】🔗「訴状作成上の注意事項」(仙台地裁HP)
訴状の記載方法については、
🔗「民事訴訟・少額訴訟で使う書式」(裁判所HP)
🔗「簡易裁判所で使う書式例」(千葉簡易裁判所HP)
🔗「申立てに必要な書類等」(東京簡易裁判所HP)
が参考になります。
裁判所に提出する書面は、左側2カ所をホッチキス留めします。
新人の時に、左上1カ所で提出してしまい、裁判所の方に優しく教えてもらった苦い思い出があります。。。
3 訴訟にかかる費用など
収入印紙を訴状に貼付けて提出します。
訴訟提起に必要な費用は、①収入印紙代、②郵券(郵便切手)代です。
🔗手数料早見表(裁判所HPより)
郵券は、原告、被告が各1名の場合には、6,000円が基準となります。
【参考】
🔗「東京地方裁判所への民事訴訟事件又は行政訴訟事件の訴え提起における郵便切手の予納額について」(東京地裁HP)
第5 民事裁判(訴訟)手続のまとめ
経済活動を行う以上、トラブルの発生は避けて通れません。
ただ、それでも実際に裁判手続まで経験されたことのある経営者の方は必ずしも多くないと思います。
裁判は、時間もお金もかかります。
しかし、そうだとしても、絶対に引けない争いが生じてしまうことがあります。
この記事が、図らずも裁判に巻き込まれてしまった方々や、裁判を起こそうか迷われている方々にとって、少しでも具体的なイメージをお伝えできるものであれば幸いです。
【関連記事】 弁護士に債権回収を依頼する:手続の流れと費用(着手金・成功報酬)
お問い合わせフォーム
私たちは、常に最善のリーガルサービスを提供できるように、日々研鑽を積んでいます。
そして、依頼者と「共に戦う」集団であることを志向しています。
お問い合わせ
ご相談については、予約制となっております。
来所相談だけでなく、Zoom・Google Meetによるオンライン相談も対応しておりますので、全国対応しております。
お問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
相談時に必要なもの
事前に以下のものをご準備いただくと、ご相談がスムーズに進みます。
- 相談内容の要点をまとめていたメモ
- ご相談に関する資料や書類
ご相談(初回相談料:1時間あたり1万1,000円)
法律上の問題点や採り得る手段などを専門家の見地よりお伝えします。
問題解決の見通し、今後の方針、解決までにかかる時間、弁護士費用等をご説明いたします。
※ご相談でお悩みが解決した場合は、ここで終了となります。
ご依頼
当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。
問題解決へ
事件解決に向けて、必要な手続(和解交渉、調停、裁判)を進めていきます。
示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。
終了
委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。