弊社は、いわゆるBtoCビジネスを行っていますが、稀に無理難題を言う悪質クレーマーの対応に悩まされています。

このような方に対して、どのように対応すれば良いかが分からず、従業員が困っています。
どのように対応すれば良いでしょうか?

ビジネスを行う以上、不当要求を行う者との接触は避けて通れません。

会社にできることは、まずクレームに対する会社の姿勢を明確にすること(ex:不当要求をしたり、暴言を吐く客は、お客として扱わなくても良い等)、次にクレームが発生した場合の体制を事前に構築することです。

そのためにも、クレーム対応のマニュアル化や、従業員に対する研修を行っておくべきです。

そして、そのルーティーン化された対応でも収まらないケースは、警察だけでなく、弁護士に依頼をして通常の経済活動を阻害されないよう外部からの協力を得て、より組織的に対応できるように備えをしておくことが望ましいです。

(まとめ記事)弁護士が伝授【クレーム・クレーマー対応】悪質・不当要求と戦う指南書
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クレーム対応の解説記事をすべて網羅したまとめ記事です
https://ik-law.jp/claim_lawyer/
【参考】 カスタマーハラスメント(カスハラ)被害から会社を守る対策
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悪質クレーマー(不当要求者)は「お客」ではない!!
https://ik-law.jp/cushara/

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第1 基本的な対応方針~行為類型別

アポなしで来店、来社するクレーマーの態様として、従業員を長時間拘束して不満を述べるパターン、複数回・多数回にわたり執拗に来店するパターン、応対する従業員に対し怒鳴ったり、暴言を吐くパターンなどがある。
🔗「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」(厚労省)の「ハラスメント行為別」より抜粋

この記事では、クレーマーとアポがない日常応対中に遭遇するクレーマー)場合を想定していますが、クレーマーとアポを取って面談する場合は、以下の記事をご参照ください。

また、電話や動画撮影のクレーム対応の記事も執筆しています。

【参考】 面談強要するクレーマー:時間、場所、人数はどうするか?
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不当要求者と面談~対応マニュアルをお伝えします
https://ik-law.jp/mendan_claim/
【参考】 電話クレーム対応(多数回・長時間・執拗)切り方を例文付きで解説
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電話クレームの対応ポイントを解説します!
https://ik-law.jp/claim-call/
【参考】 スマホで無断で動画(写真)撮影をする悪質クレーマーへの対応法
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動画撮影する悪質クレーマーに対応する術とは?
https://ik-law.jp/claim_dougasatsuei/

1 長時間拘束型

長時間にわたり、顧客等が従業員を拘束するタイプです。

具体的には、スーパーマーケットで応対する従業員に不平を言い続ける場合や、携帯修理ショップや飲食店などで要望が通らない時に無理難題を言い続け、従業員への応対を求め続ける場合が想定されています。

対応できない理由を説明し、応じられないことを明確に告げる等の対応を行った後、膠着状態に至ってから一定時間を超える場合には、お引き取りを願います。

ポイントは、予約ある面談の場合とも同様に、時間決定に際して会社が主導権を握ることです。
「一度お引き取りください。」、「確認した上で必ず連絡致します。」等を繰り返し明確に伝えます

それでも執拗にクレームを述べ続けたり、従業員を離そうとしない場合には、不退去罪威力業務妨害罪などが成立する可能性がありますので、警察に通報することを警告した上で、通報するのが良いです。

【対応イメージ】

対応者

ご意向は分かりましたが、今は対応できませんので、一度お引き取りください。

悪質クレーマー

謝罪と賠償の確約をしてくれたら帰ると言っているだろ!

対応者

繰り返しになりますが、今は対応できません。
ご理解いただけないようですので、今から警察に連絡致しますので、その場でお待ちください

2 リピート型

リピート型とは、繰り返し来店、来社して、理不尽な要望を繰り返し求めてくるケースです。

具体的には、まだ謝罪がない等として毎日謝罪を求めるに来るケースや、調査や回答に時間を要する場合に期限前に早く結論を求めてくるケースなどが例として挙げられます。

基本的な対応としては、連絡先を取得し、繰り返し不合理な問い合わせがくれば注意し、何度来ようと対応できない旨を伝えます

それでも繰り返し来る場合には、リスト化して通話内容を記録し、対応窓口を一本化して、同様の問い合わせをしないよう毅然とした対応を行います。

それでも来る場合には、警察弁護士への相談も検討しましょう。
特に警察への連絡は躊躇なく行っても良いと考えます

【対応イメージ 回答内容に満足しない例を想定】

対応者

すでにお伝えしておりますように、これ以上弊社として対応できることはありません。

悪質クレーマー

謝罪も賠償もしないというのはおかしいでしょ!
納得いく説明をしてくれなければ、毎日来るよ。

対応者

同じことしか申し上げられません。これ以上の対応は致しかねます。
ご理解いただけないようですので、今から警察に連絡致しますので、その場でお待ちください

3 暴言型

大きな怒鳴り声をあげたり、「バカ」・「おめぇ」などの侮辱的発言、人格の否定や名誉を棄損する発言をするケースです。

大声を張り上げる行為は、周囲の迷惑となるため、止めるように求めます。
悪質クレーマーは、他の顧客の注目を集めることで従業員を焦らせ、自己に有利に交渉を進めようとしますので、制止を聞かない場合には、別室に移動させましょう

そして、可能な限り複数対応します
2人ならば、1人がクレーマーとの対話役となり、激怒する顧客の怒りを鎮めながら対話し、もう1人は記録をしたり、話が間違った方向に進むことを防ぐ役割をします。

侮辱的発言名誉棄損人格を否定する発言に関しては、後で事実確認ができるように録音し、程度がひどい場合には退去を求めます。

暴言の発端が自社にあったとしても大声で怒鳴られたり、暴言を受ける理由はありません
止まない場合には、直ちに警察に通報します!!

弁護士

会社として、暴言を吐く客は「客ではない!」という明確なメッセージを発し、従業員がしっかりと理解していることが大切です。

【対応イメージ】

悪質クレーマー

てめぇのせいだろ!なめてんの?
お前はバカか?

対応者

当方に非があったとしても
そのような発言をされる方には対応ができません。
お引き取りください。

悪質クレーマー

おまえがバカすぎるせいでこうなってるの分からない?

対応者

繰り返しますが、そのような発言をされる方には対応ができません。
お引き取りください。
これより会話を録音致します。
ご理解いただけなければ、今から警察に連絡致します。

【参考】 「組織的に対応する」とは?(不当なクレーム・悪質クレーマーの対応)
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1人では弱くても、組織ならば強く戦える!!
https://ik-law.jp/claim_team/
【参考】 平行線を作る問答集(例文)!クレーマー対応法の具体的イメージを持つ
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例文を読み込むことでクレーマー対応のイメージを掴もう!
https://ik-law.jp/claim_parallel-words/

第2 具体的対応手順

1 事前準備の重要 ~ 予期せぬ悪質クレーマーも怖くない!!

特にBtoCビジネスにおいて、いつ悪質クレーマーと遭遇するか予測することができません。

第一次的に対応が求められるのは従業員であり、事前準備をしなければ、対応にあたった従業員の個人裁量任せとなり、当該従業員に対し身体的・精神的負担を強いることになります。

また、クレームが発生した場合に「組織としての回答」を行える体制を敷いておかなければ、悪質クレーマーに付け入る隙を与えることになりかねません。

そのため、クレームが実際に発生する前に、会社組織として、体制の構築やマニュアルの作成、意識の共有が必須といえます。

【参考】 「クレーム対応の基本」を弁護士が徹底解説
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あらゆる悪質なクレーム(不当要求)に負けない対応法
https://ik-law.jp/vsclaim/
【参考】 モンスタークレーマーとの決別~正当・不当クレームの判別方法とは?
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正当なクレームと不当なクレームは、具体的にどう区別するか?
https://ik-law.jp/claim_judge/

2 具体的対応手段の全体像

この記事で想定する事例はいずれの場合であっても、仮に自社に落ち度がありクレームの内容が相当なものであったとしても、クレームの方法が不相当であり、そのクレーム態様が変わらなければ、不当なクレームとして毅然とした対応を行うことが必要になります

不当なクレームに対して、一般的に考えられる手段は次の4つがあります。
具体的に説明します。

アポのない不当要求、悪質クレームに対しては、警告文を送付、警察署へ相談、仮処分の申立て、訴訟提起という手段で対抗しましょう。
悪質クレーマーに対抗する4つの手段

3 警告文の送付

クレーマーに対し、自社の見解を示し、それ以上の対応をできないことを書面にて明言します。

  • (自社に落ち度がない場合)クレームの内容に理由がないので、今後会社や店舗に対して、手段を問わず接触しないことを求めます

  • (自社に落ち度がある場合)会社としてのでき得る対応を示し、それ以上の要望には一切答えられないことと、手段を問わず接触しないことを求めます

それでもクレーマーが来社、来店する場合には、「すでに書面にてお伝えしている通りです。」と回答し、それ以上の対応をする必要はありません。

引き下がらなければ、すぐに警察を呼びます。 

弁護士に対応を依頼し、クレーマー対応を弁護士に一任することも有効な手段です

4 警察署への相談

悪質なクレーマーと予告なく対峙する場合には、第一次的な対応を行う従業員の安全確保を行う必要があります。

その際、対応を弁護士に一任している場合であっても、目の前のクレーマーと対峙する場面を強制力をもって回避するには(クレーマーを引き離してもらう)、警察に来てもらうよりありません。
そのため、警察への連絡を躊躇なく行える体制と意識の共有をしておきましょう

来社・来店型のケースでは、特に退去を求めたのに居座り続ける場合(⇒不退去罪)や、自社内での大声や暴言の場合(⇒威力業務妨害罪)、謝罪を過度に要求する場合(⇒強要罪)に該当している場合が多いものと思われます。
以下に該当事例を記載しますので、イメージを持っておくと良いでしょう。

警察を呼んでも、立件に至る場合は多いとはいえません。また、犯罪にまで至っていない場合もあるかもしれません。
しかし、警察は臨場してくれますので、その効果だけでも非常に大きいものといえます。

【不退去罪】

1町職員から文書と口頭により、再三にわたり庁舎内から退去するよう求められたにもかかわらず、居座り、閉庁時間が過ぎても退去しなかった行為。令和4年12月10日付埼玉新聞
2学校施設に男性が訪問してきたため、職員が帰るよう促したが帰らず、警察官の説得にも応じず4時間居座り続けた行為exciteニュース 令和3年 10月7日
3ラーメン店でラーメンと餃子を注文し、先に餃子を出すよう注文していたが、先にできたラーメンが出てきたことに激高し「順番が違う。」などとクレームを述べて3時間居座り、通報を受けて駆け付けた警察官の説得にも応じない行為産経新聞 平成27年 11月9日付  
不退去罪の適用事例

【業務妨害罪】

1衣料品店で、同店で購入した有名ブランドのTシャツ(販売価格1万1千円)を持って男性店主に「これ偽物でしょ」と罵声を浴びせて返品を迫り、その様子を撮影して店の業務を妨害した行為(威力業務妨害)令和2年10月17日産経新聞
2インターネットの会員制交流サイトに、石川県かほく市内にある製造業の会社名をあげ「ガソリンを撒いて全焼させたい」などと投稿した行為(威力業務妨害)令和4年12月18日石川テレビ
3女性ダンサーの気を引くために、東京ディズニーランドのパレードに乱入した行為(威力業務妨害)令和4年12月16日FNNプライムオンライン
4小学校の敷地にゴミを投げ入れたのち、5回にわたり“爆破予告”の電話をかけて、授業を中断させるなどした行為(威力・偽計業務妨害)令和4年12月11日FNNプライムオンライン
5新型コロナの感染を証明できないのに自宅療養をしたとする証明書を出させるため、健康福祉事務所に計33回架電して業務を妨害した行為(偽計業務妨害)令和4年12月8日神戸新聞NEXT
業務妨害罪の適用事例

【強要罪】

1衣料品店で購入したタオルケットに穴が空いているとクレームを述べ、「返品のため費やした交通費と時間を返せ」などとクレームをつけて土下座させた上、自宅に来て謝罪するよう念書を書かせ、土下座写真をインターネット上で公開した行為平成25年10月7日産経新聞
2男性に対して、お互いの関係を維持することを約束させるため、「念書を書かないとお前を殺す」などと口頭で脅し、念書を書かせた行為令和4年11月24日北海道ニュースUHB
3「やくざの事務所当番に若い衆が必要だ。誰かいないか。いなければおまえがやれ」などと複数回電話し、所属する暴力団事務所の当番をさせようとした行為令和4年7月9日あなたの静岡新聞
4女性になりすましてSNSで知り合った男性から下半身の画像を入手し、男性のスマホにその画像を送信。「(ネットに)さらしていい?」などと脅し、男性の下半身をビデオ通話で見せるように要求した行為(強要未遂罪)令和4年10月7日京都新聞
強要罪の適用事例
【参考】 悪質クレーム(不当要求)対応で覚えておきたい「犯罪」行為類型
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悪質クレームに立ち向かう法律知識を!!
https://ik-law.jp/claimcrime/

5 仮処分の申立て

警告文の発送をしても、なおも来社、来店を止めないクレーマーに対しては、裁判所に会社(店舗)の訪問禁止等の仮処分の申立てを行うことも検討しましょう。

この手段のメリットは、裁判所を通して、クレーマーとやり取りを行うことができる点です。
悪質なクレーマーは、正義は自身にあると考えている者が圧倒的に多いため、裁判所から自身に不利益な判断が下されることを恐れ、適切な妥結点を見出すことができる場合があります

一方、デメリットとしては、今後の不当行為が継続することが見込まれる場合でないと仮処分は認められないため、ある程度の継続行為がないと申立てしづらい点、また、弁護士に依頼することが多く費用がかかる点が挙げられます。

【参考】 架電・面談・撮影禁止「仮処分」をクレーム対応で申立てる!
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妨害・迷惑・嫌がらせ行為を迅速に禁止できる法的手続を解説します
https://ik-law.jp/claim_karisyobun/

6 訴訟提起(裁判)

クレーマーに対し、金銭を支払う理由がないとして債務不存在確認訴訟や、クレーマーの訪問により具体的な損害が生じているとして損害賠償請求訴訟を提起することがあります。

訴訟を提起する最大のメリットは、クレーマーを正規の土俵に強制的に引き寄せ、その中で対峙するルートを築くことです。
自社に非があろうとなかろうと、クレーマーとの対応を行うことで多大な損害が生じます。

そのため、余計な労力を排除し、適正な手続の中で解決を図ることが可能となります

【参考】 (第1審)民事裁判の流れを弁護士が分かりやすく解説
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クレーム対応でも裁判手続は有用!!
https://ik-law.jp/minjisaiban/

第3 応対のポイント ~ 証拠収集(録音・録画)

1 基本的な考え方

クレーマーとの会話録音は民事・刑事裁判のいずれにおいても、非常に重要な証拠になります。
特に暴言型においては、ぜひとも録音という客観的証拠が欲しいところです。

但し、無断で録音する行為は、一応、個人情報保護法や顧客のプライバシー侵害との権利衝突の懸念、無断録音の証拠能力が問題になり得ます。

そのため、まずはクレーマーの同意を得た上で録音することを基本方針にしましょう

弁護士

「録音します」との宣言自体が、クレーマーに対する牽制になります。

2 無断でも録音すべき

本来は、社内や店内に防犯カメラがあるとベストです。
とはいえ、設置していない会社も多いでしょう。

暴言を受けたり、強要・恐喝された、又は退去を求めたが応じなかったなどの事実は、発言の有無・内容が重要ですので、音声を録音することが望まれます。

そのため、不意なクレーマーとの遭遇とはいえ、クレーマーと応対にあたった従業員は、顧客がクレーマーとなりそうと予見された段階から、ICレコーダー等により、やり取りを録音すべきです。

相手の同意を得ることを原則にすると述べましたが、相手が拒否したとしても無断録音は行うべきです。
前述のように、法律上問題となる点はありますが、それ以上に証拠保全の必要性が上回ることが多いと思料されます。

【対応イメージ】

対応者

以後の会話は録音致します。

悪質クレーマー

なんで録音する必要があるんだ?

対応者

(例)大変重要なお話しですので(そのようにあなたが言うので)、間違いのないように録音させて頂いております。

(例)上司に正確に報告するために録音します。

【参考】 無断録音の可否~クレーマー対応で覚えたい適法性と裁判での証拠能力
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クレーム対応における無断録音(秘密録音)の実務対応とは?
https://ik-law.jp/claim_recording/

第4 関連する裁判例

多くのケースでは、会社による毅然とした対応や、弁護士、警察との連携により、適切な解決が図られます。

もっとも、それによっても収まらずに裁判まで発展したケースがありますので、最後に紹介します。

【事案の概要】【判決等の内容】
 医療過誤による損害賠償の裁判係争中である元患者(被告)が、病院(原告)の代理人弁護士からの警告を無視して、封書や電話で医師と交渉のための面談を求めたり来院して他の患者のいる待合室等で謝罪や慰謝料の支払いを求めて大声で怒鳴ったり、「ぶっ殺す」、「刺してやる」などの発言をしたり、ドアを手で強く叩いたりするなどの行為を繰り返しました
 さらに、警察が出動されたことも数回ありましたが、それによっても被告の行為がやむことはありませんでした

 そのため、面談強要等の営業妨害行為の差止めを求めました。
東京地判平15.1.29
 医療過誤の裁判に関して、民事保全、訴訟又は調停の各手続によらずに、
①原告の役員及び従業員に対して、面接、架電、手紙、はがき等の方法で直接示談交渉することを強要する行為、
②原告の役員及び従業員の身辺につきまとい、又は暴力、脅迫、偽計若しくは威力を用いる一切の行為、
③病院の敷地内において大声を張り上げるなどして業務を妨害したり、信用を毀損したりする行為の禁止を命じました。
 クレーマー(被告)が大阪市(原告)に対し、情報公開請求を多数回にわたり濫用的な態様で行ったり、質問文書の送付や架電等による不当な要求行為を繰り返しました。

 具体的には、被告が質問文書を送付する頻度は、概ね1週間当たり2~3回程度で、1回について回答を求める事項が広範囲にわたるため、原告の市職員は1件につき最低でも2~3時間を要していました
 また、被告からの電話は概ね週に2~3回、多い時は1日に連続して5回程度になり、1回の電話で数時間近く職員が拘束され、罵倒され続けることもありました。
 被告は、特定の職員に対応させるよう執拗に要求したり、対応にあたった職員に対し、その学歴を理由に罵倒したり、容姿等を理由に侮辱的な発言をしたり、大声で暴言を吐いたり、脅迫的な発言を繰り返していました

 そのため、原告が平穏に業務を遂行する権利に基づき、①面談強要行為等の差止めを求めると共に、②被告との対応を余儀なくされた職員の超過勤務手当相当額や弁護士費用等の損害賠償を求めました。
(大阪地判平28.6.15)
①差止めについて
 地方公共団体の業務を妨害する行為が、権利行使として相当と認められる限度を超えて、業務に及ぼす支障の程度が著しく、事後的な損害賠償を認めるのみでは回復の困難な重大な損害が発生するような場合には妨害行為の差止めを請求できるとして、原告の職員に対し、電話での対応や面談を要求して被告の質問に対する回答を強要するなどしてはならないとしました。

②損害賠償について
 損害については、損害額を立証することが極めて困難であるとして、80万円を認めました
 弁護士に対する懲戒請求が認められなかったことに立腹したクレーマー(被告)が、半年の間に月に数百回、多い日には1日に100回以上の架電を行った後、さらに毎日のように弁護士会事務局を訪問し、職員の制止にも関わらずビデオカメラでの撮影を継続しました
 架電、訪問において、弁護士会(原告)より「議決書や決定書記載のとおりであり、これ以上の対応はできない」と回答されても納得せず、「懲戒手続をやり直せ」という同じ主張、要求を繰り返し、連日の訪問が止まらない状況でした

 そのため、原告は平穏に業務を遂行する権利に基づき、被告による原告事務局が所在する建物への立入り、架電、面会要求等の方法による直接交渉の強要禁止を求めました。
(東京地判平19.7.20)
 法人は、平穏に業務を遂行する権利を侵害され、その後も侵害が継続する蓋然性が高い場合には、財産権あるいはその一内容である業務遂行権に基づき、侵害行為を差し止める権利を有すると解されるとして、「被告は、原告、その役員及び職員に対し、…建物に立ち入り、又は、架電し若しくは面会を求めるなどの方法で、直接交渉することを強要してはならない」として、原告の請求を認めました
 
アポなし面会に関する裁判例

第5 当事務所のクレーム対応(弁護士費用)

1 当事務所の考え

不当なクレーム、悪質なクレーマーから会社を守るためには、会社が一丸となり毅然とした対応を行う体制構築が必要不可欠です。

そのためには、継続的な支援が必要不可欠なものと考えており、顧問契約の締結をお願いしています。

弁護士 岩崎孝太郎

【クレーム対応基本プランの提供サービス】

クレーム対応案件における弁護士の活用法は、対応が困難、もしくは判断に迷う事例について、随時ご相談を行います。
そして、定期的に検討会を行い、対応の是非と同種事例への対応策を打合せします。

その上で、これまでに発生した事例に対する検証を行い、それを基にした対応マニュアルを整備します。

法的手続を除いて代理人としての窓口対応業務までも含めていますので、弁護士費用を予算化できますし、コスパ良く外注できる存在としてご活用いただけます。

1~2年の継続により、クレーム対応業務を内製化していき、通常の顧問契約にダウンサイジングしていくことも可能です。

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クレーム対応マニュアルを弁護士が伝授します!

当事務所のクレーム対応のまとめ記事です

2 弁護士費用と提供サービスプラン

クレーム対応:基本プラン(6ヵ月~)

月額顧問料は、11万円(税込)。
【顧問契約提供サービス】
法律相談(法律問題全般の随時のご相談)、クレーム対応の内製化支援、契約書・社内規程のチェック等、対応マニュアルの作成・改訂、個別事件における代理人窓口対応、顧問先企業での初回無料セミナー。
【オプションサービス】
顧問先企業におけるセミナー(8万8,000円)、法的手続の代理人対応(33万円~)

クレーム対応:代行特化プラン

弁護士への委任を個々の案件ごとではなく、予算を設定して毎月定額化させたい場合に、特化プランを準備しています。
目安として毎月3件程度を上限に想定していますが、個別相談いたします。

当事務所におけるクレーム対応の特化プランです。
基本として1年間のご契約をいただき、毎月22万円×12ヵ月(税込)
定期的にクレーム対応代行を依頼したい事業者の方に

民事全般:基本プラン

上記は、クレーム対応用の特別プランですが、事件対応の一般的なプランもご利用いただけます。

この場合、毎月5万円~の月額顧問料(6ヵ月~)に、以下の事件対応費用(着手金+報酬金)となります。

通常事件の場合と同様に、月額顧問料5万円~に、事件対応費用として、着手金、報酬金を経済的利益にあてはめて算定することとしています。

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当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。

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示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。

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終了

委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。

STEP
6

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大きなストレスやうっぷんが溜まっている社会であっても、会社を悪質クレーマーから守る戦いを、専門家としてサポートします。

クレーム対応のご相談、
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1時間
11,000

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