借地契約において、建物の構造や用途などの制約(例:建物は2階までに限る、建物は木造に限るなど)を特約で定めていることがあります。
増築や改築を行いたい場合に、このような特約との抵触が問題となってしまうことがあり得ます。
この場合、まずは地主(土地所有者)と話合いにより、特約を定めている借地条件を変更してもらうのがベストな解決策ですが、必ずしも話合いにより解決できるとは限りません。
このような場合に、借地権の円滑な活用を企図して、裁判所に対して借地条件の変更を求めることができます。
これは借地非訟手続における借地条件変更申立と呼ばれる類型のものです。
用法違反をめぐる紛争の予防を目的とした「借地非訟手続における借地条件の変更申立て」について、詳しく解説します。
借地条件の変更については、別記事でも解説をしていますので、あわせてご覧ください。
それでは早速みていきましょう。
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第1 借地条件変更申立ての全体像
借地条件の変更の裁判では、申立てが認容される場合には、借地人から地主への金銭支払い(付随処分)によって利益調整が図られます。
具体的には、建物の構造を非堅固から堅固建物にする場合に更地価格の10%相当額を目安として算定し(内容に応じてその率を増減させます)、支払いを完了することで借地条件の変更の効力が発生します。
そして、同時に地代の増額も決められることが多いです。
それでは、借地条件変更の裁判について、要件や内容をより詳しく見ていきましょう。
第2 借地条件変更の申立へ
1 借地非訟事件における借地条件変更申立ての概要
借地権が設定されている場合には、借地権の譲渡、借地条件の変更、増改築を行う場合など、様々な場面で地主の承諾が必要とされる場面があります。
そして、地主の承諾が得られない場合には借地人が何もできないとなってしまえば、借地権は非常に窮屈な権利となってしまいますので、借地非訟という手続で円滑な借地権の活用が図られています。
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借地非訟事件とは?手続の流れや制度全般を解説します借地条件の変更申立については、借地借家法17条に規定があります。
建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件が定められており、法令変更、土地利用状況などの事情の変更がある場合に、相当と認められる場合に裁判所が変更を行う制度となっています。
(借地条件の変更及び増改築の許可)
🔗e-Gov法令「借地借家法」
第17条
第1項
建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その他の事情の変更により現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。
2 当事者 ~ 誰が申立てるか?
ほとんどのケースは、借地人が申立てますが、地主からの申立ても可能です。
条文も「当事者」として特に限定をしていません。
地主からの申立ては、たとえば「鉄骨鉄筋コンクリート造りの建物は建築できない」など、借地人の増改築の申立てへの対抗手段が想定できます。
なお、借地非訟手続における呼び名は、「申立人」、「相手方」となります。
3 いつ申立てるべきか?(申立ての時期)
借地条件変更の裁判は、具体的な建築計画や建物使用状況とは関係なく、抽象的に借地条件を変更するものですので、申立時期については、特に制限がありません。
用法違反の紛争予防を目的としていることから、借地人からの申立ては、現在の借地条件と異なる建物の建築に着手する前、又は建物を現在の借地条件と異なる用途として利用する前に申立てることが望ましいといえます。
ただ、申立てを行わずに条件違反の建築や用途利用をした場合には、信頼関係を破壊する事情として考慮されることは避けられず、後で申立てを行っても治癒されませんので、この点は留意しておきましょう。
4 借地条件について
借地借家法17条1項の文言に沿ってみていきます。
「建物の種類」
建物の種類とは、建物の主たる用途によって区分されます。
具体的には、居宅、店舗、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫などです。
建物の種類に制限を加える例として、「建物は居宅に限る」、「店舗用建物以外は建築しない」などが挙げられます。
「建物の構造」
建物の構造とは、主要部分の構成材料(木造、れんが造、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造など)や、屋根の種類(かわらぶき、スレートぶき、亜鉛メッキ鋼板ぶき、草ぶき、陸屋根)、階数(平家建、2階建など)によって区分されています。
建物の構造を制限する例として、「建物は木造に限る」、「亜鉛メッキ鋼板ぶき以外の建物の建築をしない」などが挙げられます。
「建物の規模」
建物の規模とは、建物の大きさのことで、建物全体の床面積によって表されます。
建物の規模を制限する例として、「3階以上の建築はできない」、「床面積の合計が200平方メートル未満の建物に限る」などが挙げられます。
「建物の用途」
建物の用途は、建物の種類よりも、さらに細分化された建物の使用方法をいうものと考えられます。
具体的には、居宅用だけでなく「自家用居宅」とするものや、小売店としての使用に限られているものでも「24時間営業を禁止」するなどが挙げられます。
建物の用途の裁判例としては、「住宅及び浴場」から「住宅(共同住宅を含む。)、浴場、調剤薬局及び事務所」への変更を認めたものがあります(東地決平6年10月12日)。
その他の制限について
「建物の種類、構造、規模又は用途を制限する旨の借地条件」(借地借家法17条1項)は、例示列挙と考えられています。
そのため、借地内における建物の位置や建物の設備等について制限を加える特約も該当し得るものといえます。
たとえば、「隣地境界線から1メートル以内に建物を建築しない。」、「隣家との間に目隠しのない窓を設置してはならない。」などが挙げられます。
5 借地人と地主との話合い
条文では、「借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないとき」として、事前に話合い(協議)を行うことが申立ての要件として定められています。
ただ、借地人と地主との話合い(協議)が全く行われなかった場合であっても、相手方が争う以上、借地条件変更の裁判をして差支えないとされています。
その意味で、事前協議の不調は、消極的な要件と考えられています。
なお、実務的には、何も協議がされていない場合には、裁判所からの和解が試みられることも多く、調停に付すこともあるようです。
6 建築予定建物の具体的な特定は必要?
借地条件変更の裁判は、抽象的に借地上の築造すべき建物に関する制限を変更するものですので、申立てにおいて具体的な建築計画等がなくても、不適法として却下されることはありません。
ただ、具体的な建築計画の適否や付随処分としての財産上の給付額や賃料改定の要否を決定するために、建物建築について具体的な計画がある場合には、資料を提出して明らかにする運用となっています。
第3 裁判では何が審理されるか?
1 借地条件変更の「相当性」
「事情の変更により…相当である」(借地借家法17条1項)場合に、借地条件の変更は認められるとされ、事情変更の例示として、「法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化」が挙げられています。
そして、事情の変更の判断基準時は、原則として当初の契約時が基準となります。
これは契約が更新されたとしても、期間の点を除いて内容は維持されるのが一般的なので、従前の契約内容を確認したにすぎないと考えられるためです。
17条1項に規定されているのは、「事情の変更+相当性」です。
事情変更の存在だけでなく、事情の変更と土地の用法の変更との間に相関関係を求めています。
具体的には、「現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当である」とは、事情の変更に加えて、一般通常人が合理的に行動する限り、今借地契約を締結するとすれば、現状とは異なる内容の借地権を設定すると認められる場合をいうとされます。
「法令による土地利用の規制の変更」
「法令」とは、都市計画法、建築基準法などの法律だけでなく、土地利用の規制に関する命令や条例なども含まれます。
具体例としては、建物の構造を木造に限る旨の借地条件がある場合に防火地域の指定がされたり、指定容積率や指定建ぺい率の規制が変更されて高層化が可能となったような場合が挙げられます。
「付近の土地の利用状況の変化による事情の変更」
客観的かつ現実化したものである必要があります。
具体的には、周囲の建物が建て替えられて3階以上の鉄筋の建物が大半になった、などの事情をいいます。
その他の事情の変更
上記の例示列挙されたものの他に、周囲にビルが増えて日照や通風を確保するために建物を中高層にする必要が生じたことや、周囲に幹線道路ができたために騒音や振動を防ぐ構造の建物にする必要がある場合が想定できます。
「その他の事情」に主観的事情を含めるべきか見解の対立がありますが、主観的事情も含まれると考えるべきです。
そのため、借地人が老人ホームに入居するために、建物の用途を自己使用から賃貸用に変更する場合も含まれます。
2 借地に関する一切の事情の考慮
借地条件の変更をするにあたり、さらに裁判所は「借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情」(借地借家法17条4項)を考慮しなくてはなりません。
第1項の要件を満たす場合にも、第4項でさらに一切の事情を考慮することを求められていることから、「借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経緯」は、単なる例示ではなく、常に考慮される要素といえます。
(借地条件の変更及び増改築の許可)
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第17条
第4項
裁判所は、前三項の裁判をするには、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮しなければならない。
借地権の残存期間
借地権の残存期間が短い場合には、更新の可能性を考慮してその許否を決定する必要があるとされます。
具体的には、残存期間が短い場合とは、2~3年が目安とされます。
そして、更新が確実と見込まれる場合には、申立を認容します。
しかし、そうでない場合には申立てを棄却して借地契約の推移を待つことになります(借地契約の更新について争いがあり裁判となる場合には、裁判の結果を待つことになります)。
土地の状況
借地の広さ、地盤の状況等の当該土地の物理的状況や周囲、隣地の状況等の社会的状況をいいます。
借地に関する従前の経過
借地人と地主との間に継続している、もしくは存在していた特有の関係をいいます。
たとえば、近親者の特別の関係に基づいて低廉な地代が設定されていたことや、借地契約を継続するには信頼関係が破壊されている状態にあるなどの事情が挙げられます。
その他一切の事情
借地条件の変更についての借地人の必要の程度や、地主の不利益の程度などが要素になります。
第4 付随処分について
裁判所は、借地条件変更の申立てを認容する場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができます。
これは、付随処分とか付随的裁判と呼ばれています。
そして、この付随処分をするにあたっては、鑑定委員会の意見を聴くものとされ、実務においては鑑定委員会の意見が極めて重要な役割を果たしています。
(借地条件の変更及び増改築の許可)
🔗e-Gov法令「借地借家法」
第17条
第3項
裁判所は、前二項の裁判をする場合において、当事者間の利益の衡平を図るため必要があるときは、他の借地条件を変更し、財産上の給付を命じ、その他相当の処分をすることができる。
第6項
裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、第一項から第三項まで又は前項の裁判をする前に鑑定委員会の意見を聴かなければならない。
1 財産上の給付
財産上の給付は、地主の不利益を補填する役割を果たすとともに、借地人に生じる利益も考慮して両者の利益調整を図ることが目的です。
そして、財産上の給付の1つの基準ですが、非堅固建物所有目的から堅固建物所有目的に変更する場合に、更地価格の10%相当額とされています。
増改築許可の申立ての財産上の給付との関係
借地条件変更申立てと増改築許可申立てが両方とも認容される場合、財産上の給付はそれぞれの裁判について定められます(それぞれ割付けられます)。
なぜなら、裁判確定後に予定が変わり、増改築を行わず借地条件の変更のみを求めたい場合に、一括した財産上の給付が定められてしまうと、実際には行わない増改築の分まで支払う必要性が出てしまうので、このような事態を回避する必要があるからです。
財産上の給付の相場
借地条件変更の裁判には、更地価格の5%相当額が一般的とされます。
これに対して、増改築許可の申立てでは、全面改築の場合に更地価格の3~5%相当額とされます。
借地条件の変更は、具体的な増改築から離れて抽象的に借地条件を変更するものなので、一定の基準が出せます。
これに対し、増改築許可は、具体的な建物の建築計画によって生じる影響の大小も様々なので、基準値も変動幅を持つことになります。
裁判例の概観
【事案】 | 【給付額】 |
目的を「非堅固建物」から「堅固な建物」、建物の用途を「住宅及び浴場」から「住宅(共同住宅を含む)、浴場、調剤薬局及び事務所」にそれぞれ変更する場合(東京地決平6年10月12日) | 更地価格の15% |
「建物の種類を工場とし、用途を鉄鋼業用の向上に限る。」という借地条件を「建物の種類を車庫に、用途を小型自動車のみの貸し駐車場」に変更する場合(大阪地決平13年7月30日) | 更地価格の3% |
「借地人の専用住居」という借地条件を「賃貸用」に変更する場合(建物の用途のみの変更:東京地決平24年7月31日) | 更地価格の2% |
木造2階建建物所有目的との借地条件を、木造3階建建物所有目的に変更する場合(東京地決平14年4月22日) | 更地価格の5% |
2 賃料の改定
財産上の給付の他に、借地の利用効率が上がるなどの理由により、地代の増額改定がなされることが多いです。
そのため、賃料増額請求訴訟の代用の機能があるとも言われたりします。
地代の増額がある場合には、変更の効力が生じた日の属する月の翌月1日からとする事例が多いです。
ただ、借地条件の変更や態様には様々なものがありますので、内容次第では賃料が増額されない場合もあります。
なお、鑑定委員会が算出した地代によると、現行賃料が高額であると考えられる場合であっても、裁判所が付随処分として地代の減額をすることはできないと考えられています。
3 その他相当の処分
典型的なものとして、借地人の無資力を考慮して、借地人が財産上の給付を支払ったことを条件として借地条件の変更を認めるものが挙げられます。
実務上は、ほとんどこのような支払条件が付されています。
そして、借地人が支払わない場合には、いつまでも経っても借地条件の変更効力が生じないという不安定な状態に陥ってしまう恐れもありますので、多くの場合は「裁判確定の日から3ヵ月以内」の条件を付されています。
4 決定主文例(イメージをつかもう)
以上のような付随処分を含めて、実際の決定主文は、次のようなものとなります。
1
申立人が、本決定確定の日から3か月以内に、相手方に対し、〇〇万円を支払うことを条件として、申立人と相手方との間の別紙土地目録記載の土地についての借地契約を、堅固な建物の所有を目的、建物の種類を店舗、建物の構造を鉄骨造、建物の規模を高さ10メートルの3階建て(床面積1階〇〇.〇〇平方メートル、2階〇〇.〇〇平方メートル、3階〇〇.〇〇平方メートル)、建物の用途を事業用に変更する。
2
前項の変更後の本件借地契約における地代は、前項の変更の効力が生じた日の属する月の翌月から月額〇〇万〇〇円とする。
3
手続費用は各自の負担とする。
第5 他の申立てとの関係や認容後の予定建物の変更
1 賃借権譲渡許可申立てとの関係
たとえば、非堅固建物所有目的の借地権と建物が譲渡される場合に、譲受人が堅固建物所有目的で利用することを考えている場合を想定します。
この場合、従来の借地権者である譲渡人が、借地条件変更の裁判と賃借権譲渡許可の裁判をあわせて申立てることが考えられます。
一方が認められない場合
双方の申立ては、相互に他方が認容されることが条件となって申立てているとみられる場合には、いずれの申立ても棄却されます。
地主が介入権を行使した場合
まず、借地条件変更の申立てが棄却される場合であっても、先ほどとは異なり、介入権の申立ては認容されます。
また、借地人の申立てが両方共に認容される場合であっても、介入権が認められる場合には、賃借権譲渡許可の申立てが失効すると共に、借地条件変更の申立ても、介入権の申立てがされないことを条件とするものと思われますので、借地条件変更の申立ても失効するとされます(東地決昭和44年12月11日、東地決昭45年6月15日)。
2 増改築許可申立てとの関係
非堅固建物所有から堅固建物所有目的に変更する借地条件変更の裁判があったとしても、増改築制限特約がある場合には、その適用を排除する効果まではありません。
そのため、具体的な建築計画があって増改築制限特約がある場合には、借地条件変更の申立てに加えて、増改築許可の申立てもあわせて申立てるべきです。
なお、借地条件変更の申立てに加えて、増改築許可の裁判の申立てをしても、申立手数料を二重に負担する必要もありません。
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まず、堅固建物への増改築の申立ては、借地条件変更の申立てが認容されて初めて認められますので、借地条件の変更が認められない場合には、両方とも棄却されます。
これに対して、増改築の申立てが認められずに借地条件の変更だけが認められる場合は、当事者の意思によって異なる判断がされます。
ただ、増改築許可を再度申立てるとしても、借地条件変更の申立てを再度行うのは二度手間とも考えられますので、両方を同時に求めていると明確に認められる場合でない限り、借地条件変更の申立てだけを認容する運用となっています。
(参考)借地条件変更申立てと増改築許可の申立ての解説(裁判所HP)
借地条件の変更と、増改築許可の申立てについては、裁判所のホームページにおいても解説がされていますので、引用して紹介します。
基本的な運用として、申立手数料、審理の複雑さやかかる時間、付随処分で決定される金額など、借地条件変更を単独で申立てても、また、増改築許可を併合して申立てを行っても、ほとんど同じ扱いになっています。
また、すでに借地条件変更だけの申立てを行っていたとしても、建築予定建物を明示してあれば、追加で増改築許可の申立てを行う必要もありません。
🔗「Q&A」東京地裁ホームページ
🔗「Q&A」東京地裁ホームページ
3 借地条件変更の認容決定後の予定建物の変更について
申立人が提示した建築予定建物を前提として財産上の給付額が算定され、借地条件変更の裁判がされた場合には、それと構造、規模の異なる建物の建築は認められません。
裁判例では、鉄骨造り3階建工場を建築する予定で借地条件変更の認容決定を得た後、約9年経過した後に構造、規模、用途の大きく異なる鉄骨造一部鉄筋コンクリート造7階建の貸事務所、駐車場、住宅を建築しようとした事案において、建築予定建物と借地条件変更が不可分一体となっていた場合には、構造、規模、用途の大きく異なる建物の建築は認められないと判断しています(東京地決平5年1月25日)。
第6 借地条件変更の裁判を申立てよう
1 申立書は裁判所のひな形を活用する
借地非訟事件は、裁判所のホームページにひな形が記載されていますので、弁護士もこのひな形を活用して申立てます。
定型書式を活用することで、記載漏れ等を防ぎつつ、裁判所にとっても統一した形式であることで、審理がしやすくなります。
2 申立手数料について
申立手数料は、借地部分(土地)の固定資産評価額を半分にした「目的物の基礎となる価格」を算定し、以下の表を基準にして算定されます。
ただ、実際にはもっと細かいため、申立書に手数料の収入印紙は貼付けをせず、後で裁判所による正確な計算を待ってから納付します。
目的物の基礎となる価格 | 手数料 |
500万円 | 12,000円 |
1000万円 | 20,000円 |
1500万円 | 26,000円 |
2000万円 | 32,000円 |
2500万円 | 38,000円 |
3000万円 | 44,000円 |
3500万円 | 50,000円 |
4000万円 | 56,000円 |
この他に、郵券(郵便切手代)として、4500円が必要になります。
【参考】🔗「第3 費用」(東京地裁HP)
第7 借地非訟の申立ては、借地権に強い弁護士に相談
1 借地条件変更の裁判は、当事務所にご相談ください
借地条件変更の裁判は、事情の変更や相当性が要件となっており、借地非訟事件の他類型に比べて、少し特殊といえそうです。
ただ、借地条件変更の多くは、単独で申立てることよりも、増改築許可と一緒に申立てることも多く、申立人において増改築の具体的必要性を主張していくことが求められます。
不動産分野の中でもメジャーとは言い難い類型になりますので、より専門的知見を有する弁護士にご相談されることをお勧めしています。
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終了
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