クレーム対応において、正当なクレームには誠意をもって対応すること、一方で不当なクレームには毅然と対応することは理解しました。

では、この正当なクレームと不当なクレームは、具体的にどのように区別すればよいでしょうか?

クレーム対応の流れは、クレームの内容を把握した上で、事実関係を調査・確認します。

そのうえで、顧客が求めている「内容」が相当か「手段・態様」が相当かとの観点から、クレームの正当性判断を行います。

このクレームの正当性判断は、法的判断を伴うもので、判断に迷うことが少なくありません。
この記事で深堀りしますので、より具体的な内容把握とイメージをもっていただきたいと思います。

クレーム対応要領は、事実確認を行い、その事実関係に基づいてどのような責任を法的に負うかを検討し、それに対する顧客の要求を検討し、正当か不当なクレームと言い得るかの判断をします。
クレームの正当性判断の流れ
(参考)悪質クレーマーは怖くない!クレーム対応の基本を弁護士が徹底解説!
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あらゆる悪質なクレーム(不当要求)に負けない対応法
https://ik-law.jp/vsclaim/
(参考) カスタマーハラスメント(カスハラ)被害から会社を守る対策
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悪質クレーマー(不当要求者)は「お客」ではない!!
https://ik-law.jp/cushara/

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第1 クレーム対応とは、「顧客を選ぶ」こと

1 悪質クレーム対応で目指すべきもの

当社の従業員が適切な対応を行い説明を尽くしているにもかかわらず、「納得できない。」として過度な要求をし続けたり、大声や脅迫的言辞をもって要求を押し通そうとしてくるクレーマーがいます。

このような要求行為を行うクレーマーは、もはや会社にとっての顧客などではなく、会社に対する「モンスタークレーマー」=「業務妨害行為者」とみなすべきです。

業務妨害を受ければ、それを回避すべきことは当然です。
相手の納得や理解を得ようと対応を継続してしまえば、それはモンスタークレーマーの業務妨害行為を甘受していると言われても仕方ありません。

つまり、業務妨害行為に対しては、モンスタークレーマーとの交渉を打切ることが必要になります。

【参考】 平行線を作る問答集(例文)!クレーマー対応法の具体的イメージを持つ
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例文を読み込むことでクレーマー対応のイメージを掴もう!
https://ik-law.jp/claim_parallel-words/

2 拒絶すべき取引を「不当要求」として取引を断絶する

クレームの内、クレームの①内容が著しく不相当なもの②態様が著しく不相当なものを「不当クレーム」と分類して、クレームの内容態様によって正当・不当クレームを判断していくことが提唱されています(厚労省のカスタマーハラスメント企業対策マニュアルも同様の考え方になっています)。

正当なクレームと悪質クレーム(不当なクレーム)を区別する基準として、要求内容と要求方法のいずれかにおいて相当性を欠いている場合をいう。
正当クレームと悪質クレームの分類

以下、クレームの内容と態様が著しく不当であると判断するに際し、どのような判断基準を用いるべきかについて、より詳しく説明いたします。

【参考】 「組織的に対応する」とは?(不当なクレーム・悪質クレーマーの対応)
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1人では弱くても、組織ならば強く戦える!!
https://ik-law.jp/claim_team/

第2 クレームの「正当 or 不当」を区別する判断基準

1 法的根拠があるか

クレーム対応においては、そのクレームが正当か、不当かを判断することから始まります。 そして、正当クレームと悪質(不当)クレームの区別は、そのクレームに法的根拠があるか(当方会社に落ち度があるか)、クレームの要求内容が過大でないか(正当k)、クレームの要求方法・態様が著しく不当でないか、の観点から判別します。
正当クレーム・悪質クレームを区別するツリー図

まず、そもそもクレームに法的根拠がなければ、単なる言いがかりといえます。
この法的根拠の有無には、以下の視点から判断をしていきます。

①欠陥や過失が存在するか

商品に欠陥があったり、会社の不手際で顧客の物を壊したりケガをさせたりなど、会社に「落ち度」あることが前提です。
たとえば、自然災害や天候によるものは、「過失がない」と判断されることが多いでしょう。

②損害が発生しているか

次に、顧客側に損害が発生していることです。
個人情報が漏洩した場合や、物が壊れた場合などであれば、損害の発生自体は明白です。

しかし、「想定したものと違う内容であった」とのクレームや、「提供に時間がかかりすぎ」などのクレームの場合、「損害」が発生しているといえるか容易には判断し得ない場合もあります。

具体的な事例での考察

(事例)
たとえば、顧客の服に飲み物をこぼしてしまい、顧客の服が汚れてしまいました。
顧客からは新品の洋服代を請求されています。
お店は、クリーニング代による賠償では足りないのでしょうか。


(回答)
汚れただけであれば、洗濯や清掃によって元の状態に戻ると思われますので、クリーニング代金程度の賠償で足ります。
汚損の程度がひどく、買い替えるしかないと判断できる場合でも、既にある程度使用された中古品のため、新品での価格賠償の必要性はなく、中古品としての価格で賠償する義務しかありません。

このように、クリーニングにより元の状態に戻る場合には、クリーニング代金程度が「損害」として考えられます。
また、買い替えが必要となるとしても、その物の時価が「損害」になると考えられますので、新品賠償までは認められません。

③欠陥や過失と損害の間に相当因果関係があるか

そして、会社が損害を負うのは、単に条件関係があるだけでなく、当因果関係がある損害について法的責任を負います。
そのため、「①欠陥や過失(落ち度)と②発生した損害」の相当因果関係を判断します。

実務的にもかなり悩ましい問題で、よく争われることも多い論点です。

具体的な事例での考察
  • 顧客の服に飲み物をこぼしたケースで、顧客がクリーニング店に行くために勤務時間中に会社を2時間抜けました。この2時間分の給与が支払われなかった場合に、休業損害(減給された2時間分)の請求は認められるでしょうか。


    前問と同様に、クリーニング代を支払えば足り、休業損害等までの賠償責任は負いません。
    顧客の服を汚してしまった行為と休業損害とには、相当因果関係がないと説明されます。

  • 右足にケガをさせてしまった場合に、ケガをした顧客が左足でかばいながら毎日歩行していたところ、左足への負担が大きく、左足も痛み始めたので治療を開始した場合、左足の治療費も負担する必要があるでしょうか?


    右足のケガについて賠償義務を負います。
    左足については事故と相当因果関係なしと判断されることが一般的です。
    ケガを負わせた範囲について責任を負うことが原則となります。

  • 前問と同様に、右足にケガをさせてしまった場合に、顧客が半年以上も通院しているだけでなく、治療に効果的だからと鍼治療も受けている場合に、どこまでの治療費を支払うべきでしょうか。


    必要かつ相当な治療費の支払義務を負います。
    何をもって必要かつ相当な治療期間と判断するかは、医学的な判断を伴い、個別事案に応じて妥当性を検討するしかありません。
    これは非常に難しい問題です。
    なお、ケガの治療で鍼治療は原則として認められませんので、支払義務を負いません。

  • 会社の過失によりランニングシューズの配送を遅配してしまいました。
    顧客より、遅れたことで参加ができなかったマラソン大会の登録費用の弁償を求められました。


    個別具体的な事情を基に判断されますが、どうしてもそのシューズがなければ大会に出られなかったという事情を見出しにくく、大会登録費用の弁償までは不要となることが多いように思われます。
(参考) 自社に非がないクレームの対応:理不尽、不合理クレーマーと決別
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会社に落ち度がないのに付け入る隙を探すのがクレーマー
https://ik-law.jp/claim_no_fault/

2 要求内容が相当性を有するか

要求「内容」が不当なものとして、次のようなものが挙げられます。
要求内容の正当性だけでなく、要求内容が発生した損害に見合うものかどうか、との視点から判断します。

【要求内容が不当の例】
 ・高額な慰謝料の請求
 ・迷惑料の要求
 ・正当理由のない返品・返金要求
 ・新品、上位機種との交換
 ・土下座の要求
 ・社長の謝罪を要求
 ・「責任者、上司を出せ」との執拗な要求
 ・「アイツを辞めさせろ」と要求
 ・自宅等に呼びつける
 ・即時の回答、約束を要求
 ・「今すぐ書面を書け」との要求
 ・「誠意を見せろ」、「自分で考えろ」の要求   

 

①高額な慰謝料・迷惑料の要求

ケガをさせてしまった場合にどの程度の慰謝料を支払うべきか、また、顧客が大切にしていた物に傷がついた場合に慰謝料を求められた場合にどう対応すべきか(原則として、物的損害には慰謝料は認められません)、悩むことは少なくありません。

しかし、何の根拠もなく、たとえば慰謝料(迷惑料)として100万円を要求するような行為は、要求「内容」が不当であるといえます。

②正当な理由のない返品・返金要求

商品やサービスに何も問題がないにもかかわらず、顧客側の落ち度(取扱説明書を読んでいない、通常とは異なる利用の仕方をする等)によって商品が壊れてしまったような場合は、会社としては返品・返金や交換などに応じる必要はありません。

このような場合は、要求「内容」が不当といえます。

③土下座の要求

他人に土下座を要求するなど、問答無用で不当クレームです。
この要求行為があった時点で、即座に不当クレームとして、対応を打切るべきです。

なお、厚労省カスハラマニュアルでは、要求「手段・態様」の例として整理しています。
この例のように、内容と方法(手段・態様)に区別がつきにくいケースがありますので、内容方法の区別は深く考える必要性(実益)はありません。
この記事では、「土下座」という要求「内容」が正当化される余地がありませんので、内容に分類しています。

④社長・上司による謝罪の要求

謝罪の要求自体は、正当な要求といえる場合もあり得ますが、誰を担当者として謝罪するかは会社が決めることです。

担当者による謝罪を超えて、さらに社長や上司による謝罪を求めるのは、クレーマーの「目上の人に謝らせ屈服させる」ことで満足感を得る、歪んだ承認欲求の現れでしかありません。

⑤従業員の解雇要求

従業員がミスなどを犯したとしても、解雇するかどうかは会社が決める問題です。

雇用関係について第三者である顧客には、何ら権限がありません。
このような問題に平然と口出しし、対応を強要することは、要求「内容」が不当といえます。

⑥対応困難(不可能)な要求

「自宅に来い」、「今すぐ結論を出せ」、「今すぐ謝罪文を書け」、「法律を変えろ」、「この無駄な時間を返せ」など、対応に納得しないクレーマーは、対応困難(不可能)な要求をしてくることがあります。

たとえクレームの原因となっている事実が存在するとしても、要求内容の実現が困難(不可能)ですので、「内容」が不当といえます。

【参考】 不当要求者(悪質クレーマー)と面談:対応の考え方と注意点のポイント
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不当要求者と面談~対応マニュアルをお伝えします
https://ik-law.jp/mendan_claim/

⑦要求が抽象的(誠意を見せろ、自分で考えろ)

悪質クレーマーに特徴的なことの1つとして、要求内容を具体的に言わないことがあります。

これは、こちらが適切な対応と考えている範囲を超えた対応(より高額な賠償金の支払いや過剰サービスなど)を暗に要求しつつ、自身は求めていないのに会社が勝手に対応してくれたとの逃げ道を作る戦略です。

クレームの原因行為(原因事実)に要求内容が釣り合っていなければ、要求「内容」が不当であるといえます。

3 要求態様(方法)が相当性を有するか

要求「態様(方法)」が不当なものとして、次のようなものが挙げられます。
手段・態様だけでなく、場所や時間、経緯なども含めて総合的に判断します。

【要求方法が不当の例】
 ・怒鳴る、怒る、乱暴な口調
 ・突然のアポイントなしでの訪問
 ・店頭や会社への長時間の居座り
 ・スマホでの無許可撮影の続行
 ・長時間の電話
 ・「役所やマスコミに言いつける」、「ネットに書く」
 ・会社の言い分を全く聞かない
 ・言葉尻を捉えて攻撃する

①暴行

殴る・蹴るは当然として、腕や足をつねる、顔を引っ掻く、物を投げる、壁やテーブルを叩く、従業員の着衣を引っ張る、胸倉をつかむ、水やお茶をかける、などの行為はいずれも暴行罪に該当する犯罪行為です。

即座に警察に通報すべき、要求「態様(方法)」が不当なものです。

【参考】 悪質クレーム(不当要求)対応で覚えておきたい「犯罪」行為類型
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悪質クレームに立ち向かう法律知識を!!
https://ik-law.jp/claimcrime/

②暴言

誹謗中傷の言辞とともに怒鳴ったり、怒ったりする場合には、そもそも相手方は解決に向けて歩み寄る姿勢は全く見られません。

このような言動は、要求「態様(方法)」が不当といえます。

③不当な態様での要求

「社長に会わせろ」という程度であれば、非常識な要求ではあるものの、不当な要求とまですぐには評価できません。

しかし、拒否したにもかかわらず、会社に何度も訪問してくる、退去を求めているのに長時間居座る、来訪時にスマホで撮影を継続する場合には、要求「態様(方法)」が不当といえます。

【参考】 長時間拘束・多数回来店・暴言クレーマーには関係遮断を!
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日常に潜む悪質クレーマーへの対応要領を弁護士が解説します
https://ik-law.jp/no-apomenkai/
【参考】 スマホで無断で動画(写真)撮影をする悪質クレーマーへの対応法
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動画撮影する悪質クレーマーに対応する術とは?
https://ik-law.jp/claim_dougasatsuei/

④不当な電話やメール

同じクレームを繰り返す電話や、こちらから切らせないように長時間の対応をさせる電話、クレームだけを記載したメールなどは、業務に支障が生じることが明白で、不当なクレームといえます。

【参考】 電話クレーム対応【多数回・長時間・執拗】切り方を例文付きで解説
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電話クレームの対応ポイントを解説します!
https://ik-law.jp/claim-call/

⑤不当なほのめかし

「役所に言いつける」、「マスコミに言う」、「インターネットに書いてやる」などの発言は、会社の落ち度がある場合だけでなく、ない場合であっても落ち度がないことを説明せざるを得ない事態を想像させて要求を通そうとする場合には、不当なクレームといえます。

【参考】 納得しないクレーマーの対応法:堂々巡り・押し問答からの関係遮断
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困ったと思うクレーマーの対応法を解説します
https://ik-law.jp/claim_no_agreement/

4 正当・不当の判断を踏まえて、最後は経営判断を加味して対応する

以上のような観点をもって、クレームの正当・不当の判断を行います。

正当・不当クレームの分類図

クレーム発生により、会社に非がない場合(法的根拠がない場合)には不当クレームと言えます。 会社に非がある(法的根拠がある場合)には、次に要求内容が正当か、要求態様(方法)が正当かを検討し、正当であれば正当クレームと言えます。 しかし、要求内容が著しく不当、または要求手段・態様(態度)が著しく不当の場合には、不当クレームというべきです。

最終的には、経営判断を加えて総合的に判断して対応にあたる

ただ、不当だと言い得る場合であっても、著しく不当であることが明白であるならば問題ありませんが、やや不当ではあるものの、不当クレームと断定するには迷いが生じてしまうものなど、必ずしも判断が容易なものばかりではありません。

たとえば、会社に過失があるかないかの判断が出来かねる場合や、法律的には10万円の賠償をすべき場合に、13万円の賠償請求を受けている場合など、一刀両断しづらい場面に少なからず遭遇するはずです。

また、クレーム対応の手間を考えると、要求内容が微々たるものであるため(例:規定通り200gの白米を入れたが、外見上少ないとクレームを受け100gをサービスした等)、その場では応じておくなどの対応もあり得るでしょう。

このように、要求「内容」の不当性と、要求「態様(方法)」の不当性の程度を総合的に判断し、最終的には経営判断で結論を下すことになります。

その際の判断基準として、顧客平等主義の観点を忘れないことが大切です。
他の顧客から同様に要求があった場合にも応じられる限度、という限界点を予め設定しておくと良いでしょう。

大切なことは、クレームの正当性を判断するにあたり、しっかりと判断基準を持つことです。
その判断基準は、顧客平等主義の観点から、他の顧客から同様の要求があった場合に応じられるものでなければなりません。

このような判断基準を予め設定したうえで、現場裁量を責任ある従業員(店長など)に任せておけば、現場においても安心して対応にあたることができます。

(まとめ記事)弁護士が伝授【クレーム・クレーマー対応】悪質・不当要求と戦う指南書
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第3 裁判例の概観(顧客の損害賠償請求を棄却した事例)

1 不当クレームを恐れない

裁判例を2つ紹介いたします。

いずれも、従業員に落ち度自体はあり得るものですが、だからといって損害賠償責任が発生するものではなく、顧客からの訴えは認められていません。

仮に会社の対応に非があったとしても、クレーマーの言い分を無条件に受け入れていいはずがなく、責任に応じた謝罪や賠償を行えば十分です。
過度に不当なクレームを恐れる必要はありません。

2 神戸地裁平成2年8月8日判決

【事案の概要】

顧客が販売店に電子手帳の電池交換を依頼したところ、同店店員の誤操作により記憶データを消失せられ、その際の店員の対応も不誠実であったとして200万円の慰謝料を求めました。

【判決の要旨】

裁判所は、以下のように述べて顧客からの慰謝料請求を棄却しました。

「取扱説明書には、電池交換後、リセットボタンを押すように記載してあるが、被告従業員らとしては、本件電子手帳に示された方法で電池交換をしたのであるから、動作用電池の交換に過失を認めることはできない。
そうすると、同人らに入力データーの消滅についても過失はないことになる。


もっとも、被告従業員Aが原告の妻を電池交換で20分近くも待たせ、その理由について説明せず、しかもその後なんの挨拶もせず店を離れているのは不誠実というほかない。
しかし、本件電子手帳に記載された方法で電池交換をしたにもかかわらずロック状態になったことについての被告従業員Aの困惑も推察に難くないところで、あながち非難できない点もある。
また、被告従業員Bの原告の妻に対する態度も、被告会社の自認している程度でも、同女の立腹をかって当然であるが、いずれも原告に関することでもないうえ、入カデーター消滅があきらかになった後、被告会社の代表者が原告に謝罪の電話をし、従業員らは原告方に謝罪に訪れ、さらに原告の求めに応じて、今回の件について陳謝する旨の書面を差人れ、また原告は受取らなかったものの、被告会社は、交換の電子手帳等を持参し、さらには、再度の人力について協力する旨申し出たことが認められる。


そもそも被告会社に入力データーの消滅に責任がないのであるが、従業員らの態度、あるいは入力データー消滅後の被告会社の応対に適切さを欠いた点があって、その点につき不法行為を論ずる余地があるとしても、被告会社が右のように原告に陳謝の意を表明していることに鑑み、その点は慰謝されたと解するのを相当とし、被告会社の損害賠償義務の存否を論ずる必要はない。

3 東京地裁平成16年4月26日判決

【事案の概要】

原告が百貨店(被告)で買い物をした後、原告の財布に他人のメンバーズカード(百貨店のメンバーズカード)が入っていたので、百貨店に連絡をしたところ、従業員の不誠実の応対などにより、精神的損害を被ったとして、百貨店(被告)に慰謝料を請求しました。

(原告の主張)
具体的には、原告の連絡を受けた従業員は、原告の申し出に対し、お礼の挨拶をすることもなく、被告の封筒を送るので、本件カードを返送するように依頼しました。
原告は、そのような返送方法では本件カードが悪意の第三者にわたるのではないかと考え、背筋の凍る思いをし、当該従業員に上司に替わるように求めました。
翌日に対応した上司も無責任な対応であり、他上司らも原告の通知書等による問いかけに十分に応答しない等誠意のないものでした。

以上のような被告の従業員の行為を無責任、無自覚、無反省、不誠実きわまると評価し、損害賠償を求めました。

【判決の要旨】

判決は、従業員の行動が違法であると認められないとして、原告の請求を棄却しました。

「原告と被告との間の紛争は、本件カードを取得した原告がその旨を被告に電話連絡し、被告の従業員が返信用封筒を送るので、それで返送してほしい旨伝えたことに端を発している。
原告は、△カードがクレジットカードで金銭にもかわる性質をも持つものであることから、誰か責任のある立場の者が直ぐにでも原告のところへ△カードを取りに来るべきであると考えていたため、これに立腹したものと認められる。

しかしながら、人が社会生活を送るにおいて、その考え方の違いから、相手方に対して不快感を持つことはあり得るけれども、その場合に直ちに不快の念を与えた者に対する慰謝料請求が認められるものではないことは他言を要しない。
本件においても、拾得したクレジットカードの取扱いについて、原告と被告との間において、考え方に相違があることが窺われるけれども、被告においては、この時点で、原告が真実△カードを拾得していたと判断できていたわけではないし、また、△カードに付された保険の状況、我が国における郵便事情等に照らして考えると、拾得者に返送用封筒を送付し、それで返送された△カードを確認して謝礼を送付するという被告の対応が社会的に逸脱したものと評価することはできず、むしろそれなりに合理性を有した対応であると評価できる

そして、被告においても、Bの対応がマニュアル様であったとの反省がないわけではないものの、Bの「返信用の封筒をお送りさせて頂きますので、お手数ですが、送り返していただけますでしょうか。」との発言が礼を失したものであるとは認められない。
そして、その後の従業員らの対応を考えても、原告が自己の見解に終始するのに対し、相応に対応していると認められ、そうした被告従業員の行動が違法であると認めることはできない

第4 当事務所のクレーム対応(費用)

1 当事務所の考え

不当なクレーム、悪質なクレーマーから会社を守るためには、会社が一丸となり毅然とした対応を行う体制構築が必要不可欠です。

そのためには、継続的な支援が必要不可欠なものと考えており、顧問契約の締結をお願いしています。

弁護士 岩崎孝太郎

【クレーム対応基本プランの提供サービス】

対応が困難、もしくは判断に迷う事例について、随時ご相談いただきます。
そして、定期的に検討会を行い、対応の是非と同種事例への対応策を打合せします。

これまでに発生した事例に対する検証を行い、それを基にした対応マニュアルを整備します。

法的手続を除いて代理人としての窓口対応業務までも含めていますので、弁護士費用を予算化できますし、コスパ良く外注できる存在としてご活用いただけます。

1~2年の継続により、クレーム対応業務を内製化していき、通常の顧問契約にダウンサイジングしていくことも可能です。

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当事務所のクレーム対応のまとめ記事です

2 弁護士費用と提供サービスプラン

クレーム対応:基本プラン(6ヵ月~)

月額顧問料は、11万円(税込)。
【顧問契約提供サービス】
法律相談(法律問題全般の随時のご相談)、クレーム対応の内製化支援、契約書・社内規程のチェック等、対応マニュアルの作成・改訂、個別事件における代理人窓口対応、顧問先企業での初回無料セミナー。
【オプションサービス】
顧問先企業におけるセミナー(8万8,000円)、法的手続の代理人対応(33万円~)

クレーム対応:代行特化プラン

弁護士への委任を個々の案件ごとではなく、予算を設定して毎月定額化させたい場合に、特化プランを準備しています。
目安として毎月3件程度を上限に想定していますが、個別相談いたします。

当事務所におけるクレーム対応の特化プランです。
基本として1年間のご契約をいただき、毎月22万円×12ヵ月(税込)
定期的にクレーム対応代行を依頼したい事業者の方に

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ご相談については、予約制となっております。
来所相談だけでなく、Zoom相談も対応しておりますので、全国対応しております。

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  • ご相談に関する資料や書類
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ご相談(初回相談料:1時間あたり1万1,000円)

法律上の問題点や採り得る手段などを専門家の見地よりお伝えします。

問題解決の見通し、今後の方針、解決までにかかる時間、弁護士費用等をご説明いたします。

※ご相談でお悩みが解決した場合は、ここで終了となります。

STEP
3

ご依頼

当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。

STEP
4

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事件解決に向けて、必要な手続(和解交渉、調停、裁判)を進めていきます。

示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。

STEP
5

終了

委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。

STEP
6

クレーム・カスハラ対応には、会社のトップが不当クレームに対して毅然と対応する姿勢を明確にする必要があります。

大きなストレスやうっぷんが溜まっている社会であっても、会社を悪質クレーマーから守る戦いを、専門家としてサポートします。

クレーム対応のご相談、
お気軽にご連絡ください。

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