クレーム対応をしていると、何度も丁寧に説明しているのに全然納得してくれない方がいます。
話は堂々巡りになりますし、時間と労力は奪われるのに、全く終わりが見えません。

このようなクレーマーには、どのように対応をしたら良いのでしょうか?

顧客からクレームがあったために、懇切丁寧に対応し説明を尽くしたとしても、全然理解してくれずに、また会話が振出しに戻ってしまう。。。
こんな徒労感に襲われる経験は、日頃から顧客対応にあたる方であれば、少なからずご経験されているでしょう。

クレーム対応において会社に求めれていることは、顧客の理解を得るまで説明をすることではなく、一般的な取引において求められる説明義務を尽くすことです。
特に不当な要求をするクレーマーであればあるほど、常識的な説明や対応をいくら行っても、理解や共感を得られることはないでしょう。

そして、説明を尽くしても、それでもまだ執拗に要求を続ける場合や、退去せずに居座り続けるような場合は、もはや顧客ではなく、業務妨害者というべきです。

業務妨害者は、顧客ではありません
業務妨害者と取引を継続することで、会社の限りある人的リソースを徒に消費され、通常業務にも大幅な悪影響が生じます。
そのため、説明義務を尽くしてもなおも納得せずに執拗な要求を続ける場合の最終ゴールは、当該クレーマーを業務妨害者として扱い、取引関係を遮断することです。

この記事において、クレーム対応の基本的な考え方と、取引遮断に向けた対応法をより詳しく解説します。

(まとめ記事)弁護士が伝授【クレーム・クレーマー対応】悪質・不当要求と戦う指南書
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クレーム対応の解説記事をすべて網羅したまとめ記事です
https://ik-law.jp/blog/claim_lawyer/

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第1 クレーム対応の基本的な考え方

1 クレーム対応の基本視点は、不当クレームを排除すること

従業員が不当なクレームを受けているにもかかわらず、会社が何も対応をしなかったり、事前に全く対応策を準備しなかったことにより、従業員に心身上の被害(精神疾患など)が発生した場合には、安全配慮義務違反として、会社は従業員に対して損害賠償責任を負う可能性があります。

つまり、会社の法律上の義務として、従業員が不当クレーム(カスタマーハラスメント)を受けている場合には、積極的にそれを排除しなくてはなりません。

このことから、クレーム対応において、誠意をもって対応すべき正当クレームと、排除すべき不当クレームとを分けて考える必要が出てきます。

クレームには、正当クレームと不当クレームの2つがあることを知りましょう。
正当クレームには誠意をもって対応し、不当クレームには拒否し、法的に解決を図ります。
拒否すべき「不当クレーム」があることを知る

2 クレーム対応で必要なのは「信義則上の義務」を尽くすこと

会社と顧客とは、小売店であれば売買契約が締結され、サービス業であればサービス提供契約が締結されています。
このように法律的には、何らかの契約関係にある当事者として捉えることができます。

「契約締結」という法律行為から、契約当事者は相手方が持つであろう正当な期待に沿うように行動することが要請されます(これを信義誠実の原則と呼びます)。
そのため、顧客から何らかのクレームがあった場合には、会社は契約の信義則上の義務として、説明義務を負います。

しかし、説明義務も無制限ではありませんし、ましてや契約の他方当事者の「理解を得るまで」無制限に説明することまで求められるものでもありません。

あくまでも、(契約上の)信義則上の義務の履行を求められているにすぎないわけですね。

そうすると、会社に求められる説明義務の範囲は、相手が納得するまでではなく、契約一般に求められる範囲に留まりますね。

必要な説明義務の範囲とは?

一般的抽象的にはなかなか決めにくいのですが、会社に落ち度(過失)がない場合には、他の顧客に一般的に行っている説明を行っていればそれで足りるものと考えられます。

これに対して、会社に落ち度(過失)がある場合には、その過失と発生した損害の大きさを基準にしていくことになります。

たとえば、食品等を扱っている場合に、顧客に健康被害が生じた場合には、何度も繰り返し懇切丁寧に発生原因や対応、今後の賠償などを説明する必要があるでしょう。
一方、軽微な問題であれば、口頭で謝罪しながら簡単に説明すれば、それ以上求められても応じる必要はありません。

大切な事は、顧客の納得を基準にするのではなく、逃げずに会社として説明義務を尽くしたといえる対応を行うことで、それで足りるわけです。

3 「堂々巡り」は対応として成功している

クレーム対応において、「堂々巡りになってしまい、困ってしまう。」という相談がよくあります。

しかし、この堂々巡りになっている状態とは、裏返しでいえば、悪質クレーマーにとって付け入る隙がないと思っている状態といえます。
そのため、クレーム対応の最初の目指すべきゴールは、むしろこの堂々巡りとなる、「会話の平行線」です。
その意味で、堂々巡りの状態になっていることは、対応として成功していると考えるべきです。

そして、この平行線を作ったうえで、クレーマーとの関係遮断を図ります。

堂々巡りとなった時に便利なフレーズ

対応者

この対応しかできません。
ご理解いただけますでしょうか?

悪質クレーマー

何度も言うけど、全然分からないね、ひどい対応だよね?

対応者

ご理解いただけず、残念です。

「伝わらずに残念である。」として、相手との間にもう超えられない壁が存在することを伝えましょう。
もう話す意思がないことも含意していますので、関係解消に移っていきます。

✍ (参考)クレーマーとの拒絶法(例文)を解説しています

第2 具体的な対応

以上のクレームに対する基本的な考え方を踏まえ、「納得しない相手(クレーマー)」の対応法を、会社に非があるかどうかにより場合を分けて説明します。

1 納得しない相手への対応方針

クレーム発生により、会社に非がない場合(法的根拠がない場合)には不当クレームと言えます。 会社に非がある(法的根拠がある場合)には、次に要求内容が正当か、要求態様(方法)が正当かを検討し、正当であれば正当クレームと言えます。 しかし、要求内容が著しく不当、または要求手段・態様(態度)が著しく不当の場合には、不当クレームというべきです。
不当クレームへの判断過程

会社に非がない場合

クレームは、不当クレームと判断できますので、基本的には要求に応じてはなりません。
最終的には取引断絶を目指すことになります。

✍ (参考)会社に非がない場合のクレーム対応について解説しています

会社に非がある場合

当然ながら会社には法律上の責任(賠償義務)が生じますので、その限度で責任を負わなくてはなりません。
ただし、法律上想定される責任を超えた要求は、過剰な要求となり、「不当クレーム」として扱うべきです。

また、あまりにも長く説明を求めたり、執拗に説明を求める場合にも、「不当クレーム」(要求方法が正当でない)として扱うべきです。

解決案を提示する
法律上発生する責任を想定して、誠意をもった回答を行います。
(解決しない場合)取引の断絶へ
過剰要求長時間執拗な要求行為は、もはや「不当クレーム」といえますので、業務妨害者と判断して、取引の断絶を目指します。

※なお、現場対応として取引断絶を目指すべきですが、取引断絶をしたとしても、会社には法律上の賠償責任を免れるわけではありませんので、その点はご注意ください。

2 取引断絶へ向けた具体的な対応

取引拒絶の意思を明確に示す

具体的な対応手順は、下図に示すように、拒絶の意思を明確に表示し、交渉の余地がないことを繰り返し伝えます。

平行線の作出をゴールに掲げます。 不当クレームの要求を毅然として拒否し、会話の堂々巡りを目指します。 その上で、会社として説明責任を果たしたならば、単に拒否を繰り返します。 これで会話の平行線の状態、つまり押し問答や堂々巡りとなっています。 この状態で収まらないクレーマーには、書面(警告文)を送付し、取引拒絶意思を明確に伝えます。 それでもなおも引下がらなければ、警察を呼び、かつ、仮処分や裁判などの法的手続へ移ります。
取引断絶を目指す会社の対応方針

✍ (参考)警察をなぜ呼ぶのか?と言われても対応できる知識の備え

まだ続く場合は、土俵を変える

上記のような対応をしても、なおも執拗に要求行為が止まらない場合もあります。

その場合は、弁護士を介入させたり、裁判所(訴訟提起、調停の申立て)を活用するなどして、第三者を介入させ、相手を法的手続の土俵に乗せます。
相手が選ぶ土俵ではなく、こちらが選ぶ土俵で相手をするようにしましょう。

いつまでも執拗に要求する相手の続けることは、何の解決にもなりません。

この段階までの対応が必要なケースは数少ないですが、稀に存在します。
そのような場合であっても、必ず終わりは来ますので、その時まで忍耐強く戦い続けましょう。

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