建物譲渡特約付借地権とは、借地権設定後30年以上経過した日に借地上の建物を地主に相当な対価で譲渡する旨の特約を借地権に付すことによって、設定から30年以上後に消滅させることが可能となる借地権をいいます。

その結果、地主は借地権の負担のない土地を取戻すことができる制度となっています。

建物譲渡特約付借地権は、それ自体が特別の借地権というわけではなく、普通借地権と定期借地権のいずれにも特約という形で建物譲渡の特約を付すことができます。

もっとも、借地権の性格付けとしては、建物譲渡特約の効力が認められ、一定時期に確実に借地契約が終了する特性がありますので、独立した定期借地権の一類型とされています。

定期借地権には、一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3類型があり、この記事においては建物譲渡特約付借地権を扱います。
定期借地権の3類型

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定期借地権の概要を解説します

それでは、より詳しい解説をみてみましょう。

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第1 要件

1 成立要件

建物譲渡特約付借地権は次の要件を満たすことで成立します。

  • 借地権を設定するときに、特約を設けること
  • 設定後30年以上先を経過した日に、譲渡する旨を定めること
  • 譲渡は相当の対価でなされること

第24条
1 借地権を設定する場合(前条第二項に規定する借地権を設定する場合を除く。)においては、第九条の規定にかかわらず、借地権を消滅させるため、その設定後三十年以上を経過した日に借地権の目的である土地の上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する旨を定めることができる。

🔗「借地借家法」e-Gov法令

2 ①特約

特約は、借地権設定の契約時に締結することが必要です。

そのため、借地権を締結した後で、事後的に付加させることができません。

3 ②30年以上先に譲渡する旨の定め

借地権の設定後30年以上を経過した日を譲渡日とすることが必要です。

譲渡日を特定の日を決めておくこともできますし、地主の意思表示や一定に事実が到来したことで譲渡する合意も可能です。

但し、期間が30年未満であれば、普通借地権として扱われることになります。

4 ③相当の対価

借地人は建物を「相当の対価」で地主に譲渡しなければならず、無償譲渡の特約をした場合は特約が無効となってしまい、普通借地権として扱われることになります。

相当の対価は、建物買取請求権における建物の時価と、同様の概念です。

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第2 建物譲渡特約付借地権に関連する問題

1 相当の対価の定め方

相当の対価の定め方は、①確定額で定める、②算出するための基準や算式を定める、③単に「相当の対価」又は「時価」と定める、④不動産鑑定士による評価額と定める等の方法が考えられます。

①の確定額にする場合、30年以上も先の譲渡になるため、その金額が相当の対価といえるのか見通しが不明になってしまう危惧があります。

また、③の「相当の対価」であれば、このような問題は回避できますが、事実上何も決めていない状態となってしまいますので、新たな紛争の火種を抱えてしまう危惧があります。

④不動産鑑定士による方法が最も公平かつ合理的な算定になりますが、鑑定費用がかかってしまう点が弱点です。

そのため、②の方法により、固定資産税評価の〇倍にしたり、最終地代の〇倍のように、基準を明確にして合意しておくことが、費用対効果を踏まえての推奨できる方法といえそうです。

2 公示方法(登記) 

建物譲渡特約付借地権は、一般定期借地権や事業用定期借地権と異なり、不動産登記の登記事項とはされていません。

そのため、地主が将来の建物譲渡による借地権消滅を第三者に対して主張できるようにするためには、建物所有権移転登記請求権を保全する仮登記をすることが必要です。

この仮登記をしていなければ、地主は借地人から建物を譲受けた第三者に建物譲渡を主張できないこととなり、借地権は消滅せず、普通借地権が存続してしまうことになってしまいます。

このように建物譲渡特約付借地権の場合、必ず仮登記は付されるであろうことから、他の定期借地権と異なり、借地権の設定の際に書面の作成が要件となっていません。

3 建物譲渡特約と借地権(普通借地権 or 定期借地権)

建物譲渡の特約は、定期借地権にも普通借地権のいずれにも付けることができます。

建物譲渡の特約には、普通借地権と定期借地権の2つがあります。

普通借地権に建物譲渡特約を付すのが原則的な形態と想定されています。

これに対して、定期借地権に建物譲渡特約を付けた場合は、普通借地権の場合に比べて地主にとって保険をつけている機能があります。

具体的には、50年の定期借地権に30年後の建物譲渡特約を付した場合、30年後に地主は定期借地権付きの建物を取すると、残存期間として20年残っていますが、地主の建物取得により借地権は消滅します。

この場合のメリットは、売買代金が用意できない等の事情により買取請求権を行使しない(できない)場合であっても、50年後には定期借地権の期間が満了しますので、地主に必ず土地が戻ってくる点が挙げられます。

第3 建物譲渡後の法律関係

1 法定借家権(借地借家法24条2項)

建物譲渡特約が付された借地上の建物の賃借人は、仮登記を備える地主に対抗できませんので、建物から退去する必要があります。

もっとも、それでは建物賃借人の居住の保護に欠けると考えられたことから、建物賃借人(借地人又は借地人の建物賃借人)からの請求により期間の定めのない借家契約が締結されたものとみなすこととされました。

このように特約に基づく譲渡がなされ、かつ、建物使用者が請求をしたときに成立する賃借権を、法定借家権と呼びます。

第24条
 前項の特約により借地権が消滅した場合において、その借地権者又は建物の賃借人でその消滅後建物の使用を継続しているものが請求をしたときは、請求の時にその建物につきその借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない賃貸借(借地権者が請求をした場合において、借地権の残存期間があるときは、その残存期間を存続期間とする賃貸借)がされたものとみなす。この場合において、建物の借賃は、当事者の請求により、裁判所が定める。
 第一項の特約がある場合において、借地権者又は建物の賃借人と借地権設定者との間でその建物につき第三十八条第一項の規定による賃貸借契約をしたときは、前項の規定にかかわらず、その定めに従う。

🔗「借地借家法」e-Gov法令

2 定期借家権の導入(借地借家法24条3項)

前項の法定借家権も、通常の建物賃貸借となりますので、地主(建物所有者)にとっては正当事由がなければ更新拒絶や解約申入れができません。

そのため、この点が建物譲渡特約付借地権の弱点とされ、建物譲渡特約付借地権は実務上もほとんど利用実績が見られません。

そこで、この法定借家権についても、建物の返還時期を確定することによって、建物譲渡特約付借地権の利用が円滑に行われるよう制度設計されたのが、定期建物賃貸借の制度の活用です。

地主が完全な所有権を取得することが企図されると共に、建物譲渡特約付借地権の積極的な活用が企図されています。

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