当社の元従業員が加入する地域の労働組合(いわゆるユニオン)から、未払残業代とパワハラ被害を認めないと、メインバンクや弊社の主要取引先、労基署に対して、「コンプラ違反の会社と取引を継続するのか?」との街宣活動を行うと言われており、実際に他社では同様の街宣を行われたとの報告も受けています。

残業代の未払いがあったのは確かで、支払いに向けて協議をしたいと思いますが、パワハラの存否については争いたいと考えています。

どのように対応をすべきでしょうか。

融資を受けているメインバンクや取引先企業など(他には監督官庁なども)、直接自社ではなく、自社にとって優越的な地位にある第三者に対しクレームの内容を訴えることで、交渉を有利に進めたり、不当な利益を得ようとするクレーマーが存在します。

設例にも記載しましたユニオン・合同労組はその典型例の一つですが、ユニオンだけでなく、一般顧客にもこのような言動を行う者は存在します。

このような場合、取引先等に対して迷惑をかけてしまうのではないか、クレーマーの対応を嫌がって取引を減らそうとするのではないかなど、クレーマーの不当な要求に応じる誘惑に駆られていまうことがあり得ます。

自社に非があるかどうかにかかわらず、このようなクレーマーの言動により対応を変えてしまっては、クレーマーの要求を助長させることにつながり、搾り取れる企業とみなされてしまうかもしれません

また、クレーマーに利益を与える行為は、第三者から見ると、クレームの内容が事実だったのではないか、会社に後ろめたいことがあるのではないかと疑念を抱かせるものとなり、取引先等の第三者対応にあたっても悪い影響しかありません。

本件のような場合であっても、あくまでも通常のクレームと同様対応を行い、クレーマーが実際に金融機関や取引先に事実を告げたり、街宣活動を行った場合には、法律的に戦うべきです。

取引先等に対して説明に赴いたり、クレーマー対応で負担をかけることにはなるでしょうが、これが自社にとって一番被害の少ない方法だと考えています。

弁護士 岩崎孝太郎

第三者への負担、迷惑という点では、一般顧客よりも取引先の会社前で街宣活動を始めるユニオン・合同労組が一番厄介でしょう(違法行為になります)。

本来、特に監督官庁や警察などには、クレーマーが何かを言うことは、制限させることができない事項です。

そのため、第三者への介入をほのめかされたとしても、特にできることはなく、通常の対応と何ら変わらない対応をするのが鉄則です。

しかし、取引先に街宣活動などされると、申し訳なさが出てしまったり、会社に落ち度がある場合には行政庁へ行かれることをどうしても防ぎたくなってしまうはずです。

クレーム対応は、肉体的にも精神的にも、非常にタフさが要求されますが、覚悟を決めて正しいことを行い、取引先には誠意をもって事情説明と謝罪に赴き、理解を得るよう努めます。

経営者にとって、1人で決断をすることはとても勇気のいることだと思います。

そのような場合は、顧問弁護士など専門家に相談をし、チームとして進めていくことで、力強く戦えるようになると考えています。

より詳しい説明をしていきます。

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第1 クレーム対応の基本

1 まずは正当か不当かの判断から

クレーム対応においては、顧客の主張を聞き事実関係を調査しながら、正当なクレーム不当なクレームかの判断をします。

どのようなクレームにおいても、この流れはルーティーンとして行います。

そして、正当クレームには真摯に対応する一方、不当クレームに対しては断固として拒否し、関係遮断を求めることがクレーム対応の基本です。

詳細は、以下の参考記事をご覧ください。

クレームが発生した場合には、そのクレームが正当なクレームであるかどうかを検討します。
正当なクレームである場合には真摯に対応し、不当なクレームである場合には拒否し、法的に解決を図ります。
クレーム対応では、正当か不当かの判別を行い、その分類によって目指すべきゴールが変わります

2 取引先や監督官庁など第三者に言うとのクレーム

会社に非があるかどうかに関わらず、顧客側に損害が発生していたとしても、会社と顧客の問題であり、取引先(金融機関、監督官庁)は関係ないはずです。

それなのに、第三者への言及を行う時点で、要求方法(態様)が不当なものといえますので、不当クレームといえます。

第2 取引先や金融機関、監督官庁へ言うとのクレームへの対応

1 会社に落ち度がない場合

そもそも会社に落ち度がない場合には、要求内容の観点からも不当なクレームであるといえます。

そのため、通常のクレームの場合と同様の対応が求められます。

対応イメージ

対応者

弊社は、落ち度がないものと考えています。

そのため、どこにクレームを行おうと対応が変わることはありません。

2 会社に落ち度がある場合

会社の対応に落ち度がある場合、適切な謝罪を行い、財産的な損害を与えた場合には、被害回復を行います。

ただし、過度に謝罪する必要もなければ、過大な賠償に応じる義務もありません。
通常のクレーム対応と同様の対応を行うだけです。

【参考】 過大請求・過剰サービス・実現不可能な理不尽クレームにどう対応するか?
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法的責任以上の請求を求められた場合の対応法
https://ik-law.jp/claim-kadai-kajou/
【参考】 「謝罪文を書け」と強要するクレーマー:カスハラ被害を防ぐには?
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適切な謝罪と、謝罪文の要否
https://ik-law.jp/claim_syazaibun/

第三者への説明

会社に落ち度がある場合には、落ち度がない場合と比べて、第三者(取引先、金融機関、監督官庁等)への丁寧な説明を行う必要性は、格段に大きいといえます。

本件の経緯や対策だけでなく、再発防止に向けた具体的な取組みについても丁寧に説明をすることが求められます。

対応イメージ

悪質クレーマー

あなたの会社のせいで被害を受けているですよ。
そんな渋い回答しかしないなら、行政に報告しちゃうよ!

対応者

お客様が訴え出ることについて、何か申し上げる立場にありません。

行政より説明を求められた場合には、適切に対応いたします。

悪質クレーマー

まだ自分の非を認めないのか?
行政庁だけでなく、取引先や金融機関にも言っていいんだぞ!

対応者

適切な賠償のお話しをさせていただいております。
また、お客様の行為に申し上げる立場にありません。

ただし、違法行為には抗議し、容認致しませんので、ご注意ください。

【参考】平行線を作る問答集(例文)!クレーマーを撃退する想定事例
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 クレーム対応は、堂々巡りの会話でOK!!
https://ik-law.jp/claim_parallel-words/

3 最後は法的に解決をする

実際にクレーマーが第三者のもとへ行った場合には、直ちに「今後、同じようなことをした場合には、法的手続を執る」との警告書を発送します。

それでもクレーマーが第三者に行く場合には、第三者への告知の回数、頻度、告知の内容、生じた損害の内容、程度、告知と損害の因果関係などを踏まえ、法的手続での認容可能性を検討し、手続に移ります。

時間との戦いである場合も多いので、仮処分の活用が真っ先に検討されます。

裁判は、時間がかかるだけでなく、完全な被害回復は難しく(裁判所で認定される損害が、実際の被害回復に及ばない金額であるが多いです)、仮に適正な被害額を認定されたとしても、クレーマーが個人の場合には、実際にその金額を回収できるのかという問題も出てきます。

そのため、できる限り早い段階でアクションに移し、損害の拡大を最小限に防ぐことが大切です。

不当な街宣活動から企業を守る方策~仮処分を弁護士が解説します
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クレーム対応における仮処分の活用
https://ik-law.jp/claim_gaisen/
ユニオン・合同労組の街宣活動に対抗!~元従業員からの団体交渉要求
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ユニオン・合同労組の街宣活動との戦い
https://ik-law.jp/claim_uniongaisen/

4 設例の場合の対応

残業代については、未払い部分については適切に対応する必要があります。

パワハラ被害については、会社としてしっかりと事実調査等を経ても、そのような被害を確認できなかった場合には、団体交渉に応じることはあっても、責任を認めるべきではありません。

そうすると、ユニオンは、取引先の会社前で街宣活動を開始するでしょう。

取引先に対しては、謝罪と共に経緯の説明と会社の意向を伝え、今後の対応方針を協議します(顧問弁護士も同席することが多いです)。

まさに被害を受けているのは、取引先のため、法的手続は取引先が主体となった進めた方がやりやすいです(第三者への加害行為を理由として差止請求などが認められないわけではありませんが、ハードルはより高くなります)。

特に決まった解決策があるわけではありませんが、第三者への街宣活動などの違法行為を法的手続により止めることで、元従業員との労務問題を第三者に波及させない体制を整えたら、あとは通常の労務問題に収束できます。

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第3 クレーム対応は日常の備えから ⇒ 顧問弁護士への相談

1 当事務所の考え

不当なクレーム、悪質なクレーマーから会社を守るためには、会社が一丸となり毅然とした対応を行う体制構築が必要不可欠です。

そのためには、継続的な支援が必要不可欠なものと考えており、顧問契約の締結をお願いしています。

弁護士 岩崎孝太郎

【クレーム対応基本プランの提供サービス】

クレーム対応案件における弁護士の活用法は、対応が困難、もしくは判断に迷う事例について、随時ご相談を行います。
そして、定期的に検討会を行い、対応の是非と同種事例への対応策を打合せします。

その上で、これまでに発生した事例に対する検証を行い、それを基にした対応マニュアルを整備します。

法的手続を除いて代理人としての窓口対応業務までも含めていますので、弁護士費用を予算化できますし、コスパ良く外注できる存在としてご活用いただけます。

1~2年の継続により、クレーム対応業務を内製化していき、通常の顧問契約にダウンサイジングしていくことも可能です。

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売上を上げるツールとしての顧問弁護士活用法!

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クレーム対応マニュアルを弁護士が伝授します!

当事務所のクレーム対応のまとめ記事です

2 弁護士費用と提供サービスプラン

クレーム対応:基本プラン(6ヵ月~)

月額顧問料は、11万円(税込)。
【顧問契約提供サービス】
法律相談(法律問題全般の随時のご相談)、クレーム対応の内製化支援、契約書・社内規程のチェック等、対応マニュアルの作成・改訂、個別事件における代理人窓口対応、顧問先企業での初回無料セミナー。
【オプションサービス】
顧問先企業におけるセミナー(8万8,000円)、法的手続の代理人対応(33万円~)

クレーム対応:代行特化プラン

弁護士への委任を個々の案件ごとではなく、予算を設定して毎月定額化させたい場合に、特化プランを準備しています。
目安として毎月3件程度を上限に想定していますが、個別相談いたします。

当事務所におけるクレーム対応の特化プランです。
基本として1年間のご契約をいただき、毎月22万円×12ヵ月(税込)
定期的にクレーム対応代行を依頼したい事業者の方に

民事全般:基本プラン

上記は、クレーム対応用の特別プランですが、事件対応の一般的なプランもご利用いただけます。

この場合、毎月5万円~の月額顧問料(6ヵ月~)に、以下の事件対応費用(着手金+報酬金)となります。

通常事件の場合と同様に、月額顧問料5万円~に、事件対応費用として、着手金、報酬金を経済的利益にあてはめて算定することとしています。

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お問い合わせ

ご相談については、予約制となっております。
来所相談だけでなく、Zoom相談も対応しておりますので、全国対応しております。

お問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。

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相談時に必要なもの

事前に以下のものをご準備いただくと、ご相談がスムーズに進みます。

  • 相談内容の要点をまとめていたメモ
  • ご相談に関する資料や書類
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ご相談(初回相談料:1時間あたり1万1,000円)

法律上の問題点や採り得る手段などを専門家の見地よりお伝えします。

問題解決の見通し、今後の方針、解決までにかかる時間、弁護士費用等をご説明いたします。

※ご相談でお悩みが解決した場合は、ここで終了となります。

STEP
3

ご依頼

当事務所にご依頼いただく場合には、委任契約の内容をご確認いただき、委任契約書にご署名・ご捺印をいただきます。

STEP
4

問題解決へ

事件解決に向けて、必要な手続(和解交渉、調停、裁判)を進めていきます。

示談、調停、和解、判決などにより事件が解決に至れば終了となります。

STEP
5

終了

委任契約書の内容にしたがって、弁護士費用をお支払いいただきます。
お預かりした資料等はお返しいたします。

STEP
6

クレーム・カスハラ対応には、会社のトップが不当クレームに対して毅然と対応する姿勢を明確にする必要があります。

大きなストレスやうっぷんが溜まっている社会であっても、会社を悪質クレーマーから守る戦いを、専門家としてサポートします。

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