当事務所が対応にあたった実事例の一部をご紹介いたします。
事例を通じて、借地権の問題に対して、弁護士をどのように活用できるか、具体的なイメージをお持ちいただけましたら幸いです。
第1 地代の滞納で「契約解除・明け渡し」を求められたが回避できたケース(借地人側)
1 背景
- 普通借地契約で土地を借り、借地人が自宅を建築して居住していました。
- 生活に困っていたわけではなかったものの、地代の入金遅れが度々発生していました。
- 地主から催告(「払ってください」という正式な督促)を受けるたびに、その都度は速やかに支払いをしていました。
2 紛争のきっかけ
ある時、滞納が約半年分に膨らんだことで、もう我慢ならないと地主から契約解除および明け渡しを求める訴訟を提起されました。
3 当方(借地人側)の対応
まず、これまでの支払・督促の経緯を時系列で整理し、督促後は毎回速やかに弁済していた事実を丁寧に説明しました。
併せて、再発防止策として、地代の自動振替の導入、借地人配偶者の連帯保証人追加、家計・入金管理の見直しを具体的に提案しました。
4 裁判所の判断(結果)
裁判所は解除を認めず、地主の請求を棄却する判決となりました。
地代滞納の経緯や、是正策の具体性などを踏まえ、直ちに信頼関係が破壊されたとはいえないと判断されました。
5 ポイント(解除を回避できた理由)
- 督促後の速やかな弁済が継続していたことが評価されました。
- 自宅という生活の本拠であり、解除の影響が大きい事情が考慮されました。
- 今後の見通しが立つよう、支払体制の改善を明確に示しました。
- 自動振替や保証人追加など、再発防止策の提案を行うなど、契約継続に向けた真摯な態度が評価されたと考えています。
第2 用途違反の疑いを「調停でルール化」して軟着陸させたケース(地主側)
1 背景
借地の一部に、借地人ご本人の車両ではない車が、度々駐車されていました。
地主は契約上の用途違反に当たる可能性を指摘し警告しましたが借地人側は「常時貸しておらず転貸ではない」と反論し、話し合いが停滞しました。
2 紛争の課題
- 用法違反・無断転貸の線引きが事実認定次第で評価の分かれる論点でした(但し、本件では利用実態を地主はあまり把握できておらず、内容としても契約違反が成立しづらい状況)。
- 誰がどの程度利用しているかが不明確で、感情的対立が先行していました。
- 任意交渉は、相手方のご多忙もあり、機会の創出自体が困難でした。
3 当事務所の対応
- ①任意交渉
- 話し合いの機会を作ろうとしましたが、借地人も多忙であり、徒に時間だけが経過してしまいました。
- ②調停申し立て
- 裁判所の場で事実を整理し、解決の枠組みづくりを進めようと、調停を申立てました。
- ③和解成立
- 法的な白黒だけに固執せず、再発予防の運用ルールを合意文書化する方針へと舵を切りました。
4 合意の骨子(紳士協定)
- 主要な利用者・目的・時間帯等の情報共有を行うことといたしました。
- 突発的な利用が見込まれる場合の事前連絡フローを定めました。
- 書面で残し、認識に相違が生じた場合の見直し機会を設けることといたしました。
5 結果
契約関係をそのまま継続しつつ、駐車トラブルの再発抑止に繋がりました。
法的結論が割れ得る論点を、実務的な運用ルールで解消することができました。
6 ポイント
- 利用実態を可視化し、事実に基づいて議論できる土壌を整えました。
- 勝ち負けではなく予防設計を優先し、双方の負担を軽減いたしました。
- 調停の場で合意形成の時間を確保し、停滞を打開いたしました。
- 訴訟化による関係悪化やコストを回避し、軟着陸を実現いたしました。
第3 15年据え置きの地代を「調停+専門家提案」で適正化できたケース(地主側)
1 背景
- 地代が約15年間据え置きの状態でした。
- 固定資産税評価額を確認したところ、約1.5倍に上昇していました。
- 借地人の方へ増額をご依頼しましたが、近隣相場の聞き取りを根拠に全面的に拒否され、交渉が難航しました。
2 争点
固定資産税評価・地価動向等の客観指標に、どれだけ近づけて評価されるべきかは争われました。
近隣事例の有無だけでなく、個別条件(立地・接道・形状・用途地域・インフラ負担等)の違いをどう織り込むかが課題でした。
3 当事務所の対応
固定資産税の評価・課税明細などの資料を客観化し、説明資料を整備いたしました。
民事調停を申立て、不動産鑑定士の調停委員による専門的見立てを踏まえ、個別事情を反映した相場観の提示、段階的増額や開始時期の猶予など複数の和解案による解決を模索しました。
4 結果
地代の増額で和解成立となりました。
借地人側のご負担感を和らげるため、段階的な適用とし、将来は**定期見直し(例:3年ごと)**を行う枠組みを設けました。
5 ポイント
- 固定資産税評価の客観データを提示いたしました。
- 第三者専門家(不動産鑑定士の調停員)の見立てが、合意形成の「物差し」となりました。
- 訴訟に比べ、時間・費用・関係性の悪化リスクを抑えた解決となりました。
第4 借地権に強い弁護士に相談する
1 借地問題(トラブル)への専門的知見

借地権のトラブルは契約期間が長いため、当事者同士の感情の行き違いや不信感が原因になりやすいものです。
そのため、裁判で白黒をつけるよりも、調停を活用して「話し合いのルール」を整え、関係を保ちながら無理のない着地点(軟着陸)を探る解決が有効な場面が多くあります。
弁護士は、当事者のご意向やお気持ちを丁寧に汲み取りつつ、法的判断を踏まえて最適な解決の形を設計いたします。
2 弁護士費用(借地権トラブル)
交渉などの費用(目安)

借地非訟事件の弁護士費用

3 お問い合わせはコチラから
法律相談:ご予約フォーム
*は必須項目です
お問い合わせ
ご相談については、予約制となっております。
来所相談だけでなく、Zoom・Google Meetによるオンライン相談も対応しておりますので、全国対応しております。
お問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
相談時に必要なもの
事前に以下のものをご準備いただくと、ご相談がスムーズに進みます。
- 相談内容の要点をまとめていたメモ
- ご相談に関する資料や書類
ご相談(初回相談料:1時間あたり1万1,000円)
法律上の問題点や採り得る手段などを専門家の見地よりお伝えします。
問題解決の見通し、今後の方針、解決までにかかる時間、弁護士費用等をご説明いたします。
※ご相談でお悩みが解決した場合は、ここで終了となります。
ご依頼
当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。
問題解決へ
事件解決に向けて、必要な手続(和解交渉、調停、裁判)を進めていきます。
示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。
終了
委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。