賃借人等と裁判まで行い、勝訴の判決を得たとしても、それでも任意に退去しない占有者は存在します。

そうなると、次なる手は強制的に退去を求める強制執行の手続(明渡の断行)を進めるしかありません

不動産の明渡しを求める大家が、裁判まで行ったのにまだ任意退去しないので、強制執行を申立てる場面。
強制執行の流れを知りたい。
これから強制執行の申立てをする不動産所有者

不動産の明渡しを求める強制執行は、下図の流れを辿り、物理的強制力をもって占有者を排除する手続を経ます。

不動産の引渡し・明渡し手続の強制執行は、①強制執行の申立て、②事前準備、③催告手続の実施、④強制執行の実施(断行)、⑤目的外動産の処理という流れを経ます。
不動産の明渡執行手続の流れ図
弁護士 岩崎孝太郎

この記事では、不動産の明渡執行を解説します。

明渡執行に特有の難しい点もありますので、執行官がどのようなことに苦労しながら不動産所有者の権利実現に尽力しているか、ご理解いただけると思います。

不動産の明渡しを求める場合でも、強制執行まで行うことは数多くありません。
大変なケースになりますが、あと一歩です。

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第1 明渡・引渡執行の全体スケジュール

不動産の明渡・引渡執行は、強制執行の申立てをした後、執行官と事前の打合せ(事前準備)を行います。

執行補助者(家財道具の搬出業者、鍵屋、運送業者など)の選定、明渡しの催告や断行(強制執行実施日)の日程、債務者や物件の状況確認を行います。

申立てから原則として2週間以内「明渡しの催告」を実施し、執行官、債権者(または債権者代理人)、執行補助者、立会人が現地に集まり、公示書を建物に貼付け、断行実施予定日までに債務者に催告書を差し置きます。

不動産の明渡し等は、債務者に与える打撃が大きいことから、いきなり明渡断行をするのではなく、催告を行い、債務者の任意の履行による円滑な明渡しが目指されています。

任意に退去してくれれば、執行に要する費用時間の面において、債権者にも有利に働くことが多いとも言えますね。

催告日から1ヵ月間が、債務者が占有者を変えるなどしても強制執行を受けざるを得ない期間として、催告の効果を持続できる期間となります。
これを引渡し期限と呼びます。

実際に不動産現場に赴き、家財道具の搬出や建物の収去(建物収去土地明渡の場合)を行う日のことを「断行」と呼びます。
明渡の断行は、不測の事態等により終了できなかった場合には、裁判所の許可を得て、引渡し期限を延期する必要が出てきます。

そのため、この明渡断交(強制執行)を実施する日は、裁判所の許可を得られるよう、引渡し期限の3~4日程度前に実施することが多いです。

強制執行の申立てから2週間以内に明渡催告を実施します。
明渡し催告の実施日から1ヵ月を経過する日に引渡し期限が設定されます。

引渡し期限」~催告の効果が継続する期限
明渡断行日」~債務者が現実に引渡し等の執行を受ける日

このように整理すると、引渡し期限と明渡断行日の違いが分かりやすいですね。

そして、強制執行の申立てから原則2週間で明渡しの催告を行い、そこから約1ヵ月弱でようやく明渡の断行(強制執行)を迎えます。

そうすると、申立てから最後の断行までは、トータルで約6週間程度を想定することになりますね。

第2 ①強制執行の申立て・②事前準備

全体の中の位置づけ

1 強制執行の申立て

強制執行申立書に、執行力ある債務名義の正本、債務名義の送達証明を添付して、予納金を納めます。

🔗東京地裁で6万5,000円、🔗大阪地裁で6万円ですので、このあたりが目安になるでしょう。

【参考サイト】
🔗「執行官室で扱う事務について」(東京地方裁判所HP)

🔗「動産執行の申立て,不動産引渡(明渡)執行の申立て,保全処分の執行の申立てに必要な書類等」(大阪地方裁判所HP)

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強制執行手続とは?

2 事前準備

不動産明渡執行において、債権者の情報提供・協力が必要不可欠であること。

事前準備における債権者の協力の重要性

執行官が、強制執行を円滑に実施するためには、不動産の形状占有の状況、強制執行に対する債務者の態度等を把握した上で、他の執行官や警察等に対する援助請求の要否解錠の可能性等を判断して適切に対処し、執行補助者(荷物の搬出、運送業者、倉庫業者等)を手配するなど、十分な事前準備を行う必要があります。

もっとも、執行官は申立書資料以外の情報はありません。

そのため、目的物の引渡しや目的外動産の搬出等について、債権者の積極的な関与が不可欠といえ、債権者の果たすべき役割が高いことが特徴です。

事前準備で債権者が行うこと

具体的には、債務者に関する情報(占有の状況、年齢、家族構成等)を調査して執行官に報告し、執行補助者の手配(催告の際にも解錠業者や執行補助者を帯同します)などについて、打ち合わせを行います。

【参考】
🔗「債務者等の関する調査票」(東京地裁HP)

引渡し期限の伸長

前述しましたように、引渡し期限は、原則として明渡しの催告があった日から1ヵ月を経過する日とされています(民事執行法168条の2)。

ただ、明渡しの催告をする前に、次のような事情がある場合には、執行官は裁判所の許可を得て、明渡しの催告があった日から1ヵ月を超える日を引渡し期限とすることができます。

これも事前準備の重要性の1つといえます。

  • 必要な労務作業員の確保、援助要請等の準備に1ヵ月以上を要する大型物件の場合
    (例:大規模工場、大規模店舗、マンション1棟、ホテル、旅館など)

  • 建物内に人を収容している施設で、その受入先の確保に相当の時間を要する場合
    (例:入院患者がいる病院、入居者がいる老人ホームなど)

  • 目的物件の居住者について特別の受入先等を確保する必要があり、その手続に相当の時間を要する場合
    (例:居住者に施設への収容を要する寝たきり老人病人がいる場合、身寄りや転居先もない高齢者妊婦がいる場合、自殺等を示唆して明渡しを激しく抵抗する者がいる場合など)

  • 目的物件内の処理困難な目的外動産の撤去等に諸手続を要する場合
    (例:目的物件内に相当量の産業廃棄物、危険物、劇薬物がある場合、相客困難な大量の動物がいる場合など)

  • 収去等の代替執行に相当期間の工事日数を要する場合
    (例:建物収去、大量土砂の撤去など)

  • 任意の明渡しが期待でき、手続上も相当である場合
    (例:債務者の転居予定日が40日後に決まっているなど、引渡し期限をある程度伸長すれば債務者が任意履行することが確実と判断される具体的事情があり、債権者の伸長について明示的に了承している場合など)

第3 ③催告手続の実施

全体の中の位置づけ

1 催告手続とは?

明渡しの催告手続とは、引渡し期限を定めて、債務者に対し、任意の不動産の明渡しを求める手続をいいます。

債権者は、このときに建物内の様子を確認し、家財道具(目的外動産)の処理方法について執行補助者(業者)と検討することができます。

これによって、執行に必要な補助者の人数についてある程度正確に見積もることができ、執行費用の節約にもつながります。

明渡しの催告手続に要する費用としては、執行補助者と鍵の解錠業者へ支払う日当が発生します。
大まかなイメージとしては、5~10万円程度を想定すれば良いと思います。

2 明渡しの催告の実施スケジュール

強制執行の申立てがあった日から原則として2週間以内の日に実施されます(民事執行規則154条の3第1項)。

そして、催告実施日から1ヵ月を経過する日が、引渡し期限となります。

但し、執行官の予定もありますので、なかなかこの通りに進まない(実際にはもう少し時間がかかる)ことが多いです。

(明渡しの催告等)
民事執行規則第154条の3
法第168条の2第1項に規定する明渡しの催告は、やむを得ない事由がある場合を除き、不動産等の引渡し又は明渡しの強制執行の申立てがあつた日から2週間以内の日に実施するものとする。

🔗民事執行規則

3 催告手続の実施 ~ 債務者が在宅の場合

債務者が協力する場合

執行官は、執行の趣旨・目的を説明し、断行日(強制執行実施日)までに任意退去する方が望ましいこと、断行日までに退去しない場合には、室内の家財道具等を全て搬出して、強制的に債権者に明渡しを行うことを説明します。

そして、公示書を不動産の所在場所に貼り付け、催告書を債務者に交付します。

明渡催告の際に、執行官が貼り付ける公示書。
執行官が貼る公示書

債務者が協力しない場合

執行官は説得し、できる限り中に入れるようにします。

しかし、それでも拒否される場合には、玄関ドアに公示書を掲示する旨を告げて、玄関ドアに公示書を掲示します。

明渡催告での執行官を債務者が入室拒否する場合には、執行官は玄関ドアに公示書を貼ります。
債務者が拒否した場合の執行官の対応

4 催告手続の実施 ~ 債務者が不在の場合

債権者、または債権者代理人の立会いがあれば不動産の引渡等の強制執行が可能となりますので、解錠措置を採って、建物内に立ち入ります。

家財道具(目的外動産)がほとんどないような場合には、即日明渡しの強制執行(即断行)をして執行を終了します。

そうでなければ、公示書を所在場所に掲示し、断行日を記載した催告書を差し置いて明渡しの催告を実施します。

「公示」の具体的方法

公示書は、透明ビニールファイル等に挟んでその周囲を閉じるか、パウチフィルムで密封するなどした上、これを粘着力の強い両面ガムテープ、接着剤、釘等で建物壁面の見やすい所に貼付けるべきとされます(H2.10.16最高裁事務総局民事局長書簡参照)。

目的物が土地である場合や建物の屋外に公示する場合は、公示内容を記載した木製又はアクリル製の公示札を木の杭に打ち付けて立て、又は、建物の外壁に釘、針金等で固定するか、露出しない状態にした公示書を目的物に固定する方法によって行われます。

この公示書を剥がしたり、破棄したり、損壊」する行為には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(民事執行法212条2号)が法定されています。

5 催告の効果

当事者恒定効

催告後に、当該不動産の占有移転があっても、明渡しの強制執行を実施することができます。
これを「当事者恒定効」と呼びます。

一応、理屈上は明渡しの催告があったことを知らず、かつ、債務者の占有の承継人ではない場合には、保護されるべきとされます(要するに、このような第三者には明渡しの強制執行ができません)。

もっとも、明渡しの催告後の占有者は悪意が推定されますので、そのような第三者が出現することはほとんど想像できません。

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円満な明渡しの可能性

執行官が実際に家まで来たことや、毎日公示書を眺めることで、これまで明渡しを拒んできた債務者も、任意退去に応じる場面が増えるのも、この催告後の場面です。

債務者が任意退去することで、債権者は目的外動産搬出のための費用や、執行に必要な執行補助者の費用の支出を抑えることができます。

6 催告時における債権者(又は代理人)が立会う必要性

催告時において、債権者側の立会いは法律上の要件とはされていませんが、絶対に立会うべきです。
主な理由は2つです。

1つは、催告時において、目的不動産の特定、占有認定等に困難を生じる場合があり、執行場所における債権者の説明が必要になります。

2つ目として、残置動産がほとんどない場合は、催告をせずに即日明渡執行(前述の「即断行」)をする場合もあり、債権者側が出頭していなければ、目的不動産を引き渡すことができません。

7 催告後に債権者が行うべきこと

催告後の債務者の行動として、次のようなケースが想定されます。

  • 断行当日までに必要な家財道具(目的外動産)を搬出し、不用品を残置して任意退去
  • 換価価値のある動産を全部搬出し、メーターボックスや郵便受け等に目的建物の鍵を返還
  • 引っ越し先が見つからないので、目的外動産全部を保管して欲しいと連絡してくる
  • 引っ越し先が見つかるまで延期して欲しい旨の申出
  • 全く何の準備もせず、逆に抵抗するような姿勢を示す

上記のような対応の内、①~③の対応が分かれば、執行方法の予測がつき、搬出作業員、搬出用トラック等の見積もりができ、費用の節約につながります。
また、執行不要として申立てを取下げることも検討できるでしょう。

④の場合には、引渡し期限の延長許可が必要になります。
延長することで任意退去が本当に可能となるならば、費用も節約でき、双方円満解決につながります。

⑤の場合には、態様によっては警察等の援助を考慮に入れて準備を進めていかなくてはなりません。

第4 ④強制執行の実施(断行)

全体の中の位置づけ

1 強制執行の実施(断行)

断行当日は、明渡しの催告のときと同じように、執行官、債権者(又は代理人)、執行補助者、立会人が現地に集合します。

債務者が在宅している場合には、強制執行実施の旨を説明、告知し、貴重品の引渡し等、目的外動産の処理をした上で、債務者を退去させて、債権者に不動産を引渡します。

債務者が不在の場合には、直ちに強制執行を実施していきます。
具体的には、鍵を解錠し、家財道具等の残置物を搬出していきます。

引渡し期限の延長

執行官と債権者が現場に臨場した際に、執行を完了できない事態が発生することもあり得ます。

その際は、引渡し期限が経過するまでの間において、執行官は裁判所の許可を得て引渡し期限を延長することができます(民事執行法168条の2第4項)。

引渡し期限の延長について、裁判所の許可が得られるかは、前述しました引渡し期限の「伸長」についての説明と同じものになります。

催告前に裁判所の許可を得ることを引渡し期限の「伸長」といい、催告後に定まった引渡し期限を延ばすことを引渡し期限の「延長」と呼ぶ違いがあります。

2 注意したいケース ~ 不動産明渡・引渡執行の難しさ

不動産の明渡断行(強制執行)は、債務者にとってみれば、自己が築き上げてきた財産や生活の基盤を奪われるという面があり、諦め切れぬ思いを抱くこともあるでしょう。

また、執行妨害的な占有を行っている輩にとっては、妨害による利益を奪われるものでもあります。

そのため、断行に対しては、種々の妨害をするなどの抵抗に遭うケースが多いようです。
以下、執行が困難となるケースと対応法を検討します。

債務者が病気である場合

立退きを強引に推し進めると、人道上の問題が発生する恐れがあります。

そのため、まずは債務者の医師の診断書等を提示を求め、これに協力しない場合には、執行官が医師に診察させて執行が不能であるかどうか調査することができます。

また、債務者の親族や債権者側で病院に斡旋することで、執行を可能にすることもできます。

債務者が寝たきり老人等の場合

対応として、非常に難儀するケースです。

どこか受け入れてくれる介護施設を確保するまでは断行できないと判断されてしまう場合もあり、債務者の家族が対応する以外には、債権者や執行官において福祉事務所や介護施設での受入先を探さざるを得ないでしょう。

受入先を探す場合、生活保護法7条(生活保護の申請には、要保護者である債務者本人、又は親族の申請が必要)が壁となり、役所等が応じられなくなってしまう事態も発生しているようです。

どのように進めるかの一義的な回答はなく、債務者の親族、執行官、裁判所、区・市役所等を含めて協議し、個々具体的に解決策を探っていくしかありません。

高齢化社会を迎え、このような問題はますます増えていくでしょう。
不動産所有者としては、賃貸借契約締結の段階から予防策を用意しておくことが重要になってきます。

債務者が強固に抵抗を示す場合

執行官の報告事例などを見聞すると、債務者が包丁を持ち出して抵抗をしたり、放火を行って抵抗することは、珍しくないようです。

執行官は、警察消防などに援助を求め、適切に対応を行いますが、執行現場の難しさ、恐ろしさをうかがい知ることができます。

以下、具体的な内容を引用しますので、常に最悪の事態を想定して備えておくと良いでしょう。

・「債務者はやにわに包丁を取り出してきた。それを取り上げたところ、次から次に包丁を取り出してきた。」

・「土地の引渡断行の期日に債務者(女性)が包丁を自分の喉に当てて建物内に篭城した」

・(妻子ある債務者が)「自分が死ぬしか道がないのです。自分が死ねば妻と子供達は施設に入れるのです。自分がいるから行くところがないのです。死なせてください。」と泣きながら訴えた。

・「応答がないので不在と思って解錠し、玄関の戸を開けたら債務者がバールを持って待っていたという実例など、この種の実例は数多い。」

・「執行官が断行に訪れたときに、玄関を開けた途端に火をつけ、一気に炎が天井まで届き、あわてて逃げ出したが、アパートであったことから住人が退去できるよう連呼した」

・「『絶対に出ていかない。執行するなら火をつける。』といって抵抗する態度を示したため、…消防署に連絡して消防車に待機してもらって、アパートの住民には当日の朝避難してもらうよう告げた」

「執行官の執行現場等における問題点」古島正彦著(判例タイムズ第1069号より引用)

第5 ⑤目的外動産の処理

全体の中の位置づけ

1 家財道具(目的外動産)を排除する必要性とは

不動産の明渡・引渡の執行は、執行官が不動産に対する債務者の現実の支配(占有)を排除し、債権者にその占有を取得させる方法によってなされます。

そのため、建物内に執行の目的となっていない動産類(目的外動産)がある場合には、執行官はこれを取り除いたうえで、債権者に建物の占有を取得させなくてはなりません。

2 債務者が在宅している場合

執行官は、債務者に目的外動産を持ち出させるか、後日引き取る予定で執行官の保管を希望するか、廃棄して良いかを選択してもらいます。

そして、債務者には即時に持ち出す動産を携えて当該不動産より退去してもらい、債権者は引き取り希望があった動産を搬出し、保管します。

なお、保管にあたっては、債務者が保管期限内に引き取らない場合の売却(廃棄)実施予定日と売却の場所を定めます。

債務者に対して、①即時に持ち出す、②後日引き取るために保管依頼、③廃棄するかの意向を確認します。
債務者の意向を確認します

3 債務者が不在の場合

債務者が不在の場合には、目的外動産を搬出し、保管します。

債務者等が保管期限内に引き取らない場合には、換価価値のある動産は動産執行の方法にて売却し、価値のないものは廃棄します。

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なお、目的外動産を債務者等に引渡せる見込みがなく、高価なものがない場合には、明渡催告の際に、断行実施日に即時売却することを決定することができます。
これを「即時売却」といいます。

また、断行実施日当日に、債務者等への引渡しができず、かつ、相当期間内に債務者等に引渡すことができる見込みがない場合には、断行日に売却する方法(「即日売却」といいます)、もしくは1週間未満の日にする売却(「近接日売却」といいます)を行うことができます。

4 関連する問題

売却できない動産

売却できない動産は、その動産ごとに適宜処理します。

たとえば、位牌は寺院に預けたり、毒物等は保健所に移管します。
商業帳簿は、執行官が相当期間保管した後に廃棄しています。

所有権放棄の場合

裁判上の和解などで「その目的物にある残置動産の所有権を放棄する」旨の条項があっても、一般に任意に明け渡す場合の条項と理解されていますので、基本的には売却処理がなされています。

債権者として、売却ではなく廃棄したい場合には、「廃棄依頼書」を獲得した方が確実といえます。

5 強制執行に要する費用

不動産の明渡・引渡の強制執行は、50~100万円は想定しておくべきなどと言われます。
非常に費用がかかることは間違いありません。

特に、目的外動産の搬出・運搬にかかる引っ越し費用が、一般の引っ越し業者より費用がかかってしまうので、高額化してしまう要因といえると思います。

【支出項目】【金額の大まかな目安】
予納金6万5000円(但し、未消化分は返金)
鍵解錠・交換費用解錠は、1回2~3万円程度、交換費用は3~5万円程度
目的外動産の搬出・運搬催告手続の日当で1人2万円程度です。
明渡断行での残置物(目的外動産)の搬出・運搬費用は、
大まかな相場観では、ワンルームで10~20万円程度、
ファミリータイプで35~50万円程度と思われます。
廃棄費用数万円から10万円程度
保管費用最低でも数万円から
不動産明渡・引渡執行に要する費用の目安

第6 不動産明渡・引渡執行と弁護士活用の意義

1 弁護士の活用意義

弁護士 岩崎孝太郎

不動産の明渡しを求める強制執行は、債権者の協力や情報提供が必要不可欠となります。

多くの場合、強制執行の前段階(訴訟など)から継続して依頼していることも多いと思いますので、債務者の事情もそれなりに把握していることが多いでしょう。

断行に向けて、困難が生じるケースも想定されますので、スムーズかつ円満な明渡しを実現するためにも、専門家たる弁護士に任せることは必要不可欠になるものと考えています。

2 弁護士費用

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