借地料(地代)の増額・減額を求めたいとき、あるいは地主から増額請求を受けたとき、裁判所はどのような判断をしているのでしょうか。
本記事では、東京地方裁判所で実際に争われた借地料の増減額請求に関する裁判例を分析し、裁判所の判断枠組み、典型的なケース、そして実務上の留意点を解説します。
第1 借地料の増減額:裁判所の基本的な判断枠組み
借地借家法11条1項は、土地の租税等の増減、土地価格の変動、近傍類似の土地の地代等との比較により、現行の地代が「不相当」になった場合に、当事者が地代の増減額を請求できると定めています。
裁判所は、この「不相当性」を判断するにあたり、おおむね次の2つのステップで判断を行っています。
⑴ ステップ1:直近合意時点を確定する
まず裁判所が着目するのは、「直近合意時点」、すなわち当事者が最後に賃料を合意した時点です。賃料増減額請求の相当性は、この直近合意時点から請求時点までの間にどのような変化が生じたかを基準に判断されます。
この点について最高裁判例(最判平成20年2月29日)は、次のように判示しています。
「賃貸借契約の当事者が現実に合意した賃料のうち直近のものを基にして、同賃料が合意された日以降の経済事情の変動等のほか、諸般の事情を総合的に考慮して定めなければならない」
実務上、この直近合意時点がいつなのかが争いになることもあります。調停での合意、当事者間の覚書、あるいは黙示の合意など、様々な形態が考えられます。直近合意時点が古いほど、経済事情の変動が大きくなり、増額が認められやすくなる傾向があります。
⑵ ステップ2:直近合意後の変化を評価する
次に、直近合意時点から請求時点までの間に、以下のような事情の変動があったかを検討します。
- 公租公課(固定資産税・都市計画税)の増減
- 土地の価格(地価)の変動
- その他の経済事情の変動(物価指数、消費者物価指数など)
- 近傍類似の土地の地代との比較
これらの変動を踏まえて、現行賃料が「不相当」かどうかを判断し、不相当であれば「相当な賃料」がいくらであるかを確定します。
判断POINT:不動産鑑定の重要性
「相当な賃料」の算定にあたっては、不動産鑑定が極めて重要な役割を果たします。裁判所は、鑑定で用いられる以下の手法を総合的に考慮して判断を行います。
新規賃料と現行賃料の差額を、貸主と借主に配分する方法
基礎価格に継続賃料利回りを乗じて算出する方法
直近合意時の純賃料に変動率を乗じて算出する方法
近隣の賃貸事例と比較して算出する方法
なお、裁判所が選任した鑑定人による「裁判所鑑定」は、当事者が依頼した「私的鑑定」よりも一般的に高い信頼性が認められています。裁判例を分析すると、裁判所鑑定に特段の不合理がない限り、裁判所はその結果をそのまま採用する傾向が顕著です。
第2 借地料の増減額に関する裁判例一覧
以下に、典型的な判断が示された裁判例を20件ピックアップして紹介します。
増額が認められたケース、増額幅が抑制されたケース、増額・減額が否定されたケースなど、多様なパターンを含んでいます。
| 裁判所 / 判決日 | 事案の概要 | 裁判所の判断(結論) | 注目ポイント |
|---|---|---|---|
| 東京地裁 R7.7.16 (足立区) 増額認容 |
平成15年契約時の月額9,571円のまま約20年据置き。被告は実質的に争わず。 | 月額9,571円→60,000円(約6.3倍) 私的鑑定(差額配分法・賃貸事例比較法重視)に依拠。 |
被告欠席・無争型。私的鑑定でも認容。 |
| 東京地裁 R4.3.1 (中野区) 増額認容 |
寺院所有地。30年超の賃借。原告の私的鑑定は差額配分法基礎で公租公課約5.8倍。 | 月額10,630円→17,600円(約1.66倍) 裁判所は公租公課倍率5倍を相当と判断。 |
長期賃借人への配慮で急激な増額を抑制。 |
| 東京地裁 R1.12.20 (江東区) 増額認容 |
H18.7月契約時の月額5万円。被告ら欠席。公租公課倍率4倍で算定。 | 月額50,000円→74,026円(約1.48倍) 擬制自白により原告主張どおり認容。 |
被告欠席の場合は擬制自白。鑑定なしで認容される場合あり。 |
| 東京地裁 R5.8.23 (台東区) 増額認容 |
直近合意H16.4月の月額31,893円。原告は月額55,990円を請求。裁判所鑑定実施。 | 月額31,893円→45,520円(約1.43倍) 裁判所鑑定どおり。差額配分法・利回り法・スライド法の総合。 |
約19年間の据置き。裁判所鑑定に不合理なければそのまま採用する典型例。 |
| 東京地裁 R7.5.15 (練馬区) 増額認容 |
直近合意H11.8月の月額37,200円。原告は公租公課倍率法重視の私的鑑定で月額55,800円を請求。 | 月額37,200円→52,600円(約1.41倍) 公租公課倍率法の重視を否定、差額配分法:利回り法:スライド法=2:1:1で調整。 |
裁判所が鑑定手法のウェイトを独自に修正。 |
| 東京地裁 R5.9.5 (練馬区) 増額認容 |
直近合意H14.7月の月額79,300円。原告は月額151,260円を請求。裁判所鑑定実施。 | 月額79,300円→109,000円(約1.37倍) 裁判所鑑定どおり。差額配分法2:利回り法1:スライド法1:賃貸事例比較法1。 |
約21年据置き。鑑定における各手法の均等配分に近いウェイト付けの例。 |
| 東京地裁 R6.10.30 (新宿区) 増額認容 |
地上権設定契約のビル区分所有。直近合意H12.8月の月額合計39万3,365円。裁判所鑑定実施。 | 月額39万3,365円→53万9,000円(約1.37倍) 小規模住宅特例適用後の公租公課ベースで算定。 |
区分所有・地上権の特殊事例。住宅用地特例の適用が争点。 |
| 東京地裁 R7.3.25 (杉並区) 増額認容 |
直近合意H15.10月の月額44,020円。原告は月額110,565円を請求。裁判所鑑定実施。 | 月額44,020円→54,570円(約1.24倍) 裁判所鑑定どおり。原告請求の約半額。 |
私的鑑定と裁判所鑑定で大幅乖離→裁判所鑑定優先。 |
| 東京地裁 R7.4.10 (港区) 増額認容 |
借地非訟の財産上の給付後3年で増額請求。本件意見書の簡易手法(公租公課倍率法等)で算定。 | 月額134,496円→164,802円(約1.23倍) 簡易手法に一定の合理性を認めつつ謙抑的に評価し、差額の2/3を増額分とした。 |
簡易手法の精度が低い場合は増額幅を抑制。 |
| 東京地裁 R7.5.26 (新宿区) 増額認容 |
直近合意H22.4月の月額321,823円。原告は月額751,410円を請求。裁判所鑑定実施。 | 月額321,823円→389,406円(約1.21倍) 増額請求〔1〕の範囲内(月額389,406円)で認容。3か月後の追加増額請求〔2〕は棄却。 |
増額請求の効果は請求額が上限。短期間での追加増額は否定。 |
| 東京地裁 R7.1.29 (豊島区) 増額認容 |
直近合意H12.2月の月額190万円。公租公課3倍の自動改定条項あり。原告は月額408万円を請求。 | 月額147万7,800円→165万9,000円(実質約1.12倍) 裁判所が鑑定の比重配分を修正(8:2→2:8)。 |
自動改定特約がある場合でも増額請求は可能。裁判所は鑑定を修正し得る。 |
| 東京地裁 R7.4.25 (世田谷区) 増額認容 |
直近合意H5.1月の月額15,900円。裁判所鑑定を実施。原告は月額29,910円を請求。 | 月額15,900円→17,400円(約1.09倍) 裁判所鑑定どおり。原告請求の約6割。 |
鑑定に不合理なければそのまま採用。 |
| 東京地裁 R7.1.30 (大田区) 増額認容 |
昭和53年以降の供託継続。裁判所鑑定で4時点(H3~R4)の相当賃料を算定。 | 各時点で段階的増額。R4.7月時点で月額69,583円 鑑定結果は相当と認定。 |
長期紛争・供託ケースは複数時点の鑑定。 |
| 東京地裁 R7.4.16 (品川区) 増額否定 |
直近合意R2.7月の月額30万円。原告は月額455,638円を請求。裁判所鑑定実施。 | 請求棄却 鑑定額(月額314,000円)と現行賃料(月額300,000円)の差が小さく「不相当」と認められず。 |
適正賃料との乖離が約4.7%→「不相当」に至らず。 |
| 東京地裁 R1.7.4 (新宿区) 減額認容 |
直近合意H25.4月の月額94,200円。賃借人から月額65,605円への減額請求。裁判所鑑定実施。 | 月額94,200円→90,900円(約3.5%減額) 裁判所鑑定どおり。差額配分法30%・利回り法30%・スライド法30%・賃貸事例比較法10%。 |
直近合意時点で既に正常賃料を超えていた場合、減額が認められ得る。 |
| 東京地裁 R3.3.26 (文京区) 減額認容 |
増額請求(甲事件)と減額請求(乙事件)が競合。直近合意H24.8月の月額94,689円。 | 裁判所鑑定に基づき月額84,712円、86,813円等に減額認容。 増額請求は棄却。 |
増額と減額の請求が同時に争われた事例。裁判所鑑定が両請求の帰趨を決定。 |
| 東京地裁 R5.3.23 (新宿区) 減額否定 |
寺院所有地。直近合意H30.6月の月額156,000円。賃借人が月額106,000円への減額を請求。 | 請求棄却 鑑定額(月額155,000円)と現行賃料(月額156,000円)の差が1,000円で不相当と認められず。 |
一体利用される土地の評価方法が争点。乖離が僅少なら減額も否定。 |
| 東京地裁 R3.8.10 (目黒区) 減額否定 |
直近合意H28.5月の調停による月額24,000円。賃借人が月額16,500円への減額を請求。 | 請求棄却 直近合意後に公租公課約11.7%増、路線価約10.8%上昇等、減額方向の事情変動なし。 |
直近合意後に増額方向の事情変動がある場合、減額は認められない。 |
| 東京地裁 R6.2.26 (墨田区) 特殊 |
親族間の賃貸。月額12万円→30万円への増額合意(H30年)。賃借人が錯誤を主張し不当利得返還請求。 | 錯誤による合意無効を認容 月額30万円の合意は要素の錯誤あり。不当利得返還を認容。 |
適正賃料の3倍超の合意は錯誤で無効となり得る。鑑定で正常賃料月額15.2万円と認定。 |
| 東京地裁 R3.1.15 (千代田区) 特殊 |
公租公課2.2倍の自動改定特約あり。賃借人が特約の基礎事情の変更を主張し月額859,250円への減額を請求。 | 請求棄却 自動改定特約の基礎事情喪失を認めず。 |
自動改定特約が存在する場合の減額請求の可否。特約の合理性が維持されていれば減額は否定。 |
第3 裁判例から見える裁判所の傾向
1 裁判所鑑定への高い依拠度
裁判例を通じて最も顕著な傾向は、裁判所が選任した鑑定人の鑑定結果をほぼそのまま採用するケースが圧倒的に多いことです。
裁判所鑑定に対して当事者から批判がなされることは少なくありませんが、裁判所は「不動産鑑定評価基準に依拠し、中立・公平な立場で行われたもの」として、特段の不合理がない限りこれを尊重する姿勢を一貫して示しています。
他方、当事者が依頼した私的鑑定については、裁判所鑑定と矛盾する場合には採用されないことが多く、仮に私的鑑定のみが提出されている場合であっても、裁判所がその内容を批判的に検討し、独自に金額を調整する例もあります。
2 増額幅の実態:大幅増額は稀
分析対象の裁判例において、最終的に認められた増額の幅は、現行賃料の1.1倍から1.7倍程度にとどまるケースが大多数です。
6倍超の大幅増額が認められた事例は、約20年間一切の賃料改定がなく、被告も実質的に争わなかったという極めて特殊なケースです。
裁判所は、長期間の賃借人に対する配慮や、急激な増額の回避を意識しており、差額配分法において配分率を調整したり、公租公課倍率を減じたりすることで、増額幅を抑制する傾向が見られます。
3 「不相当」のハードル:わずかな乖離では認められない
増額(又は減額)請求が認められるためには、現行賃料が「不相当」であることが要件です。
上記(品川区の事例)では、裁判所鑑定による適正賃料が月額31万4,000円であったのに対し、現行賃料が月額30万円であり、「金額の差及び当該差額と現在の賃料額との比率がいずれも小さい」として増額が認められませんでした。
同様に、(新宿区の事例)でも、鑑定結果(月額15万5,000円)と現行賃料(月額15万6,000円)の差がわずか1,000円であったため、減額請求が棄却されています。
このように、「不相当」と評価されるには、少なくとも数パーセント程度以上の乖離が必要であると考えられます。
4 鑑定手法のウェイト付け
裁判所鑑定においては、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等の複数の手法が用いられますが、それぞれの手法に対するウェイト(重み付け)のつけ方は、個々の鑑定人や事案によって異なります。
一般的な傾向として、差額配分法が最も重視される場合が多く、これに賃貸事例比較法やスライド法が組み合わされます。
利回り法は「地価変動がそのまま反映される」ことから、参考程度にとどめられるケースも見受けられます。
また、公租公課倍率法については、不動産鑑定評価基準が定める正式な手法ではないものの、裁判実務では広く用いられており、少なくとも「検証」の指標としての合理性は認められています。
ただし、公租公課倍率法を主たる手法として過度に重視した鑑定は、裁判所から否定される場合があります。
5 直近合意からの経過期間
直近合意から長期間が経過している場合は、経済事情の変動が蓄積されるため、増額が認められやすくなります。
今回記載した裁判例では、直近合意から20年以上が経過しているケースで増額が認められた事例が複数あります。
他方、直近合意から3年程度しか経過していないケースでは、増額が認められにくい傾向がありますが、地価や公租公課が顕著に上昇している場合には、比較的短期間でも増額が認められ得ます。
第4 借地料の増減にあたり準備すべきこと
1 賃貸人(地主)側の準備
第一に、現行賃料と適正賃料の乖離を客観的に把握することが重要です。
公租公課倍率(地代が固定資産税・都市計画税の何倍に設定されているか)を確認するだけでも、おおよその目安を得ることができます。
東京23区の住宅地では、公租公課の4〜5倍程度が一つの目安とされています。
第二に、増額請求を行う場合には、不動産鑑定士による鑑定を事前に取得しておくことが望ましいです。
訴訟まで進んだ場合には裁判所鑑定が実施されますが、私的鑑定を取得しておくことで交渉や調停段階での説得力が高まります。
第三に、直近合意の時期と内容を正確に把握しておく必要があります。
いつ、どのような形で賃料が合意されたのか、書面があるのかを確認し、直近合意時点からの変動要因を整理しておくことが重要です。
2 賃借人(借地人)側の準備
増額請求を受けた場合には、まず直近合意の内容を確認し、請求された増額幅が適正であるかを検討します。
その際、対象地の固定資産税評価額、近隣の地代相場などの基礎的な情報を収集することが第一歩です。
裁判所は、増額請求がなされた場合でも、裁判所鑑定の結果に基づいて「相当な賃料」を認定するため、賃貸人が請求した金額がそのまま認められるわけではありません。
適正賃料を示す反論材料(対抗鑑定等)を準備することが有効です。
3 共通の注意点
借地料の増減額請求は、調停前置主義が採られているため、訴訟提起前に原則として調停を経る必要があります。
調停段階での合意形成が最もコストが低く、かつ当事者双方にとって納得感のある解決となり得ます。
調停・訴訟を含めた手続全体として、不動産鑑定士費用(私的鑑定で数十万円、裁判所鑑定で50万円〜100万円程度)、弁護士費用、印紙代等の費用が発生します。
増減額によって得られる(又は失う)金額と、手続費用のバランスを事前に検討しておくことが大切です。
第5 よくいただくご質問
-
借地料(地代)の増額請求は、いつでも行うことができますか?
-
はい、借地借家法11条に基づき、一定の要件を満たせばいつでも増額請求を行うことができます。
ただし、増額請求が認められるためには、①土地の租税等の増減、②土地価格の変動、③近傍類似の土地の地代との比較などの事情変動により、現行の地代が「不相当」になったと認められることが必要です。
直近合意からの経過期間が短い場合や、適正賃料との乖離が小さい場合(目安として5%未満程度)は、増額が認められないこともあります。
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借地料の増額・減額をめぐって裁判になった場合、どのような流れになりますか?
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借地料の増減額請求は、調停前置主義が採られており、訴訟を提起する前に原則として裁判所での調停を経る必要があります。
調停で合意できない場合に訴訟へ移行し、裁判所が不動産鑑定人を選任して「裁判所鑑定」が実施されます。
裁判例を見ると、裁判所は特段の不合理がない限り裁判所鑑定の結果をそのまま採用する傾向が顕著です。
調停から判決まで通常1〜3年程度かかることが多く、鑑定費用(50万〜100万円程度)・弁護士費用・印紙代等のコストも発生します。
-
長年、借地料が据え置かれている土地があります。増額が認められやすいですか?
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はい、直近合意から長期間が経過しているほど、その間の経済事情の変動(地価上昇・公租公課増加・物価変動等)が蓄積されるため、増額が認められやすくなる傾向があります。
本記事で取り上げた裁判例でも、直近合意から20年超が経過したケースで増額が認められた事例が複数あります。
ただし、長期間据え置かれていた場合でも、認められる増額幅は現行賃料の1.1〜1.7倍程度にとどまるケースが大多数です。急激な増額は、長期借地人への配慮から裁判所が抑制する傾向があります。
-
地主から借地料の大幅な増額を請求されました。請求された金額をそのまま支払わなければなりませんか?
-
いいえ、請求された金額をそのまま支払う必要はありません。
借地借家法11条2項は、増額請求を受けた借地人は、裁判で増額が確定するまでの間、自分が「相当と認める額」を支払えばよいと定めています。
ただし、後に裁判で相当額が確定した場合、不足分には年10%の利息を付けて支払う必要があります。
増額請求を受けたら、まずは不動産鑑定士や弁護士に相談し、適正賃料の水準を把握したうえで対応することが重要です。
-
借地料の増減額をめぐる問題で、弁護士に相談するタイミングはいつですか?
-
できるだけ早い段階での相談をお勧めします。
具体的には、①地主から増額請求の通知を受けたとき、②増額に応じるべきか迷っているとき、③借地人として減額を検討しているとき、④調停・訴訟への移行を検討しているとき、のいずれかの段階で、弁護士・不動産鑑定士に相談することが重要です。
特に、増額請求を受けた後に「相当と認める額」を支払い続ける場合、金額設定を誤ると後に多額の不足金(年10%の利息付き)が発生するリスクがあります。
早期に専門家のサポートを受けることで、こうしたリスクを回避できます。
-
自動改定特約(賃料が一定の基準で自動的に改定される条項)がある場合でも、増額・減額請求はできますか?
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自動改定特約がある場合でも、借地借家法11条に基づく増減額請求は原則として可能です。
本記事で取り上げた裁判例(豊島区事案)でも、公租公課3倍の自動改定特約がある契約において増額請求が認められています。
ただし、自動改定特約の存在は、裁判所が鑑定結果のウェイト付けを調整する際の考慮要素になり得ます。
また、特約の基礎事情の変更を理由に借地人が減額を求めたケース(千代田区事案)では、特約の合理性が維持されていることを理由に減額請求が棄却されています。
自動改定特約がある場合の対応は個別事情によって異なるため、弁護士への相談をお勧めします。
-
裁判所鑑定と私的鑑定(当事者が依頼した鑑定)では、どちらが重視されますか?
-
裁判所鑑定が圧倒的に重視されます。
裁判所は「不動産鑑定評価基準に依拠し、中立・公平な立場で行われたもの」として、特段の不合理がない限り裁判所鑑定をそのまま採用する傾向を一貫して示しています。
私的鑑定は、調停や交渉段階での説得材料としては有効ですが、裁判所鑑定と矛盾する場合には採用されないことが多いです。
ただし、鑑定手法のウェイト付けが不合理である場合など、裁判所が鑑定結果を修正した事例もあります。
第6 借地料の増額(減額)請求を専門家(弁護士)に相談する
1 借地料の増減請求のポイント
借地料の増減額は、直近合意時点の確定と、その後の経済事情等の変動評価という2つのステップで判断されます。
裁判所は不動産鑑定(特に裁判所鑑定)を最も重要な証拠として位置づけており、鑑定結果に特段の不合理がない限りこれを採用する傾向が一貫しています。
増額が認められる場合でも、その幅は現行賃料の1.1〜1.7倍程度にとどまることが多く、大幅な増額は例外的です。
また、適正賃料との乖離がわずかであれば、増額も減額も認められません。
借地料の増減額を検討される場合には、まずは基礎的な情報(公租公課、近隣相場、直近合意の時期等)を整理し、必要に応じて不動産鑑定士や弁護士に相談されることをお勧めします。
2 当事務所の弁護士費用
賃料・地代の増減額交渉
| 手続 | 着手金(税込) | 報酬金(税込) |
|---|---|---|
| 交渉・調停 | 33万円 ~ | 経済的利益の 11% |
| 訴訟 | 44万円 ~ | 経済的利益の 11% |
※但し、報酬金の最低額は 22万円(税込)となります。
420万円 × 11% = 46万2,000円(税込)
交渉・訴訟の費用(目安)
| 経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
|---|---|---|
| 300万円 以下 | 最低33万円 | 17.6% |
| 300万円超 ~ 3000万円 以下 |
5.5% + 9.9万円 (最低33万円) |
11% + 19.8万円 |
| 3000万円超 ~ 3億円 以下 | 3.3% + 75.9万円 | 6.6% + 151.8万円 |
| 3億円 超 | 2.2% + 405.9万円 | 4.4% + 811.8万円 |
※報酬金の最低額は 11万円(税込)となります。
※総額の下限は、交渉44万円~、法的手続66万円~、となります。
3 ご不安な方へ|よくいただくご質問
-
まだ大きなトラブルになっていません。「ちょっと怖い・おかしい」程度の不安や違和感でも相談してよいですか?
-
もちろんです。
不動産トラブルは、初期対応が非常に重要です。
契約内容の確認や、相手方への最初の通知(内容証明郵便など)を法的に正しく行うことで、被害の拡大を防ぎ、有利に交渉を進められる可能性が高まります。
「不安」・「違和感」の段階でご相談いただくのがベストタイミングです。
-
相談料はいくらかかりますか?
-
初回相談料として、1時間以内:1万1,000円を頂いております。
以降、30分以内の延長ごとに5,500円を頂いております。
-
弁護士費用規定を見ても、よく分かりません。
-
ご安心ください。
ご相談の際に、事案の内容をうかがった上で、着手金や報酬金について明確なお見積もりをご提示します。
ご納得いただいてから契約となりますので、予測不能な費用が出る心配はありません。
-
相談方法を教えてください。
-
以下のいずれかの方法でご相談を承っております。
- オンライン相談(Google Meetなどを利用します)
- ご来所による対面相談
※正確な状況をお伺いするため、恐れ入りますが、お電話やメールのみでのご相談は承っておりません。
-
オンライン相談が可能とのことですが、遠方(地方)からの相談も対応していますか?
-
はい、もちろんです。
当事務所はGoogleMeetなどのオンラインツールを最大限活用し、全国の不動産売買トラブルに対応しております。これまでにも、北は札幌市から、南は那覇市や宮古島市まで、遠方のお客様からのご相談・ご依頼実績がございます。
お住まいの地域にかかわらず、専門家による法務サポートを提供いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
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相手(売主・買主・不動産会社)と直接話したくありません。弁護士に全て任せられますか?
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はい、お任せください。
弁護士がご依頼者様の代理人となると、相手方との交渉窓口はすべて弁護士になります(受任通知を送付します)。
相手方からの連絡にストレスを感じることなく、法的な手続きを進めることができます。
-
相談の際、どのような資料を準備すればよいですか?
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必須ではありませんが、以下の資料をお持ちいただくと相談がスムーズです。
- 契約書(売買・賃貸借)
- 重要事項説明書
- 物件の図面、パンフレット
- トラブルの内容がわかるもの(写真、メール、相手方からの通知書など)
- 経緯をまとめたメモ(時系列で何があったか)
-
不動産業を営んでいます。 不動産実務に詳しい顧問弁護士を探しています。
どのようなサービス(プラン)がありますか? -
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弁護士紹介
- 1981年生まれ
- 1997年文京区立第十中学校卒業
- 2000年私立巣鴨高校卒業
- 2006年東京大学教育学部卒業
- 2008年東京都立大学法科大学院卒業
- 2009年弁護士登録
- 2024年文の風東京法律事務所を開設
- 1985年生まれ
- 2004年神奈川県立横浜翠嵐高校卒業
- 2009年一橋大学法学部卒業
- 2011年東京都立法科大学院卒業
- 2012年弁護士登録
- 2024年文の風東京法律事務所を開設
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