「まだ話し終わっていない」、「また電話する」、「必ず連絡をよこせ」など、何度もかかってくる電話に悩まされています。

 具体的には、説明をしても意味ないと思い切ろうとすると「まだ話が終わっていない」、長い時間を費やして説明しても納得される様子はなく「また電話する」、電話の終わりには会社が責任を認めないならば「連絡を必ずよこせ」と言われます。

 このようなクレーム電話について、どのように対応したらよいでしょうか?

 電話によるクレーム対応においても、基本的な対応要領は事実関係要求内容の確認に始まり(正当クレームか悪質クレームかを判断するための聴き取り)、会社としての対応方針を決定し、その方針に従って粛々と対応していきます。

【参考】 悪質なクレーム(不当要求)対応の方法
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あらゆる悪質なクレーム(不当要求)に負けない対応法
https://ik-law.jp/blog/vsclaim/

事実関係と要求内容の聴取

 顧客の氏名連絡先事実関係(5W1Hを意識)、要求内容を聴取します

【聴取の注意点】
 要点をまとめようとして相手の話を遮りがちになりますが、初回の電話においてはしっかりと聴取することを心がけましょう
 ただ、漫然と聞く必要はなく、失礼にならない程度に区切りつつ誘導します

 また、一方的にまくし立ててくる場合でも、その話しぶりだけで不当クレーマーと判断しないように注意します。
 その内容が正当である場合には、後で会社の対応が問題視され、不当クレーム化しかねません。

 なお、氏名や連絡先の確認を拒否する場合には、会社としても事実関係の確認ができませんので、その場合は対応できないと明確に伝えます。

STEP
1

社内における調査・対応の検討

 会社において事実関係の確認と要求内容の正当性、相当性を検討し、正当クレーム不当クレームかを判断します。

 まだ正当か不当かの判断を決定していない段階において、クレーマーから電話での問い合わせがあったとしても、「検討中であり、追って回答します」と伝えれば足り、初回と同様の対応をする必要性はありません

STEP
2

決定した対応方針に沿って対応する

 社内における調査・検討の結果、正当なクレームであると判断できる場合には、誠実に対応します。
 正当か不当かを明確に二分することは難しい場合もありますが、応じるべき要求には応じるし、応じられない要求には毅然と拒否します

 不当なクレームと判断できる場合には、要求には応じられない旨を明確に伝えます
 以降、何度電話をかけてこようとも、「当社としては応じられない要求であると判断したことは、お伝えした通りであり、今後お電話をいただいても回答は同じです」と回答します。

 相手が納得せずにまくし立てるように話し続ける場合には、「お伝えした通りです。一旦切らせていただきます。」として、きっぱりと途中で会話を中断します
 「勝手に電話を切るな」として再び電話をかけてきても、「当社としては応じられません」として電話を切って問題ありません

 相手が執拗に電話をかけてきたり、長時間にわたりクレームを述べようとしても、明確に応じられないことを伝え、電話を切ります。
 これを繰り返し、相手のクレームを断念させることを目指します

STEP
3

 基本的な対応要領は、上記の通りです。
 最初はしっかりと聴取することと、不当なクレームと判断できる場合には、会社の意向を明確に伝え、以後は無駄な応対に付き合わないことです。

 もっとも、電話応対も、これだけで対応が収まらないこともあると思います。
 そのため、この記事では、電話におけるクレーム対応のポイントについてさらに解説を加えます。

【参考】 カスタマーハラスメント(カスハラ)被害から会社を守る対策
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悪質クレーマー(不当要求者)は「お客」ではない!!
https://ik-law.jp/blog/cushara/
【参考】 不当要求者(悪質クレーマー)と面談:対応の考え方と注意点のポイント
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不当要求者と面談~対応マニュアルをお伝えします
https://ik-law.jp/blog/mendan_claim/

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第1 電話でのクレーマー対応のポイント

1 氏名・連絡先の確認と聞かれた場合の対応

顧客情報の確認

 悪質クレーマーの場合、名前も名乗らずにいきなりクレームを言い続けることがあります。
 しかし、名前すらも確認できないようでは、事実の確認もできず、クレーム内容の吟味もできず、単に時間だけを奪られる事態となってしまいます。

 そのため、まずは顧客の氏名と連絡先を確認することが必要です

顧客対応としての自己紹介

 悪質クレーマーは、攻撃する材料を探すために、従業員の氏名を聞いてくることがあります。

 原則として、所属する名字を名乗れば足ります
 会社の規模が大きくなく、課などがない場合には、端的に名字だけで足ります。

 小規模な会社で名字が同じ人が複数所属する場合には、個別の検討が必要となります。
 ただ、フルネームを知られることで、インターネットやSNSなどで個人情報が把握されて悪用されるケースもあり得るため、慎重に検討していくべきです。

2 脅迫的な電話への対応

 「俺は客だぞ!なめてんの?」、「おメェよぉ」、「あんまりふざけたこと言ってると、どうなるか分からないよ」など、応対している最中に脅迫的な言辞を受ける場合があります。

 脅迫的な電話に対しては、①録音することを伝える、②警察に被害申告する、ことにより対応します。

①録音することを伝える

 クレーマーは、メールや書面のように記録が残らないことをいいことに、高圧的な話し方をする者がいます。

 そこで、通話を録音することを事前に相手に伝えることで、脅迫的な電話を減らすことができます
 録音機能がついていない電話機を利用していても、ICレコーダーと電話録音用イヤホンマイクを準備し、「これより会話を録音致します。」と告げましょう。

 相手から録音を拒否されても、録音は強行しましょう

悪質クレーマー

なぜ録音する必要があるんだ?
俺は許可してないぞ!

対応者

(例)後で言った言わないのトラブルを避けるために録音致します。

(例)録音に同意いただけない場合、対応致しかねますので、失礼します。

【参考】 無断録音の可否~クレーマー対応で覚えたい適法性と裁判での証拠能力
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クレーム対応における無断録音(秘密録音)の実務対応とは?
https://ik-law.jp/blog/claim_recording/

②警察に被害申告する

 脅迫電話は、脅迫罪威力業務妨害罪に該当する可能性があります(詳しくは後述します)。
 従業員の安全確保の観点からも、積極的に相談し、日常的に管轄の担当刑事と連絡を取っておくとよいです

 脅迫電話については、①頻度・回数、②証拠の有無(録音)、③被害の程度、などの事情が考慮されますので、電話の日時や内容、応対時間を記録することや、電話会社から通話履歴を取り寄せることが必要になります。

【参考】 「組織的に対応する」とは?(不当なクレーム・悪質クレーマーの対応)
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1人では弱くても、組織ならば強く戦える!!
https://ik-law.jp/blog/claim_team/

3 非通知電話、無言電話に対して

 非通知からの着信や無言電話に対しては、電話会社の着信拒否迷惑電話お断りサービス番号お知らせサービスを利用するのが基本的な対応となります。

 また、無言電話の発信者が不明であっても、電話番号が分かれば、弁護士会照会(23条照会)により発信者を特定できることもあります

第2 具体的な応対イメージ・応対例

1 設例の「また電話する」、「まだ話し終わっていない」、「連絡を必ずよこせ」

「また電話する」、「まだ話し終わってない」

 話が堂々巡りになっていたり、クレーマーが一方的に怒り続けている場合が多いでしょう。

 ある程度対応をしても解決の糸口が見えない場合には、会話をきっぱりと中断することが効果的です
 不当クレーマーと対話する必要はなく、要望に応えられないことを繰り返します。

 ポイントは、断る姿勢を変えず、断り続けることです

悪質クレーマー

なぜ電話を切ろうとするんだ、まだ話し終わってない!

対応者

(例)お話は既に済んでおりますので切らせて頂きます。

(例)すでに繰り返しお伝えしている以上の回答はできませんので、失礼します。

【正当か不当クレームかの判断未了の場合】
(例)社内で検討しておりますので、お電話はいったん失礼致します。
(例)お話を続けられても、今すぐに判断致しかねますので、失礼致します。

悪質クレーマー

会話の途中で電話を切るな!

対応者

クレーマーと会話をする必要性はありません
その要望にはお応えできかねます、失礼します。

悪質クレーマー

それならまた電話するよ!

対応者

(オウムのように繰り返します)
当社としては応じられない要求であると判断したことは、お伝えした通りです。
今後何度お電話いただいても回答は同じです。

「連絡を必ずよこせ」

 クレーマー側にとって、交渉を打ち切られると、もはや打つ手がなくなってしまうため、苦し紛れにこのような繋がりを持とうとします。

 会社としては、要望には応じられない旨をきっぱりと伝え、何度言われても同様の対応を取り続けましょう

悪質クレーマー

連絡を必ずください!
連絡がなければ、会社は非を認めたということだからな。

対応者

当社としては、これ以上の対応は致しかねますので、こちらから電話をおかけすることはお約束できません。
もちろん、責任を認めたという趣旨でもありません。

2 電話対応において便利な言葉

相手の気を鎮める(こちらが悪くなくても)謝罪の姿勢

 謝罪は、相手の主張する事実や要求を含めず、①道義的な限度であったり、②謝罪対象を明確にすれば、全く問題ありません
 むしろ、相手の感情に寄り添うためにも効果的に活用しましょう

【対応例】

対応者

(例)この度は、ご不快なお気持ちにさせてしまい申し訳ありません。
(例)ご不便をおかけしてお詫び致します。

(例)お待たせして申し訳ございません。
(例)申し訳ありません、その対応は致しかねます。

いくら説明しても理解してもらえない相手用

 こちらの説明を理解してもらう必要はありません。
 不当なクレーマーに対しては、理解してもらおう、共感してもらおうと思う必要はありません

悪質クレーマー

あなたの言ってる意味が全然分からないけど?

対応者

説明をご理解いただけなく、誠に残念です。

個人的見解を尋ねたり、意見・感想を求められた場合など

 後からあることないこと個人攻撃されてしまうリスクがありますので、個人的な見解や感想などを求められても、あくまでも組織の一員として、特段の回答を行わないようにします。

悪質クレーマー

あなたはそう思わない?
あなた個人の意見はどうなの?

対応者

お答えする立場ではありませんので、お答えできません。
個人としての意見もお答えする立場ではありません。

3 電話で面談を要求された場合の対応

説明に来いと言われた場合

 クレーマーからの要求に対して、断る理由の説明義務はありません
 毅然と「できません。」とはっきり断ることが大切です

 電話での応対を拒否した後、電話でダメなら会社に行くと宣言するクレーマーもいますが、結局来ようが電話をかけてこようが、相手にはしないことを伝えます。

【対応例】

悪質クレーマー

電話じゃ話にならないから説明に来いよ!

対応者

その必要はないと考えておりますので、ご要望には添えません。

悪質クレーマー

来られないなら、明日こっちから行くから話聞けよ!

対応者

繰り返しになりますが、ご要望にお応えできません。
来社いただいても、当社の結論に変わりなく、対応致しかねます。

4 無茶苦茶な要求をされた場合

上司(トップ)を出せと凄む

 不当なクレーマーは、責任者や決裁権者の言質をとり、担当レベルでの妥協を引き出そうとします。

 クレーム対応を組織的に行うことの基本として、まずは担当者において対応を行い、容易に要求を通さない姿勢を見せます
 「担当者を変えろ」、「上司を出せ」はクレーマーが嫌がっている証左です

悪質クレーマー

お前じゃ話にならないな。
上の人と代わって!

対応者

(例)この件は、私が担当者ですから私に話ができなければお引取りください。

(例)私が担当として話を聞き、上司に報告します。

時間外の対応を要求された場合

 時間外の対応を要求された場合には、会社規則を理由として拒否して良いです。

悪質クレーマー

平日は仕事で連絡ができないんだよね。
土日にあなた個人として対応してください。

対応者

会社の規則で時間外の対応は致しかねます。

悪質クレーマー

あまりに不誠実でしょ?
連絡できないって言ってるんだから、ちゃんと対応してください!

対応者

誠に申し訳ございませんが、業務時間しか対応ができませんので、業務時間内にお願い致します。
(あなたの都合は知りません)

住所や電話番号などを教えろと言われた場合

 拒否することに理由を述べる必要はありません。
 仮に、当方の非を責められ、後ろめたい気持ちになっていたとしても、それとこれとは別問題です
 プライバシー情報を開示する必要はありません。

悪質クレーマー

しっかり話さないといけないようだから、あなたの住所と電話番号を教えてくれ。

対応者

住所や電話はプライバシーに関することなので、お答えできません。

5 クレーマーが録音を脅しに使おうとする場合

単に録音を宣言する場合

 顧客が録音をすることに関して、後で顧客が確認するために録音することを止めさせる必要はありませんし、止める理由もありません。
 むしろ、すべての会話において録音されていると思って対応に臨むべきです

悪質クレーマー

この会話は、こっちだって録音しているからな。
言葉には気をつけろよ。

対応者

ご自身の記録として録音されるのは構いません。

動画でネットにアップすると言われた場合

 不特定多数に公開する目的で録音する場合は、拒否すべきです

 録音される会話の中には、公開すべきでない個人情報や企業対応も含まれますし、このような発言をする顧客は正常な取引をしようという意図を有していません
 また、意図的な編集によりSNSでの炎上を誘発されるリスクや、発言をネットで公開される従業員にも精神的なストレスになります。

悪質クレーマー

俺は撮影しながら電話しているんだけど、後で動画をYouTubeにアップするからな。
言葉には気をつけて、楽しみにしてくださいね。

対応者

第三者への公表という目的で録音(撮影)されるのでしたら、このお電話は続けられません。

悪質クレーマー

なんでダメなんだ?
公開されたら後ろめたいことがあるのか?

対応者

当初のご要望と全く別の話になっております。
ご理解いただけず残念ですが、電話を切らせていただきます。

【参考】 平行線を作る問答集(例文)!クレーマー対応法の具体的イメージを持つ
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例文を読み込むことでクレーマー対応のイメージを掴もう!
https://ik-law.jp/blog/claim_parallel-words/
【参考】 スマホで動画(写真)撮影をする悪質クレーマーへの対応法
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動画撮影する悪質クレーマーに対応する術とは?
https://ik-law.jp/blog/claim_dougasatsuei/

第3 悪質クレーマーへの対抗手段

1 基本的な対応要領

 上記のように、まずは適切な電話応対により、多くのクレーム対応に奏功できるものと思います。

 もっとも、それだけでは収まらない場合もどうしても生じてしまうと思います。
 その場合は、段階を上げた対応が必要になります
 基本的な対応要領は、面談の場合と同様となります

【参考】 アポなしの長時間拘束・多数回来店・暴言の面会対応【悪質クレーム】
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日常に潜む悪質クレーマーへの対応要領を弁護士が解説します
https://ik-law.jp/blog/no-apomenkai/
悪質クレーマー、不当要求クレームを電話で行ってくるのに対しては、警告文を送付、警察署へ相談、仮処分の申立て、訴訟提起という手段で対抗しましょう。
電話による悪質なクレーマーへの対抗手段

2 対抗手段

警告文の送付

 電話の応対により、会社の拒否方針を明確に伝えることに加え、さらに書面でも伝えます。
 会社として拒絶を明確に伝えた証拠として、書面は証拠価値が高いです。

 以降は、速やかに交渉要求を断ることができます。

対応者

〇月〇日付回答書のとおりです。
これ以上、お話しすることはありません。

警察への相談

 電話では、面談の時のように、臨場してもらうことで相手との間に入ってもらうことが行いにくいです。
 もっとも、警察に被害相談している事実は従業員への安心感と相手へのプレッシャーになることは間違いありません。

 また、警察が被害届を受理し、捜査を開始すれば、非通知公衆電話からであっても、発信者を突き止めることができる可能性があります

 電話においては、業務妨害罪脅迫罪が真っ先に想定されますが、傷害罪(有罪裁判例:無言電話を含む3年以上にわたる嫌がらせ電話により外傷性ストレス障害PTSDを生じさせた行為)やストーカー規制法(有罪裁判例:好意の感情が満たされなかった怨恨から被害女性の勤務する会社に無言電話を繰り返した行為)、配偶者暴力法迷惑防止条例違反が想定されます。

【業務妨害罪】

1自宅から警察署に、1ヵ月の間に計1384回電話をかけて、無言で切ったり、怒鳴ったりするなどし、対応する署員の業務に支障を生じさせた行為(偽計業務妨害)令和4年11月8日神奈川新聞
23時間で137回の非通知電話を警察署にかけた行為(偽計業務妨害)令和2年12月20日京都新聞
3消防本部に、約2か月間に73回の無言電話をした行為(偽計業務妨害)令和4年1月13日京都新聞
4JR西日本のコールセンターに、何も言わずに切ったり、「私の顔を知ってる?」と電話越しにからかったりするなど、いたずら電話を千回ほど繰り返して業務を妨害した行為(偽計業務妨害)令和4年5月12日神戸新聞NEXT
5新型コロナウイルスに伴う時短協力金のコールセンターに「ガソリンをまいて大勢を道連れにする」などと電話をした行為(威力業務妨害)令和4年1月29日朝日新聞
6市役所に電話し、応対した男性職員に「〇〇の報道やめろって言えや」「瀬戸市そもそも爆破させたろか」などと言い、市の業務を妨害した行為(威力業務妨害)令和2年8月5日朝日新聞
7障害者支援施設に「わしはヒトラーの生まれ変わりじゃ。」、「死んでしまえばえんじゃ」などと電話し、施設の職員に警戒対応に当たらせ、業務を妨害した行為(威力業務妨害)平成28年11月11日産経west
架電行為に対する業務妨害罪が適用された事例

【脅迫罪】

1「お前、3秒で殺すぞ。」、「さらわれてもうしまいや」などと電話で脅迫した行為令和2年9月21日日テレNEWS
2「ライフルを持っている。次はお前だ」などと脅迫電話をかけた行為令和4年7月9日長野朝日放送
3裁判所の書記官に電話で「刃物であなたを殺す」と脅迫した行為令和3年7月1日神戸新聞
電話において脅迫罪が適用された事例
【関連記事】 悪質クレーム(不当要求)対応で覚えておきたい「犯罪」行為類型
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悪質クレームに立ち向かう法律知識を!!
https://ik-law.jp/blog/claimcrime/

架電禁止の仮処分

 裁判所に対して正式な裁判をせず暫定的に必要な措置を命じてもらうよう求めるのが、仮処分という手続です。
 正式には「仮の地位を定める仮処分」といい、架電禁止仮処分命令の申立てを行います。

 この手続を使えば、裁判所からクレーマーに対して「架電禁止」という命令を出してもらうことができます。

 正式な裁判をすると、解決までに時間を要しますが、この仮処分では極めて短期間にて手続の終結を見込めます
 申立てから一両日で裁判官と面談があり、2週間以内に債務者(クレーマー)が裁判所で審尋に呼ばれます。
 裁判所の決定も、概ね1か月程度で出されます(裁判では、そもそも第1回期日が1ヵ月以内に入りません)。

 この仮処分の手続では、裁判官がクレーマーの言い分を聞く審尋手続があります。
 裁判官がクレーマーの言い分を聞き、クレーマーが一応の納得をすることで、仮処分手続の中でこちらが不必要な譲歩をせずに和解をすることも期待できます

【参考】 架電・面談・撮影禁止「仮処分」をクレーム対応で申立てる!
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妨害・迷惑・嫌がらせ行為を迅速に禁止できる法的手続を解説します
https://ik-law.jp/blog/claim_karisyobun/

訴訟提起(裁判)

 訴訟(裁判)を提起するのは、何よりも悪質クレーマーを正規の交渉の場に引きずり込むことが目的です
 業務遂行権の侵害を根拠として不法行為に基づく損害賠償請求差止め請求を求める事ができます。

 裁判においては、会社の損害額を立証する必要がありますので、クレーマーからの電話により具体的にどのような損害が生じたか、たとえば対応を何回、何分行ったことで、どのような業務が害されたか等を明らかにしていきます。

【参考】 (第1審)民事裁判の流れを弁護士が分かりやすく解説
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クレーム対応でも裁判手続は有用!!
https://ik-law.jp/blog/minjisaiban/

第4 参考となる裁判例等

【事案の概要】【判決要旨】
 多年にわたり、被告宅の隣地に所在するマンションの管理に関し、被告によって多数回、長時間の執拗な電話によるなどの不当な要求やクレームを突き付けられ、その業務を妨害され、信用を毀損されたとして損害賠償を求めました(原告は警備会社、不動産業者等)。(東京地判平27.12.17)
 被告がした原告らに対する要求ないしクレームは、遅くとも原告らが初めて被告の対応方を弁護士に対して依頼した上で、弁護士を通じて警告を発した以降のものについて、社会的な受忍限度を超えるものであることが明らかである。
 そして、それ以降、断続的に続けられた被告の原告らに対する要求ないしクレームは、原告らに対する関係で一連の不法行為を構成するということができる。
 損害保険会社Aの契約者Bが事故を起こしたことから、保険会社Aに対して保険金請求をしましたが、A従業員の対応等を不満として、保険会社Aに対して多数回、長時間にわたり電話をするなどして、それへの対応を余儀なくさせました。
 そこで、保険会社Aは弁護士を交渉窓口としましたが、契約者Bはそれも不当として従前同様の態様で苦情を続けました。
 そのため、保険会社Aは、営業権を被保全債権として、業務妨害禁止の仮処分を求めました。
 電話は、約3か月間の間に多い日で1日19回、長い時で1回約90分に及んだとのことです。
(東京高決平20.7.1)
 損害保険会社への顧客からの事故に関する連絡、苦情であっても、対応を受任した弁護士への連絡を拒否し、事故対応の担当部署等へ多数回、長時間に及び、執拗に電話するなどの場合には、当該行為は業務遂行権の違法な妨害に当たるとして、「債権者の委任した代理人弁護士を介しての交渉によらずに、自ら又は第三者を通じて、債権者の営業所(コールセンター等を含む。)に架電するなどの方法により、債権者の従業員に対し電話の応対又は面談を強要してはならない」との仮処分が認められました。
深夜に電話で「バカヤロウ」、「嫌がらせは止めてよ」等の罵声を浴びせる等(他に深夜や早朝にインターホンを鳴らす行為等)を、これまでに56回行った行為に対して、損害賠償請求をしました。(東京地判平19.4.18)
 無言電話や嫌がらせ電話を多数回行い、また、深夜及び早朝に原告らの住居のインターホンを複数回鳴らすという行為は、原告らの生活の平穏を害し、人格権を侵害するものとして不法行為になると認定し、治療費と転居費用(礼金と引越費用)の一部、慰謝料を認めました。
夜間から深夜1時頃までの間に約30回にわたり繰り返し無言電話をかけたり、原告の夫の勤務先にも電話をかけたりした行為に対して、損害賠償請求を求めました。(東京地判平19.5.9)
繰り返し無言電話をかけ、電話を切ってもなお電話をかけ続けた行為は、その回数や頻度にかんがみると、原告の人格権ないし人格的利益を侵害する不法行為を構成するものというべきであり、また、被告が(原告の夫の)勤務先に電話をかけ、「原告夫婦も離婚させてやる」、「(原告の長女にも)復讐してやる」と言った言動も、不法行為を構成するとして、30万円の損害賠償を認めました。
不当な架電に関する裁判例

第5 簡単なまとめ

 電話を利用した不当なクレームに対しては、明確に会社の意向を伝え、繰り返し電話が来たとしても、同様に拒絶を繰り返すことが大切です。
 それでもクレームが収まらない場合には、弁護士や警察と協力しながら、対応に当たります。

 最後は、法的手段により必ず解決できます
 クレーム対応は、時間も労力も要しますが、必ず終わりは見えますし、最終的には法的手段によって解決を図るのだというロードマップを持てば、少しは精神的にも落ち着いて対応しやすくなるのではないかと思います

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