美容整形クリニックのよくあるご相談
美容整形・美容外科でよくあるご相談は、主に患者からの理不尽なクレームと、インターネットにおける誹謗中傷被害が多数を占めています。
疾患を治療する医療行為とは異なり、健康体でありながら大きな期待を抱いて治療を受けることから、受けた説明と異なる理想を妄想してしまい、結果にショックを受けるケースが多いように見受けられます。
基本的に、美容整形・美容外科におけるクレームは、クリニックにおいて説明義務を尽くしている限り、クリニックの責任が問われることは多くありません。
ただし、法律問題へと発展しやすい点は、見過ごせない事実です。
特に説明義務は、一般の医療よりも、より高度の説明義務が認定されやすい傾向にあります。
また、インターネットにおける被害は、表現が権利侵害となるかの判断が微妙なことが多く、事業者にとっては専門家とのパイプ作りは必要不可欠と考えています。
実際の事例紹介
医療行為へのクレーム(損害賠償請求)
クリニックの責任が否定された事例
- 二重切開手術を受けた患者が、手術により瞼が二重にならなかったなどと主張しましたが、クリニック医師の手術の手技内容等が当時の医療水準に適ったものでなかったことを裏付ける医学的知見は認められないと判断されました(東京地判R3.9.16)。
- エンドリフト(レーザー照射により脂肪を蒸散させる美容施術)を受けた患者が、施術後に顔面部に瘢痕が残ったのは、クリニックの説明義務違反、過剰なレーザー照射を行った手技上の過失によるものとして損害賠償を請求しました。
しかし、同意書の存在や診療録などからクリニックがリスクを説明したことを認定し、また、適切なレーザー照射によっても深達性Ⅱ度熱傷が生じる可能性が否定できないとして、手技上の過失は認められないと認定しました(東京地判R3.5.28)。
クリニックの責任が肯定された事例
- 「Motiva・エルゴノミックス」を使用する豊胸手術の診療契約が締結されていたのに、医師が手術時に患者の胸部を切開した際、胸部組織が予想以上に硬いと判断し、よりボリューム感の出やすい同じMotivaの違う素材を利用しました。
しかし、医療上の必要性や緊急性に乏しい美容整形の分野においては、医師の裁量の範囲は狭く、患者の意思をより重視すべきとして、慰謝料80万円の請求を認めました(東京地判H30.7.13)。 - フェイスリフト手術により、患者の期待していた効果が得られず手術痕が残ったことについて、手術の効果や合併症に関する説明義務違反が認定され、慰謝料50万円が認められました。
フェイスリフト手術の主な対象が40歳以上であるのに、本件の患者は32歳でした。
そのため、審美目的の医療行為において、これを希望する患者の年齢、既往、手術歴などにより審美目的の医療行為の効果に影響を与え得る個別的な事情がある場合には、医師としては、当該患者に対し、審美目的の医療行為の効果についてそのような当該患者の個別的な事情も踏まえて具体的な説明をする必要があると述べました(東京地判H28.11.10)。
インターネット被害
権利侵害が認定された事例
- 電子掲示板において「精神病んでいる女をピックアップして医者の立場を使って犯してた」等の投稿(東京地判R3.12.23)。
- 電子掲示板において「前にも書いたんですが施術した経歴を人が沢山いる受付の目の前で大声で(←2回も)話された。恥ずかしかった。大変不快な思いをしたので意を決して閉院後に院長に伝えたのですが」等の投稿(東京地判H30.2.8)。
- 電子掲示板において「あそこは、患者さんを騙して、金儲け、超ヤバイ。」、「医者も美容外科としては、新米ばかりだから、超下手くそ。」、「研修医上がりの一年目の先生が天才的なオペなんてあるわけないでしょ~!しかも下手で通っているんだから。」、「やっていることが、悪どい。安い値段で広告出して釣って、実際は色んな理由をつけて高額な料金を請求する悪徳美容外科だよ。」等の投稿(東京地判H30.2.5.)。
- Googleマップにおいて「他の方も書いていますが、受付にいるショートのスキニーパンツの中年女性が非常に態度が悪いです。・・・いつ病院に行っても挨拶なんかされたことないし、やたら愛想がいいなと思った時は若いイケメン男性と話していました。普段は受付ででかい声でおしゃべりしています。
先日も下のCで患者さんを罵倒していました。コロナ禍にも関わらず、患者に顔を近づけ、座っている患者さんに対して、腕を組んで立ったまま上から大声でまくし立てていました。
・・・口コミでも一件だけショートの女性は感じ悪くないなんて書いてありますが、きっと自分か部下に書かせたんでしょうね。」等の投稿(東京地判R4.2.28)。 - 地図検索サービスの口コミにおいて、「朝1番はドクターの機嫌が悪い日が多い気がしますのでおススメしません。
本日も患者さんが2人遅刻されたようでとても御立腹でございました。
僕の診察には全く関係のないお話でございます。
患者からドクターへの気遣いを欠かすことが出来ません。
医療サービスを受けるというよりは、ドクターからの精神的圧力を楽しむことが可能な非常に珍しい心療内科。」との投稿(東京地判R3.12.23)。
権利侵害が否定された事例
- 歯科医院のGoogleマップ口コミの投稿に「院長に至っては虫歯さえ見つけられない」、「金目当て」等の投稿(大阪地決R3.3.18)。
支払った料金に見合った満足を感じていないという投稿者の個人的な不満の一表現にとどまるものとして、受忍限度を超えないと判断されました。 - 電子掲示板において「様々な実態の口コミが寄せられ、c社レビューの評価が3を割り込みc社に削除依頼し訴えるも敗訴し、c社MAP上のaクリニックのページごと削除」、「複数の患者に訴えられ」等の投稿(東京地判R3.3.26)。
口コミ評価の低下が社会的評価の低下に結びつくわけではないことや、具体性や根拠に欠ける摘示にとどまると判断されました。
弁護士挨拶
弁護士は、近年の大幅な増員がありましたが、それでもまだ敷居の高い存在のようです。
特にBtoCのビジネスにおいては、積極的な活用がされている印象はありません。
しかし、カスタマーハラスメントという言葉を筆頭に、モンスターペイシェントなど、不当な権利主張をされる場面が増えています。
クリニックを不当な被害から守るために、私たち法律家にできることがあります。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
弁護士ができること(提供サービス)と費用
弁護士ができること
クレーマー対応やネットの誹謗中傷対応の一切を弁護士に一任することで、安心して通常業務に専念することができます。
これにより、クレーマーからクリニックを、従業員を守ることができます。
不当な要求を行うクレーマーに屈しないことで、医院としても不当な要求に屈しない姿勢を対外的にも、従業員にも示すことができます。
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クレーム対応:基本プラン
単発でご依頼いただくプランと、1年間の顧問契約をご契約いただくプランをお選びいただけます。
クレーム対応:代行特化プラン
弁護士への委任を個々の案件ごとではなく、予算を設定して毎月定額化させたい場合に、特化プランを準備しています。
目安として毎月3件程度を上限に想定していますが、個別相談いたします。
法的手続(医療訴訟)となった場合
以下の報酬基準に基づき、弁護士費用を頂いております。
ただし、顧問契約による割引をしております。
ご相談の流れ
お問い合わせ
ご相談については、予約制となっております。
来所相談だけでなく、Zoom相談も対応しておりますので、全国対応しております。
お問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
相談時に必要なもの
事前に以下のものをご準備いただくと、ご相談がスムーズに進みます。
- 相談内容の要点をまとめていたメモ
- ご相談に関する資料や書類
ご相談(初回相談料:1時間あたり1万1,000円)
法律上の問題点や採り得る手段などを専門家の見地よりお伝えします。
問題解決の見通し、今後の方針、解決までにかかる時間、弁護士費用等をご説明いたします。
※ご相談でお悩みが解決した場合は、ここで終了となります。
ご依頼
当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。
問題解決へ
事件解決に向けて、必要な手続(和解交渉、調停、裁判)を進めていきます。
示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。
終了
委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。
Q&A
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貴事務所に依頼するメリットは何でしょうか?
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当事務所は、不当クレーム・モンスターペイシェントの対応に注力しています。
クレーム対応に関する記事を執筆していますので、当事務所の考え方や対応法などをご覧いただければと思います。【関連記事】あわせて読みたい
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顧問契約を結んだ場合、どのタイミングで動いてくれますか?
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クリニックにおいて、第一次的な対応(説明)を尽くす必要はあります。
しかし、それにもかかわらず、納得しない、同じ質問を繰り返す、話が通じないなどの場合には、対応窓口を弁護士に代えて構いませんし、そうすべきです。
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クレームやネット被害対応以外にも、お願いできるのでしょうか?
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弁護士において対応可能なものは、対応致します。
たとえば、治療費の回収対応や労務問題なども対応致します。
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東京から離れた地方にクリニックがありますが、対応可能でしょうか?
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Zoomを活用した法律相談を実施しており、全国からのご相談に対応しております。
クレームなどの代理人対応としても、いきなり面談するわけでも、何度も相手方と直接面談するわけでもありませんので、対応困難と思われるケースは少ないと考えています。
ただ、現地に赴く際は交通費のご負担をお願いしていますので、その分は地元の弁護士より割高になってしまいますので、ご了承いただきたいと思います。
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費用の支払い方法は、どのような方法がありますか?
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銀行振込、もしくは現金でのお支払いをお願いしています。
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