当事務所にご相談がありました案件で、解決事例をご紹介します。

なお、ご紹介にあたっては事例を修正したり、抽象化・一般化しています。

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第1 オーダーメイド商品に対するクレーム ~サイズが合わない?

ご相談者様は、お客様からオーダーメイドの商品を受注し、製作する会社様でした。

ある商品のオーダーを受け、製作した商品をお客様に納品しましたところ、想定していたものとサイズ等が異なり使用に耐えない、契約を解除する旨のクレームがありました。

当初、ご相談者様においてご対応されていましたが、代理人が就いたこともあり、当事務所が介入しました。

第2 弁護士による対応

1 契約不適合責任と錯誤取消

オーダーメイド商品の製作は、請負契約にあたります(請負の性質と売買の性質を併せ持つ制作物供給契約とされることもあります。)。

契約時に約束された商品の内容と異なる内容の商品が製作されたのであれば、製作者は契約不適合責任を負うことになります(解除については、債務不履行責任の要件に委ねられると考えられています。)。

(有償契約への準用)
第五百五十九条

この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。

※この規定により、請負契約についても、売買契約の規定が基本的に準用されます。

(買主の追完請求権)
第五百六十二条

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
2 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

(買主の代金減額請求権)
第五百六十三条
前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。
一 履行の追完が不能であるとき。
二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第五百六十四条

前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

(催告による解除)
第五百四十一条

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

(催告によらない解除)
第五百四十二条

次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
2 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
一 債務の一部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

また、契約時にお客様が認識していた(内心で抱いていた)商品の製作依頼内容と、実際にお客様が表示した商品の製作依頼内容に齟齬がある場合には、意思表示に錯誤があるとして契約が取消される可能性もあります。

(錯誤)
第九十五条
意思表示は次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

2 重要なのは契約時(注文時)の合意内容

契約不適合責任においても、錯誤取消においても、まず、契約時(注文時)にどのような内容の商品を製作する合意になっていたかが重要になります。

後から「思っていたの違う」とお話をされるお客様が一定数いるのは、このような「契約時の合意内容」を明確に意識されないことが多いためと考えられます。

「契約時の合意内容」ですから、お客様の意思のみ(お客様が一方的に考えていただけでは)では足りません。お客様の意思と製作者側の意思とが合致して初めて「合意」となります。また、後から違ったと思っても、契約時の合意内容等と齟齬がなければ契約不適合責任や錯誤取消は認められません。

不良品であればともかく、通常は、お客様のご要望が表示されていなければ製作者側はそのご要望を認識できませんから、表示されていないご要望は「契約時の合意内容」に含まれないことになります。

3 表示と契約不適合責任・錯誤取消

たとえば、お客様が製作を依頼する商品についてAという仕様を入れるご要望を内心で持っていたとしても「Aという仕様が入った商品を製作してほしい」と表示されていなければ、通常は「契約時の合意内容」にAという仕様は含まれません

この場合、製作された商品にAという仕様がなくても、「Aという仕様が入った商品の製作」は合意内容になっていないため、それ以外の品質に特に問題がなければ、契約時の合意内容と製作された商品の仕様に契約不適合はなく、契約不適合責任は生じないことになります。

なお、Aという仕様が、商品の性質から誰だどう考えても備わっていなければならない仕様であれば別の議論はあり得ますが、商品の細かい仕様がこれに該当することは少ないでしょう。

錯誤取消においては、商品の仕様に関する齟齬は商品そのものの錯誤ではありませんので「表意者が法律行為の基礎とした事情」についての民法95条1項2号による錯誤と整理されるのが通常です。この場合、その事情が「表示されていたときに限り」取消が認められますので、「Aという仕様が入った商品を製作してほしい」と表示されていなければ、錯誤取消は認められません。

仮に、民法95条1項1号の錯誤取消という整理を前提にしても、内心で抱いていた「Aという仕様が入った商品の製作依頼」という意思と、表示された「Aという仕様が入っていない商品の製作依頼」の意思に齟齬はありますが、注文者に重大な過失が認められる場合が十分にあり得ますので、その場合には取消は認められないことが多いと思います。

4 対応

お客様のご要望にきめ細やかにご対応する必要があるオーダーメイド商品は、どこまでが合意となっていたのかが、しばしば問題になります。そして、細かいやり取りは口頭でしか行われていないことも多く、「言った言わないの水掛け論」になってしまう難しさがあります。

オーダーメイド商品のご契約には、この様な難しさがありますので、事実関係を丹念に調査し、法的な観点から構成し、反論をしていきました。

お客様に代理人が就いておりましたので、何度かやり取りがありましたが、最終的に、裁判手続になることなく代理人は辞任され、その後の連絡も止んでいます。

第3 対応のポイント

1 オーダーを受けた仕様を書面などに残す

繰り返しになりますが、オーダーメイド商品については、お客様のご要望に応じてきめ細やかな対応をする必要があるため、口頭でのやりとりがどうしても多くなってしまいます。

オーダーを受けて製作する商品の仕様についてはできるだけ書面などに残しておくことが望ましいと言えるでしょう。

2 対応記録を残す・対応は毅然と

オーダーメイド商品を製作した後の、商品の問合せについてはメール等の形に残るやり取りをすることが望ましいと言えます。

メール等は証拠になりますので、「〇〇という仕様になることは当初からご説明している」旨を毅然とお伝えすることも大切です。こういった指摘をしておかないと、後で「〇〇を当初から説明したという指摘を納品後のメールで述べていないのは、当初から〇〇という説明はしていないことの証拠だ」と思わぬ揚げ足をとられることにもなりかねません。

お客様ですから、遠慮がちになってしまう気持ちはわかりますが、クレームになっている以上、将来的な紛争も見据えて毅然とした対応せざるを得ないでしょう。

4 電話対応

電話等で対応した場合には、通話履歴の明細を通信会社に問い合わせて取寄せて保存しておく、保存期間を徒過してしまったのであればスマートフォン等の通話履歴の画面をスクリーンショットでとっておくことも考えられます。

通話履歴の明細の保存期間は通信会社によっては数カ月と非常に短いため、早めの対応が必要です。労力の負担を厭わなければ、平時から定期的に通話履歴の明細を取得し保存しておくことも考えられるでしょう。

第3 顧問契約の勧め

お客様からのクレームについては、まずご自身で対応されようとすることも多いかもしれません。

もっとも、通話履歴の明細の保存期間の問題、メールや電話等の適切な対応が求められることもあります。

紛争が深刻化してから・お客様に代理人が就いてから、ご相談いただくこともありますが、「もう少し早くご相談いただければ」と思うことも少なくありません。

こういった日ごろから発生する可能性があるクレーム対応について、弁護士に相談しながら進めていくことは十分に考えられます。

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クレーム・カスハラ対応には、会社のトップが不当クレームに対して毅然と対応する姿勢を明確にする必要があります。

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